西洋と東洋の文化が混じり合うトルコの古都イスタンブールで、ぜひ訪れたいのが伝統的なハマム。
地元民の交流の場として、観光客の癒しの場として欠かせない存在になっているイスタンブールの数多くのハマムの中から、特に人気の8軒を紹介します。
イスタンブールのハマムの特徴や魅力は?
中東各国を中心に今も息づく公衆浴場、ハマム。
国や時代とともにその形態や特徴も様々に変化して多様性を持つハマムですが、イスタンブールのハマムはおそらく世界で最も旅行客にも敷居が低く、それでいて伝統を残しているタイプ。
ハマムはイスラム教と切っても来れない関係にあるため、時に外国人旅行者にとって気軽に足を運びづらい印象がありますが、イスタンブールは別。
もちろん今も地元民でほぼ埋め尽くされる昔ながらのハマムは健在ですが、旅行客にオープンなハマムでは、
・英語や各言語が通じる
・分かりやすい公式サイト
・オンラインやメールで予約が可能
・タオル、スリッパ、石鹸などのアイテムが込み
など、手ぶらで気軽に行ける場所がほとんど。
その分ローカルなハマムより料金設定も高めですが、特に初めての際は手軽さや安心感としてその価値はあるかと思います。
ハマム施設には何がある?
一般的なハマム施設は、
・受付や会計を行い、サービス後にお茶や伝統スイーツ、フルーツなどと共にくつろげるラウンジ
・着替えをして貴重品をしまうロッカー
・大理石でできた低温スチームサウナのようなハマム
・マッサージなどを行うトリートメントルーム
が備わり、特にラウンジとハマムは見事な建築や内装で造られていることが多く、それだけでも一見の価値があります。
ハマム内では基本的に写真撮影不可ですが、ラウンジはOKな所も多いので、ぜひハマム体験の思い出を写真にも残しておきましょう。
ハマムの一般的なメニューは?
サービス内容としては、温かいハマムで汗を流して自分自身でシャンプーや身体を洗うセルフサービス方式が最も安く(メニューにない場合もあります)、続いて担当施術者にあかすりとたっぷりの泡でマッサージをしながら身体を洗ってくれるのが基本のセット。
さらにオイルマッサージやフェイスパックなどをオプションで付けられる所も多く、気軽なリフレッシュから贅沢リラクゼーションまで、目的に合わせて利用できます。
施術後に目安として料金の10〜20%のチップを、担当してくれた施術者に渡すのがマナーとなっています。
個人的には基本セットはマストで、特に全身を泡がすっぽり包み込まれる泡マッサージはミシュランの白いやつになったような疑似体験ができて、爽快そのものですよ!(ひどい語彙力
ハマムの数だけ特徴がある!
伝統的には男女が別々のハマムで、男性には男性の施術者、女性には女性の施術者が担当しますが、中には男女混浴や女性が男性に施術する場所も。
そのためこの記事でもとことん伝統的なハマムからパートナーや友達同士で楽しめる混浴タイプ、そしてホテル内のハマムまで、バラエティ豊かなハマムを旧市街から4軒+新市街から4軒それぞれ取り上げました。
なお、サービス料金はトルコリラの暴落が激しく今後も頻繁に変わる可能性があるため、必ず事前に公式サイトで最新の情報をチェックするようお願いします。(下記は2023年6月時点情報)
ジャールオール・ハマム
ジャールオール・ハマム(Cağaloğlu Hamam)は、1741年完成以来そのオリジナルの姿を今もそのまま残す貴重なハマム。
アヤソフィア、トプカプ宮殿、グランバザールなどイスタンブールの主要スポットからいずれも徒歩5〜10分ほどのアクセスの良さも魅力のひとつ。
控えめな外観から一歩足を踏み入れた瞬間に荘厳な世界が広がり、世界中のセレブや著名人も愛したという歴史と伝統に満ち溢れたハマムを体験できます。
営業時間:9:00〜22:00(金土日〜23:00)
公式サイト:https://www.cagalogluhamami.com.tr/
料金例:ハマム+あかすり(10分)+泡マッサージ(20分)€60
ヒュッレム・スルタン・ハマム
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アヤソフィアとブルーモスクの間に位置するヒュッレム・スルタン・ハマム(Hürrem Sultan Hamamı)は、おそらくイスタンブールで最もラグジュアリーで象徴的なハマム。
オスマン帝国全盛期の1556年にスレイマン一世が妻ロクセラーナ(=ヒュッレム・スルタン)のために宮廷お抱えの建築家ミマール・スィナンに命じて建てられたハマムは、その当時の伝統と趣を残しつつ2011年にリニューアルオープン。
そのスケール、建築、サービスはため息が出るほど洗練されており、とびきり優雅で贅沢なひと時を過ごせるでしょう。
チェンベリタシュ・ハマム
