近年日本でも問題が顕著になっている、オーバーツーリズム。
魅力的な観光スポットが多数あるヨーロッパでもそれは同様で、街中が観光客で溢れかえる都市が続出しています。
この記事では欧州在住の筆者が、オーバーツーリズムが特にひどい都市を解説していきます。
ドゥブロヴニク/クロアチア
『住民一人あたりに対する観光客数』というデータから算出された欧州のオーバーツーリズムランキングで、栄光の?1位に輝いたのは、クロアチアのドゥブロヴニク。
『紅の豚』や『魔女の宅急便』などのジブリ映画を始め、日本や海外の数々の映画やドラマのモデルあるいは撮影地になったと言われるドゥブロヴニクは、“アドリア海の真珠”との異名を持つ風光明媚な都市です。
鮮やかなターコイズブルーに輝くアドリア海ビーチ、オレンジ色の屋根、石畳の入り組んだ小路はどこを切り取ってもフォトジェニックで、一度訪れればなぜここが多くの人々を惹きつけるのかすぐに納得するでしょう。
しかしドゥブロヴニクは人口4万人少々、主な観光スポットもほとんどが歩いて周れる範囲に収まるコンパクトな街のため、特に夏のバカンスシーズンともなるとたちまち街中が観光客で溢れかえることに。
ビーチには隙間もないほどの人の群れ、ひと休みしたくてもレストランやカフェも満席、お土産ショップも狭い路地も公共バスも、とにかくどこもかしこも人・人・人。
街中心でアクセスの良いエリアの宿泊施設は高騰し、予算を抑えるために少し郊外にすると移動に手間がかかる、というのも悩ましいポイント。
クロアチアの国全体としては北欧や西欧に比べると物価はかなり安い方ですが、ドゥブロヴニクは他のクロアチアの都市より頭一つ抜けて物価がお高く、特に円安の現在、日本から旅行すると宿泊も飲食もショッピングも、それなりの費用になる覚悟はしておいた方がいいでしょう。
住民一人あたりに対する観光客数:27.42人
※データ参照:Holidu、以下同様
ロードス/ギリシャ
2位にランクインしたのも、美しいビーチ×歴史的建造物が最大の魅力である、ギリシャ・ロードス。
ロードス島はギリシャにある6000を超えると言われる島々の中でも最も東に位置する島の1つで、ヨーロッパ各地との国際線で結ばれているだけでなく、トルコからフェリーでも渡航が可能な立地。
こういった地理的な背景もあり、ロードス島は紀元前から中世、近代に至るまで様々な国の侵攻や支配を受け、また交流や貿易を重ねてきた歴史を持ちます。
そのロードス島の最大の都市である北部ロードスは、14世紀から15世紀にかけて築かれた建築物が非常に良い状態で保存されているとして、ユネスコ世界遺産にも登録されています。
街探索だけであれば365日いつでも可能ですが、ロードス島にはスルーしてしまうにはあまりにも惜しい絶景ビーチがゴロゴロ点在しているため、必然的に夏に観光客が激増する傾向に。
さらにその夏をピークにロードス島には大型クルーズ船も数多く乗り入れており、その玄関口である港からロードスの中心地まで徒歩圏内であることも、混雑をさらに悪化させる要因の一つとなっています。
住民一人あたりに対する観光客数:26.33人
ヴェネツィア/イタリア
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続いて3位には、イタリアはもとよりヨーロッパ、そして世界を代表する観光都市であるヴェネツィアが登場。
街中に入り組んだ運河にゴンドラが浮かぶ風景はあまりにも有名で、例え実際に訪れたことがなくても、映画・テレビ・絵画・SNS・ニュースなどで一度は目にしたことがある人がほとんどではないでしょうか。
ヴェネツィアのモテモテっぷりは今に始まったことではありませんが、世界人口が増加するのに比例して観光客も増加。
更に近年ではインスタグラムやTIKTOK、YouTubeへの投稿だけを目的として、数時間だけ滞在し写真や動画を撮りまくって嵐のように去っていく、もはやまともに観光さえもしないような観光客も珍しくありません。
ヴェネツィアに限らず、観光客は現地の宿泊施設に滞在し、レストランやカフェ、バーで飲食をし、お土産や名産品を購入し、観光施設に入場料を払うことで観光業に大きく貢献します。
それが大してフォロワーもいない一般人がお金も落とさずただ写真を撮って帰るだけでは、その都市にとって何のプラスにもならないというのが実情でしょう。
そこでヴェネツィアは2024年、日帰りの観光客を対象に一人€5の入島税を試験的に開始し、2025年も継続するようです。

