ヨーロッパには魅力的な旅行先が数え切れないほどあり、夏のビーチリゾートから冬のクリスマスマーケットまで、1年を通してあらゆる楽しみ方が可能です。
この記事では欧州在住の筆者が、11月に欧州旅行に行く際にぜひ参考にして欲しい、この時期ならではの魅力に溢れた都市や場所を厳選して12ヶ所まとめました。
11月の欧州旅行の魅力とは?
この記事のタイトルを見た時、「なぜ11月なの?」と疑問に思ったかもしれません。
11月という時期は多くの日本人にとっては『秋』を連想する時期だと思いますが、広いヨーロッパでは秋を感じる場所もあれば冬や夏を感じる場所もあります。
そのため、欧州の北に行くか南に行くか、都市に行くか郊外に行くか、山に行くか海に行くかetc…によって、全く異なる体験ができるのは11月ならではのメリットです。
そしてこの11月は一般的にオフシーズンのため、安い&観光客が少ないという点も見逃せません。
7月〜8月の夏のピークシーズンに人気観光地に行くと、どこも人だらけで辟易したり航空券やホテル、ツアー料金が高騰したりするのはよくあることですよね。
全く同じ観光スポットに行ったり同じホテルに泊まったりしても、落ち着いてのんびり過ごせる上にずっと安く済むのはオフシーズンの特権と言えるでしょう。
もちろんこの後に挙げる12ヶ所はどこも年間を通してそれぞれの魅力があり、別の時期に行ったらダメということでは全くありません。
ただし、時期によっては暑すぎるor寒すぎる、混雑が激しい、料金が高いetc.といったマイナスポイントがあることも。
この記事では各都市のおすすめポイントと共に11月の平均気温と降水量もまとめたので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
見どころ満載!天候不問で楽しめる大都市
まず最初に紹介するのは、誰もが知る欧州の大都市×3です。
これらの都市は必ずしも11月がベストシーズンと言う訳ではないかもしれませんが、とにかく見どころが多いので天候に関係なく楽しめること、ピークシーズンに大混雑する超有名スポットにゆっくり行けることが大きなメリットです!
ロンドン(イギリス)
多くの人が考える11月の欧州旅行のデメリットは、気候ではないでしょうか。
サマータイムが終わり昼が短くなることや開放的な夏より寒いことがマイナスに感じられそうですが、年間を通して大して天気が良くないロンドン(London)には、そもそも誰も天気の良さなんて期待していないはず(失礼)。
実際にロンドンの月別降水量は最少40㎜(3・4月)から最多65㎜(10・11月)まで大きな差がなく、どの時期に行っても一定の雨は降る可能性が高いため、11月だけが特別悪いということはありません。
ロンドンを始めイギリスは多くの美術館・博物館が入場無料の寄付制であることがよく知られており、特に天気が悪い日には非常に便利。
その他カフェや休憩スペースも充実したショッピングモールや劇場、映画館など屋内でぬくぬくと楽しめるスポットは無数にあり、天気の悪さがこの街の魅力を損なわせることはないでしょう。
パリ(フランス)
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皆の憧れ・花の都パリ(Paris)もさすがに11月にはあまり花の咲いていない寒々しい雰囲気が漂いますが、そこは天下のパリ。
黄葉が徐々に落葉し足元に褐色の絨毯が広がる頃、頭上ではロマンチックなイルミネーションが長い夜を明るく灯し始めます。
ルーヴル美術館やオルセー美術館の混み具合も夏よりずいぶん落ち着くため、外の寒さを忘れてゆっくりと芸術鑑賞に浸るのも定番コース。
歩き疲れたら時にモダンでおしゃれな、時に重厚な老舗カフェで外を通り過ぎる幾多のパリジャン&パリジェンヌを眺めながら、上質なスイーツタイムを。
外を歩く時間も長くなりがちなヴェルサイユ宮殿やディズニーランドに行く場合は、なるべく天候が良い日を選ぶのがベターです。
11月の平均最高気温:11.2℃
11月の平均最低気温:4.6℃
11月の平均降水量/ 雨の日数:50㎜/10日
バルセロナ(スペイン)
上記の2都市と違い地中海気候に分類されるバルセロナ(Barcelona)は、11月でも平均最高気温が約18℃と、外歩きにも快適な気候が魅力。
夏に比べるとやや雨が多くなりますが、バルセロナの象徴的存在であるガウディ建築や世界遺産のカタルーニャ音楽堂、食べ歩きにも最適なラ・ボケリア市場などなど、バラエティに富んだ屋内の観光スポットがスタンバイしてるので心配は不要!