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チェンベリタシュ・ハマム(Çemberlitaş Hamam)も、ミマール・スィナンの手によって1584年に建てられた旧市街にある超老舗ハマム。
多くの映画や雑誌の撮影に頻繁に使われているというのも納得の、クラシックな内装が見事です。
観光や食事の前後に立ち寄りやすい抜群の立地で、観光客向きのハマムとしては料金も高くないので、右も左も分からないハマムデビューの際にも利用しやすい一軒と言えるでしょう。
営業時間:7:30〜22:00
公式サイト:https://www.cemberlitashamami.com/cemberlitas-bath-historical-turkish-bath/
料金例:セルフサービスハマム875TL ハマム+あかすり+泡マッサージ(15分)1750TL
タリヒ・ヴェズネジラー・ハマム
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グランバザールから徒歩10分足らずのタリヒ・ヴェズネジラー・ハマム(Tarihi Vezneciler Hamamı)は、数あるイスタンブールのハマムの中でもユニークな一軒。
保温などのため半地下に作られることが原則のハマムにおいてこちらは初めて、そして唯一2階に設置された希少な様式。
さらに1481年創業の超老舗でありながら1950年代の改装の際に男女混浴とし、地元民だけではなく旅行客にも多く知れ渡るように。
伝統的であるのと同時に先進的でもある、個性派のハマムです。
アー・ハマム
新市街の中心タクスィム広場から約600mというアクセスのアー・ハマム(Ağa Hamamı)は、なんと創業1454年。
オスマン帝国第7代皇帝のメフメト2世がプライベート用に建てたハマムが公共となったのは、帝国崩壊後の20世紀のことでした。
しかしその歴史的なハマムは現在はイスタンブールでは珍しい男女混浴となっていることもあり、むしろ地元民より観光客に人気となっています。
そのためカップルや夫婦での利用に最適で、スッキリあかすりやふわふわ泡ウォッシュ、うっとりオイルマッサージなどを一緒に体験できるのが大きな利点。
クルチ・アリ・パシャ・ハマム
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またまた登場するミマール・スィナンさん作の伝統ハマムが、新市街のボスポラス海峡沿いにあるクルチ・アリ・パシャ・ハマム(Kılıç Ali Paşa Hamami)。
数々のモスクの建築も手掛けてきた同氏の設計らしく、ドーム型の高い天井が特徴のラウンジは神聖ささえ感じるほど。
高級感のある洗練されたサービスが自慢で、ペシュタマル(伝統的な薄い布地のバスタオル)、バスローブ、石鹸などのハマムグッズも販売しているので、お土産にすればプチおうちハマムも楽しめます。
営業時間:8:00〜16:00(女性)、16:30〜23:30(男性)
公式サイト:http://kilicalipasahamami.com/
料金例:ハマム+あかすり+泡ウォッシュ1350TL +全身マッサージ(50分)1500TL
チュクルジュマ・ハマム
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新市街にある19世紀築のチュクルジュマ・ハマム(Çukurcuma Hamamı)はそうそうたる老舗ハマムが健在のイスタンブールの中では若造の部類で、さらに2007年から長い改装を経て2018年にリニューアルオープンしたばかりなので、隅から隅までピカピカで清潔感もバッチリ。
伝統的なデザインやサービスを尊重しつつ、男女混浴にするなど外国人旅行者にも嬉しい現代的な要素を絶妙に融合させています。
高級ブティックホテルのようなスタイリッシュな空間で本格ハマムやマッサージが体験できる、注目の一軒です。
チャトマ・メスジット・ハマム
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最後に紹介するチャトマ・メスジット・ハマム(Çatma Mescit Hamamı)は、新市街のモダンな4つ星ホテルNova Plaza Pera内にあるハマム。
が、その歴史は実に古く、諸説あるものの1533年にもはやおなじみのミマール・スィナンさんによって建てられたとされる、500歳近いハマムです。
その脈々と受け継がれる古来のハマムサービスに加え、本格的なタイ古式やバリニーズマッサージなどのオプションも豊富で、リラックス・美容・リフレッシュなど目的に応じて自由にアレンジが可能。
ホテル宿泊客だけではなく、ビジター利用ももちろんOKです。