ポイントは宿泊する観光客は対象外であること(※宿泊税は別途必要)、また時期も4月〜7月の週末を中心とした特に混雑が起きやすい計54日間のみ、といったいくつかの条件があることでしょうか。
この試みが良い結果をもたらすようであれば、ヨーロッパだけでなく日本のオーバーツーリズムが問題となっている各都市での対策としても、活用されるかもしれませんね。
住民一人あたりに対する観光客数:21.26人
イラクリオン/ギリシャ
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2位のロードスに続いて、4位にもギリシャ屈指の人気ビーチリゾートであるクレタ島のイラクリオン(イラクリオ)がランクイン。
クレタ島のオーバーツーリズムの傾向もロードス島とよく似ており、クルーズツアーが増加し、夏休みを利用して訪れる観光客が殺到する7月・8月が混雑のピークとなっています。
イラクリオンはクレタ島の必須観光スポットとも言えるクノッソス宮殿へのアクセスが至便なのを始め、宿泊施設・飲食店・ミュージアム・商業施設も非常に充実。
そのため子供連れのファミリーからカップル、一人旅のバックパッカーまで、年代や予算に関係なくあらゆる観光客に大人気なのも当然と言えるでしょう。
その一方でイラクリオンに限らずクレタ島は圧倒的に夏に観光客が集中するビーチリゾートのため、冬季は全くと言っていいほど混んでいません。
冬はその美しいビーチで泳げないだけでなく多くのレストランやカフェもごっそり閉まってしまうので、夏よりかなり地味な雰囲気になるのは否定できませんが、遺跡やミュージアム巡りなどが旅の目的ならオーバーツーリズム丸出しの夏よりもマシかも?!
住民一人あたりに対する観光客数:18.43人
フィレンツェ/イタリア
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『水の都』ヴェネツィアに続いて『花の都』フィレンツェも、当然のようにオーバーツーリズムランキングに登場します。
“屋根のない美術館”とのニックネームも持つフィレンツェは、ヴェネツィアと同様にイタリア旅行ではまず外せない都市。
フィレンツェの街自体はとてもコンパクトなので歩いてもほとんどの観光名所は周れますが、そのコンパクトなサイズの街にぎっしり見どころが詰まっていることが、混雑度をさらに高める要因にもなっています。
オレンジ色のドームが目印でフィレンツェのシンボルでもあるドゥオーモ、『ヴィーナスの誕生』を始めとした数々の巨匠の傑作が鑑賞できるウフィツィ美術館、伝統的な宝石店や貴金属店がずらりと並ぶポンテ・ヴェッキオなど、まさに至高の芸術が360度広がるような贅沢な空間。
日本と同様に四季があるフィレンツェでは南国リゾートのように真夏のみに混雑が集中するわけではなく、4月から10月頃までは平均的に多くの観光客がこの花の都に足を運びます。
その対策の一つとして、フィレンツェも他のイタリアの人気都市と同様に、宿泊税を導入しました。
宿泊先のホテルのランクに応じて金額が変わるシステムで、1人1泊当たりに1つ星ホテルだと€3.5、5つ星ホテルだと€8が徴収されます。(※2024年1月時点)
こちらはイタリアや欧州のその他の都市の宿泊税の金額&基本情報のリストですが、フィレンツェも含めてイタリアの各地は全体的にかなり高めの金額設定であることがわかります。
世界有数の観光立国なだけに観光収入は国や各都市にとって極めて重要ですが、それと同時に増えすぎた観光客をコントロールし、オーバーツーリズムを解消する手段となり得るでしょうか。
住民一人あたりに対する観光客数:13.81人
レイキャヴィーク/アイスランド
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続いて登場するのは、アイスランドの首都レイキャヴィーク。
冷涼で自然豊かなイメージがある北の都は、オーバーツーリズムという単語とは少し似合わない気もしますが、その要因の一つは人口の少なさが挙げられます。
レイキャヴィークは人口約14万人とヨーロッパの首都としては非常に少なく、国全体でも人口40万人にも届きません。
そのため人口一人当たりに対する観光客数で計算されるオーバーツーリズムランキングでは、観光客も多いが人口も多い巨大都市、例えばロンドンやパリより上位に来るわけですね。