その中でも特に爆発的な人気を誇るサグラダ・ファミリアをなるべくじっくりと静かに鑑賞したいなら、オフシーズンの11月は素晴らしい時期です。
冬の欧州では17〜18時になるともう暗くしんみりムードが広がることも珍しくありませんが、21時過ぎからディナーが始まるスペインでは深夜まで何かしらのレストラン・バル・クラブなどがオープンしており、賑やかに遊ぶのもしっとり飲むのもあなた次第。
スポーツが好きなら、欧州最大のスタジアムであるカンプ・ノウでFCバルセロナの試合を観戦するのもおすすめ。
対戦相手にこだわらなければ、意外と容易&安く観戦ができますよ。
11月の平均最高気温:17.7℃
11月の平均最低気温:9.2℃
11月の平均降水量/ 雨の日数:65㎜/5日
街歩きに最適の気候が魅力な南欧!
続いて南欧を代表する人気都市をピックアップ。
いずれも季節を問わず訪れる価値のある素晴らしい街ですが、特に夏は暑さが厳しく長時間外を歩くとヘトヘトになることもあるため、涼しい11月はアクティブに動きたい人には最適です。
フィレンツェ(イタリア)
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ヨーロッパのもう1つの花の都が、フィレンツェ(Florence)。
“屋根のない美術館”の異名も持つフィレンツェは、その名にふさわしいため息が出るような美しい歴史的建造物で世界の観光客を魅了します。
たとえ歴史や美術にあまり詳しくなくても一度は見聞きしたことがあるであろう、ミケランジェロの『ダビデ像』やボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生』を拝めるのもこのフィレンツェで、こちらは当然ながら屋根がある美術館に所蔵されているため、1年を通して天候不問で鑑賞が可能。
フィレンツェ自体はコンパクトな街のため主な見どころは1〜2日でも周れますが、少し郊外に出るとトスカーナのこれまた芸術的な自然美が広がり、秋らしい穏やかな風景に出会うことができます。
イタリアを代表する秋の味覚・白トリュフもこの時期が旬なので、グルメに目がない人はぜひ試してみましょう😋
11月の平均最高気温:15.7℃
11月の平均最低気温:6.9℃
11月の平均降水量/ 雨の日数:115㎜/9日
リスボン(ポルトガル)
大西洋側を向いたポルトガルの首都リスボン(Lisbon)ですが、こちらも地中海性気候のため、11月は夏よりずっと雨が多い月。
一般的にそれは観光客にとってマイナス要素となりがちですが、“サウダージ”という言葉がしっくりと似合うどこか哀愁を感じさせる西の彼方の都は、雨との相性も悪くありません。
7つの丘でできた街には東から西、北から南に通る数え切れないほどの細い坂道をレトロな路面電車が上っては下り、丘の上から眺める夕日や夜景は宝石のような美しさ。
夜になると旧市街のアルファマ地区の路地からは伝統音楽であるファドの歌声が聴こえ始め、どことなくノスタルジックな世界に誘います。
リスボンにはゴージャスなリゾートホテルからセンス抜群のブティックホテル、バックパッカー向きのドミトリーまで多彩な宿泊施設が揃っており、特に11月はお得に泊まりやすい時期なので、物価の高い西欧の中では非常にコスパ良く旅しやすい都市と言えるでしょう。
11月の平均最高気温:18℃
11月の平均最低気温:11.9℃
11月の平均降水量/ 雨の日数:135㎜/10日
スプリト(クロアチア)
クロアチアはあまりにも美しいアドリア海に面した国のためどうしても夏のイメージが強く、実際にそのアドリア海で泳げないとなると歯ぎしりしたくなるのは否定しませんが、秋は秋なりの良さがあります。
クロアチア第二の都市であるスプリト(Split)も、当然のごとく夏に最も多くの観光客が訪れますが、その怒涛の観光客が去った11月はじっくりと歴史や文化、グルメに没頭できる季節。
スプリトは3世紀末〜4世紀初頭、時の古代ローマの皇帝・ディオクレティアヌスが建てさせた宮殿の跡地にそのまま造られた珍しい都市として、世界遺産にも登録されています。
そのため古代ローマ時代と現代をミックスしたような、単純なビーチリゾートとは一味違うユニークな街並みが印象的。
港町のため新鮮なシーフードもスプリトの自慢で、旧市街に溶け込む石造りの雰囲気の良いレストランで地元ワインと共に舌鼓を打ちましょう。
11月の平均最高気温:15.5℃
11月の平均最低気温:10.7℃
11月の平均降水量/ 雨の日数:125㎜/10日
秋も冬も感じられる美しき中〜東欧!
絵画のような街並みが魅力の中欧&東欧は、秋の色が濃い11月上旬から下旬に向けて徐々に冬の装いになっていく、一粒で二度美味しいエリア。
通常11月中旬前後に各地でクリスマスマーケットが始まるため、12月の本格的な寒さ&クリスマス休暇時の観光客の大群が押し寄せる前に足を運ぶのもおすすめです。
ブダペスト(ハンガリー)
その見事な景観から“ドナウの真珠”の名で親しまれる、ハンガリーの首都ブダペスト(Budapest)。
ドナウ川西側のブダ、東側のペスト(ペシュト)の地区が合わさるブダペストは、日本と同様に春夏秋冬折々の情緒あふれる風景が楽しめます。
一般的に言われるブダペストのベストシーズンはサマータイム中で昼が長く気候が過ごしやすい4〜10月頃で、確かに10月下旬のサマータイム終了と共に一気に『オフモード』になる雰囲気がありますが、それは夏とは別の魅力が生まれるということ。
ブダペストの人気アクティビティであるドナウ川クルーズは、昼はもとより夜景がとりわけ美しいため、夜の長い秋から冬はピッタリ。
日に日に寒さは厳しくなっていくものの、11月中旬に華やかなクリスマスマーケットが始まるとそれも忘れてしまえそう。
いやいや寒いもんは寒いですがな!という寒がり共は、そこかしこから湧き出ている温泉に黙って浸かりましょう。
11月の平均最高気温:9.1℃
11月の平均最低気温:1.7℃
11月の平均降水量/ 雨・雪の日数:45㎜/7日
ウィーン(オーストリア)
そのハンガリーのお隣オーストリアはラムチョップの形をしていることから“中欧のラムチョップ”と呼ばれてはいませんが(呼ばれたくもない)、ラムチョップの骨側の方はアルプスで11月でもガッツリ寒いのに対し、肉側のウィーン(Vienna)はちょうど秋から冬に移り変わる頃。
気候的にはブダペストとよく似ており、月後半には雪がちらつくこともあるので防寒具は必須ですが、ウィーンでも寒さを忘れるor逃れる方法はいくらでもあります。
まずはウィーンといえば音楽の都市ということで、11月恒例の現代音楽フェス『ウィーン・モデルン(Wien Modern)』や多くの教会で年中行われるクラシックコンサート。
そしてウィーンはカフェの激戦区として有名なので、ド定番のザッハトルテやアプフェルシュトゥルーデルを各人気店で食べ比べるのも◎。
月半ば頃にロマンチックなイルミネーションとクリスマスマーケットがスタートすれば、香ばしいシナモンやグリルの香りがラムチョップの臭みを消し去ってくれることでしょう(元々臭ってません)。
11月の平均最高気温:8.7℃
11月の平均最低気温:2.4℃
11月の平均降水量/ 雨・雪の日数:45㎜/8日
グダニスク(ポーランド)
バルト海に面したグダニスク(Gdańsk)は、ポーランドらしいパステルカラーの建造物が建ち並ぶ、フォトジェニックな港町。
そのメルヘンチックな街並みはひと目で心を奪われてしまいそうな可憐さですが、このグダニスクは第二次世界大戦が勃発するきっかけとなった惨劇の舞台としても知られています。
1939年9月、当時ドイツ語名のダンツィヒ(Danzig)にドイツ軍が侵攻したことで世界を巻き込む大戦に発展する訳ですが、このダンツィヒ=現在のグダニスクで、この大戦により街の90%は破壊されたそう。
そのため街の大部分は戦後に再建されたもので、廃墟から力強く立ち上がったグダニスクの姿は、日本人の心にも特別に響くものがあるかもしれません。
無数のカフェやレストランが連なるモトワヴァ運河はほっと一息つくのにもゆっくり食事を堪能するにも最適で、特に夜が長く寒い冬は旧市街散策やショッピングの合間に気軽に立ち寄ると良いでしょう。
グダニスクでもドイツやフランスの大都市よりも控えめな、しかし伝統と温かみを感じられるクリスマスマーケットが11月中旬から12月にかけての風物詩となっています。
11月の平均最高気温:5.8℃
11月の平均最低気温:1.4℃
11月の平均降水量/ 雨・雪の日数:45㎜/9日
寒い!でも行く価値あり!!