もう1つの特徴として、オーロラ鑑賞が最大のアトラクションであるアイスランドでは、月別の観光客数の推移が南欧に比べて大きくない点。
アイスランドでは9月から4月頃がオーロラ鑑賞に適した時期とされ、これは一般的に欧州ではハイシーズンとなる春から夏とは真逆のタイミングとなります。
そのため1年のどの時期に訪れても、渋谷スクランブル交差点のような大密集や逆にガラガラの廃墟のような状況にはならず、一定の観光客で賑わっているようなイメージで良いでしょう。
またアイスランドは陸続きで日帰りなど弾丸でも訪問できる欧州各地と違って完全な島国のため、観光客の滞在日数が平均的に長くなりがちな点も、混雑を増長させる原因の一つとなっています。
住民一人あたりに対する観光客数:12.10人
アムステルダム/オランダ
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数字的にはレイキャヴィークとほぼ同じなのが、オランダの首都アムステルダム。
伝統的な建築物やスタイリッシュな飲食店、東西南北あちこちに巡る運河が見事に調和したアムステルダムは、どこを切り取っても絵になる華のある都市。
春はチューリップを始めとした様々な花が咲き乱れ、夏は音楽・アート・文化など多彩なイベントが開催、秋は黄葉や落葉が街を染め、冬にはスケートリンクとイルミネーションが登場し、暗い夜を照らします。
しかしそんなアムステルダムも近年オーバーツーリズムに悩まされている都市の一つで、特に夏になるとイベント・パーティー・夜遊びなどを目的とした観光客を中心に、騒音やゴミ問題などを引き起こすように。
さらにオランダはソフトド◯ッグや売◯が合法の国としても世界的に知られており、そういった目的で訪れた挙げ句に過剰摂取や無断撮影などのトラブルに発展するケースも珍しくないようです。
そこでアムステルダム市は、『18歳〜35歳のイギリス人男性』を対象に、迷惑行為をするなら訪問しないように訴えるオンラインキャンペーンを実行。

国籍を指定して行うのはなかなか思い切った印象ですが、上記の記事によると、「パブのはしご アムステルダム」など特定の検索をインターネットですると、動画で警告が流れるそう。
マナーを守って普通に観光や飲食をする一般の観光客は受け入れつつ、迷惑行為や犯罪行為を行う者は歓迎しないというのは、理にはかなっているのではないでしょうか。
なおこのオンラインキャンペーンはオランダ国内や他の欧州諸国からの観光客にも広げる可能性もあるとのことで、アムステルダムのオーバーツーリズム問題の改善に繋がるか注目したいところです。
住民一人あたりに対する観光客数:12.09人
リスボン/ポルトガル
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ポルトガルはスペイン・フランス・イタリアなどの欧州が誇る超メガトン級観光立国と比べると、やや控えめな印象があるかもしれません。
しかしその温暖な気候、西欧の国としては安めの物価、フレンドリーな国民性、豊かな食文化、街並みや自然の美しさから、ヨーロッパ人の中ではド定番のバカンス先でした。
近年ではその魅力が北米やアジアにも知れ渡り、いよいよ世界的な人気都市となっているのが、その首都リスボンです。
1980年代のEU加盟当初は『EU最貧国』とのありがたくないニックネームをもらい、西欧の首都にも関わらずずいぶんと垢抜けない雰囲気だったそうですが、それももはや昔の話。
ラテンの国らしいカラフルな外観&インテリアのホテル・レストラン・カフェ・ショップがずらりと並び、食べ歩き、ぶらり散歩、写真撮影、ウィンドウショッピングに夢中になる世界中からの観光客が街中に溢れます。
リスボンもやはり夏季に最も多くの観光客が訪れますが、冬季も避寒目的でやってくるイギリスやドイツからの観光客や熱狂的リピーター、半移住者が多いのが特徴。
そのため数十年前までの『素朴で落ち着いた田舎っぽい首都』というリスボンは、もう存在しないと言っていいでしょう。
住民一人あたりに対する観光客数:11.14人
ポルト/ポルトガル
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その少年から大人になった?首都のリスボンから北に約300kmに位置するのが、ポルトガルの北の都ポルトです。