北欧や標高が高いエリアは、11月でもすでにしばしば氷点下に。
しかしそれは12月や1月はさらに寒いことを意味し、「冬の中では最も暖かい」のが11月とも言えます。
防寒対策をしっかりすれば、寒さを忘れる素晴らしい体験ができるはず!
レイキャヴィク(アイスランド)
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ブダペストやウィーン辺りで寒いとかほざいていたのがかわいく思えるほど、1年中冷涼なアイスランドの首都レイキャヴィク(Reykjavik)。
しかしそもそもアイスランドに明るい太陽を期待して訪れる人は多くないはずで、トップアトラクションである『オーロラ』や『温泉』が主な目的なら、11月は決して悪い時期ではありません。
アイスランドでは9月から4月までオーロラが鑑賞できるチャンスがあり、11月に少なくとも何日か滞在するのであれば、遭遇できる可能性は高いでしょう。
アイスランド旅行ではレイキャヴィクや空港からのツアーに参加するかレンタカーで周るのが一般的ですが、いずれにせよオーロラ鑑賞のような特に天候に左右されるスポットに行く場合は、天気予報をチェックして最適の日程を選択するのがベスト。
この時期はすでに大地が純白に染まることも多いですが、トナカイやアザラシ、ホッキョクギツネなど北の国ならではの動物達と出会えることも。
1日中冷たい空気の中で観光を楽しんだ後に入る天然温泉は、何よりのご褒美になるでしょう。
11月の平均最高気温:4.9℃
11月の平均最低気温:−0.5℃
11月の平均降水量/ 雨・雪の日数:85㎜/14日
ツェルマット(スイス)
もしウィンタースポーツ愛好家が11月に欧州旅行に行くのであれば、アルプスに足を運ばない手はありません。
オーストリア、スイス、イタリア、フランスなどなどにまたがる広大なアルプスでは、標高の高いエリアでは365日スキーが可能です。
その1年中スキー放題の代表例がスイス南部・イタリアとの国境に接するツェルマット(Zermatt)。
とんがりコーン型でおなじみのマッターホルン(標高4478m)を有するツェルマットは今でこそ欧州きっての大人気スキーリゾートとして名を馳せていますが、19世紀半ばまでは何の変哲もない農村だったそう。
しかし1865年にイギリス人登山家グループが初めてマッターホルン登頂に成功すると、この人口500人にも満たない農村はじわじわと夏の避暑地&冬のウィンタースポーツのメッカとして発展していき、宿泊施設・レストラン・カフェ・お土産屋・スパなどが次々に誕生。
クリスマス休暇で観光客の大挙が押し寄せ宿泊料金やツアー料金もはね上がる前の11月は、初滑りに最適です。
11月の平均最高気温:5.1℃
11月の平均最低気温:−3.1℃
11月の平均降水量/ 雨・雪の日数:65㎜/7日
11月でも泳げる?!ビーチ好きは必見!
いやーーーーー、寒いの無理無理ヤダヤダ!というあなた、希望はありますよ!
欧州の大部分が刻々と秋や冬に染まっていく中、どこ吹く風で11月になってもまだ夏モードを漂わせている異色の存在があるのをご存知ですか?
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カナリア諸島(スペイン)
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前世が猫だったせいで寒いとコタツで丸まる以外何もしたくなくなる全世界52億人(推定)の最後の希望が、カナリア諸島(Canary Islands)。
欧州の中では温暖な方のスペインですら本土の大部分が確実に涼しくなっていく中、アフリカ大陸の真横という完全なオフサイドポジションに陣取るカナリア諸島は、“常春”の類まれなる温暖な気候に恵まれています。
そのため本格的な冬になるとイギリス・ドイツ・北欧などの前世が猫だった寒がり野郎共が殺到することから、その前の11月は比較的落ち着いて過ごしやすい時期。
8つの島々から構成されるカナリア諸島には富士山とほぼ同じ標高のテイデ山もあり、標高が高いエリアは当然気温が下がりますが、それを除けば11月でも平均気温約22℃・水温も22℃という暖かさで、各ビーチには海水浴や日光浴、サーフィンやマリンスポーツを満喫する多くの人々が。
海あり山あり砂丘あり世界遺産の街ありテーマパークあり、宿泊施設や飲食店、ショッピングスポットも実に多彩なため家族旅行からバックパッカーまで、年代・目的・予算に関係なくそれぞれの理想の過ごし方ができるでしょう。
11月の平均最高気温:24.4℃
11月の平均最低気温:18.5℃
11月の平均降水量/ 雨の日数:15㎜/3日
※いずれもグラン・カナリア島(Gran Canaria)のデータ