リスボンからポルトは電車やバスで片道3時間ほどで、本数も非常に多いので、特に初めてのポルトガル旅行者はこの両都市を訪れる人も多いはず。
ワインの名産地であるドウロ川北岸に築かれたポルトは美食の街としても知られ、リーズナブルなB級グルメから洗練されたミシュランレストランまで、バラエティ豊かな食を堪能できます。
ポルトは近いとは言えリスボンとは気候が少々異なり雨や曇りがやや多いこと、人口も約半分ほどであること、そしてリスボンの建造物の多くは18世紀の大地震後に再建されたのに対してポルトはそれよりさらに古い建造物が残っていることから、さらに落ち着いた古都という印象を与えます。
・・・が、オーバーツーリズムによりその世界遺産の古都を静かに落ち着いて楽しむことは、年々難しくなってきているのが現状。
青いタイルのアズレージョが鮮やかなサン・ベント駅、世界一美しい本屋とも言われるレロ書店、ガイドブックやSNSで紹介された話題のレストランなどは、どこもかしこもひっきりなしに観光客の波が押し寄せ、ゆっくり写真を撮るのも困難だと覚悟しておいた方がいいでしょう。
住民一人あたりに対する観光客数:10.55人
ダブリン/アイルランド
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10位にランクインしたのは、アイルランドの首都ダブリン。
天候があまり快適ではない冬こそ静かな雰囲気ですが、アイルランドで最も象徴的な祝日である3月のセント・パトリック・デー辺りから観光シーズンが始まり、日が長く爽やかな気候の夏にそのピークを迎えます。
緯度が高く、夏らしい夏は6月から8月頃のみと南欧に比べるとずっと短いため、必然的にその時期に観光客が集中しがちに。
中でもダブリン最大の繁華街であるテンプル・バー地区は老舗のアイリッシュパブを始め、本格的な伝統料理を提供するレストラン、生ライブやスポーツ観戦が楽しめるバーなど、グルメ・ナイトライフ・エンタメがぎゅっと詰まったエリア。
昼の明るい時間帯から鮮やかにライトアップされた夜まで、1日中観光客と地元民で賑わうダブリン屈指の観光スポットは、時に歩くのも困難なほどの人で溢れます。
通常は治安が良いことで知られるダブリンですが、数多くのパブやナイトクラブが並び観光客がひしめく夜のテンプル・バーはスリや喧嘩なども起きやすく、華やかな雰囲気に気を取られずに過ごすことが重要です。
もともと物価の高いダブリンですが、宿泊施設の宿泊料金もハイシーズンの夏季は冬季の数倍に跳ね上がることも珍しくなく、夏に低予算で旅するにはハードルが高めの都市と言えるでしょう。
住民一人あたりに対する観光客数:9.07人
オーバーツーリズムのワースト11位〜20位は?
オーバーツーリズムがひどい都市ワースト10に続いて、11位から20位も簡単にチェックしていってみましょう。
11位・アテネ/ギリシャ🇬🇷
12位・パリ/フランス🇫🇷
13位・ニース/フランス🇫🇷
14位・ブルージュ/ベルギー🇧🇪
15位・プラハ/チェコ🇨🇿
16位・コペンハーゲン/デンマーク🇩🇰
17位・ミラノ/イタリア🇮🇹
18位・エディンバラ/スコットランド🏴
19位・ブリュッセル/ベルギー🇧🇪
20位・バルセロナ/スペイン🇪🇸
やはりヨーロッパを代表する有名な観光都市がここでもずらりと名を連ねている、という印象ではないでしょうか。
20位のバルセロナは加速するオーバーツーリズムに対して住民による大規模な抗議デモがあるなど、ここ数年で特にこの問題が表面化しています。

サグラダ・ファミリアを始めとしたガウディの個性的な建築、明るい地中海ビーチ、絶品グルメ、センス抜群のショッピングストリートなど、見どころに尽きないバルセロナ。
それ故に観光客が世界中から押し寄せ、物価の上昇や公共サービスの圧迫を引き起こしていると地元住民の不満が爆発しているようですが、今後改善されていくのでしょうか。。。
オーバーツーリズムがひどい都市は避けるべき?

ここまでヨーロッパでオーバーツーリズムが最も深刻な都市を挙げてきましたが、ではこれらの都市に旅行するのはやはり避けた方が良いのでしょうか?
欧州在住の筆者の個人的な見解では、これらの都市でも比較的落ち着いて旅行できる方法はあると思います。
実際にここで名前が挙がったのは非常に魅力あふれる都市ばかりで、『データ上でオーバーツーリズムが最もひどいから』という理由で行くのを諦めてしまうのは、実にもったいない!
では、その『比較的落ち着いて旅行できる方法』とは?
一番シンプルな方法は、夏のピークシーズンを避けて冬のオフシーズンに訪れることです。
ヨーロッパは東西南北で広く気候もずいぶん異なりますが、概ね7・8月をピークに6〜9月頃を夏、11〜3月中旬頃を冬と認識すればいいでしょう。
ご存知かもしれませんが、サマータイムを導入しているヨーロッパ各国では日本よりも遥かに夏と冬のギャップが大きいのが特徴。
例として筆者が住むオランダの首都であり、オーバーツーリズムがひどい都市ワースト7位にランクインしたアムステルダムと東京の夏至&冬至の日の出時刻と日の入り時刻を、それぞれ見てみましょう。
アムステルダム・・・【夏至】5:17〜22:06(日の長さ16時間49分) 【冬至】8:48〜16:28(日の長さ7時間40分)
東京・・・【夏至】4:25〜19:00(日の長さ14時間35分) 【冬至】6:47〜16:31(日の長さ9時間44分)
ご覧の通り、東京では夏至と冬至の日の長さの差が5時間にも満たないのに対し、アムステルダムでは9時間を超えています。
そのため朝はなかなか明るくならない上に夕方もすぐに暗くなってしまう冬より、朝早くから夜遅くまでたっぷりと明るい中で観光できる夏の方が人気なのは、当然と言えるでしょう。
筆者は筋金入りの人混み嫌いのため、実際にこのランキングにも名前が出てきたいくつかの都市に冬に訪れたことがありますが、『オーバーツーリズム』という単語からイメージされるような混雑・密集・カオスはほぼ感じませんでした。
すでに解説したように冬は日の長さがずっと少なく、ドゥブロヴニクやギリシャの島々の美しいビーチで泳ぐこともできないため、観光のオプションが夏より少なくなるデメリットがあるのは確か。
しかし欧州の中でも特に人気の観光都市でなるべく落ち着いて観光・散策・グルメ・ショッピングなどを楽しみたいのであれば、間違いなく夏<冬をおすすめします。
こちらは11月におすすめの欧州の都市をまとめた記事ですが、11月に限らず一般的にオフシーズンである11〜3月頃(クリスマスシーズンを除く)は、人気都市でも静かに過ごしやすい時期です。
もう1点、人気の観光スポットやレストランで事前予約が可能な場合は、絶対にした方がいいです。
観光客が少ない冬のオフシーズンであれば予約無しでも飛び込みで入場・利用できる場合もありますが、夏のピークシーズンだとすでに予約でいっぱいで入れないor長時間待つハメになる可能性が。
そのため人気のミュージアム・大聖堂・宮殿・飲食店などで、ここは外せない!と気になる場所があったら、すぐにホームページでオンライン予約やチケット購入ができるかチェックするといいでしょう。
『行きたいと思って行ったら満杯で入れず、急に予定が空いてしまい右往左往している多数の観光客』も、オーバーツーリズムがよりひどく見える原因の一つだと感じます。
もしこういった工夫をしてもなお混雑が気になるのであれば、行き先を変更することを検討してもいいかもしれません。
ヨーロッパは元々1つだった国から独立して分かれた国がいくつもあり、似たような文化・景観・特徴を持つ都市や街が結構あります。
もちろん100%完全にコピペしたような都市は存在しませんが、特に隣国同士だったり元々同じ国だったりする場合、雰囲気が似ていながらも知名度に差があり観光客の数がずいぶん違う、ということもあり得ますよ!
まとめ
ヨーロッパで最もオーバーツーリズムが深刻とされる都市を、オランダ在住の筆者が解説しました。
ここで名前が出てきた都市の中には、観光税の導入や引き上げなど、すでに具体的な対策をしているケースもあります。
そのため今後オーバーツーリズムが改善され、観光客にとっても地元民にとってもより快適な都市になる可能性も充分考えられます。
一方で夏のハイシーズンの混雑は、欧州のある程度有名な都市であれば、多かれ少なかれどこでも起きているのが現状。
まずオーバーツーリズムが問題になっている各国の各人気都市にはそれぞれ改善策を実行してもらい、旅行する側の我々はピークシーズンを外して日程を組んだり、あるいは似たような雰囲気の他の都市に行き先を変えてしまったりしてもいいでしょう。
いずれにしてもオーバーツーリズムは地元住民にとっても観光客にとってもマイナスな影響を与えてしまうため、今後改善されていくことを願うばかりです。