秋の旅行の見どころの1つが、鮮やかな紅葉や黄葉。
ヨーロッパ各地でも数え切れないほどの紅葉&黄葉スポットがあり、旅人たちの目を楽しませてくれます。
この記事では欧州在住の筆者が、欧州でぜひ行きたい紅葉&黄葉スポットを厳選してまとめました。
シュヴァルツヴァルト/ドイツ
ドイツ語で『黒い森』を意味するシュヴァルツヴァルト(Schwarzwald)ですが、秋には深いグリーンから鮮やかなイエロー、濃厚なレッドまで、実に色彩豊かな姿に変わります。
ドイツ南西部に位置しフランスに隣接したこのエリアは、国立公園、湖、山、川など豊かな自然に恵まれ、その四季折々の美しさを求めて足を運ぶ地元住民や国内外の観光客は1年を通して絶えることがありません。
南北約160kmに渡る広大な『黒い森』にはあちこちに見どころが点在するため車で移動するのが最も便利ではありますが、エコツーリズムに力を入れていることもあり、公共交通機関での観光も充分可能です。
滞在地としては北部の温泉地バーデン=バーデン(Baden-Baden)やフライブルク(Freiburg)、あるいは見事な景観で知られるフランスのストラスブール(Strasbourg)も国境を超えてすぐなので、アクセスは容易。
天気が良ければ、レンタサイクルで街や森を自由に巡るのも爽快です。
紅葉&黄葉の目安時期:10月中旬〜下旬 ※
参考サイト:https://www.schwarzwald-tourismus.info/ ※左上から各言語に翻訳可能
※紅葉・黄葉の時期は毎年異なるため、より正確な最新情報は各サイトやSNSからチェックすることをおすすめします(以下別のスポットも同様)。
湖水地方/イギリス
ピーターラビットの舞台としても有名な湖水地方(Lake District)は世界遺産にも登録され、多くの作家・芸術家・詩人を魅了してきたイギリスでも指折りの風光明媚なエリア。
はるか氷河時代の痕跡を色濃く残し、大小16の湖、イングランド最高峰のスカーフェル・パイク(Scafell Pike)、時が止まったような伝統的な村、5000年以上前に造られたとされるストーン・サークルなど、その見どころを挙げだすとキリがないほど。
冷涼な湖水地方は夏の避暑地としても大人気のため7〜8月は世界中からの多くの旅行客で賑わいますが、秋が深まるとグッと落ち着いたムードに。
ボリューム満点のイングリッシュブレックファストで1日をスタートし、昼は360°カラフルな世界に囲まれながらハイキングやボートツアー、日が暮れたら天体観測を満喫し、夜は昔ながらのパブで1杯やって〆、なんて秋の休暇はいかがでしょうか?:)
紅葉&黄葉の目安時期:10月下旬〜11月上旬
参考サイト(英語):https://www.visitbritain.com/en/destinations/england/lake-district
エディンバラ/スコットランド
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その湖水地方から北に車で約3時間ほど走ると辿り着くのが、スコットランドの首都エディンバラ(Edinburgh)です。
その旧市街は“ずっしり”・“どっしり”という擬態語がよく似合うとにかく重厚な街並みで、ケーキに例えるとさながら濃厚なモンブラン。
爽やかな春やエネルギッシュな夏、時に純白に染まる冬も魅力的ですが、モンブランに最も似合うのはやはり秋!
石造りの落ち着いたトーンが大部分を占めるエディンバラの旧市街と、鮮やかなオレンジやイエローのアクセントは、文句なしの相性の良さ。
また名門大学を有するエディンバラは古くから学生都市としても栄えているため、新市街を中心におしゃれなカフェ・バー・ショッピングストリート・ナイトスポットも非常に充実しています。
旧市街と新市街は徒歩でも充分周れる範囲なので、中世と現代を歩いて行き来するようなユニークな体験ができるのも、古都エディンバラの魅力の1つと言えるでしょう。
紅葉&黄葉の目安時期:10月中旬
参考サイト(英語):https://edinburgh.org/
ドロミティ/イタリア
世界屈指の観光大国アモーレイタリアには長靴型の国の隅から隅まで観光地が盛りだくさんですが、紅葉&黄葉の名所としてトップクラスの人気を誇るのが、北東部のドロミティ(Dolomites)。
雄大なアルプス山脈に抱かれた世界遺産ドロミティが最も活気に満ちるのは、ハイキング客で賑わう夏とウィンタースポーツ愛好家が押し寄せる冬。
しかしその間の秋も、スルーしてしまうにはあまりに惜しい時期。
ドロミティには最高峰の標高3343mマルモラーダ(Marmolada)を始め3000m超えの山がゴロゴロ連なり、本格的なハイキングを行なうには中級〜上級者向きのエリアもありますが、車や公共交通機関で行ける場所ももちろんあります。
ラグジュアリーなホテルから朝食自慢のB&B、マイペースにくつろげるアパートメントまで様々なタイプ&ランクの宿泊施設が充実しているため、日常のストレスや喧騒から離れてどっぷりと秋色の北イタリアに心身を沈めましょう。
紅葉&黄葉の目安時期:10月中旬〜下旬
参考サイト(英語):https://www.dolomitesworld.com/en/
ハルシュタット/オーストリア
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そのアモーレイタリアの北の隣国オーストリアも、アルプスの圧倒的な自然美を年間を通して堪能できる国。
中でもハルシュタット(Hallstatt)は『世界で最も美しい湖畔の町』とのキャッチコピーがしっくりと似合う、オーストリアはもちろん欧州全体でも指折りのフォトジェニックな街。
が、各メディアやSNSでその人口800人ほどの街というより村レベルの愛くるしいハルシュタットが取り上げられるとたちまち人気が爆発、特に夏は観光客の洪水状態になることが日常茶飯事に。
秋にはその波もかなり落ち着くものの、少しでも静かにその芸術的な秋景色を満喫したいなら、朝早く訪れるか宿泊するのがベストです。
ハルシュタットは非常に小さい街で見どころが限られているため、観光バスや車で訪れて数時間だけ滞在して去る観光客が大多数。
そのため宿泊することで、夜から朝にかけては宝石のような眺めを時間を気にせず楽しめるでしょう。
紅葉&黄葉の目安時期:10月中旬
参考サイト(日本語):https://www.austria.info/jp/where-to-go/regions/rivers-and-lakes/hallstatt
チューリッヒ/スイス
みんな大好きアルプス3連発の締めくくりは、やはりスイス。
スイスは国土の約60%をアルプス山脈が占め、標高4000mを超える山が48もあるという、まさにアルプスの少女ハイジのイメージそのままの山っぷり。
そのため秋にはそこかしこで華麗な紅葉や黄葉を鑑賞できますが、この記事ではその中からチューリッヒ(Zürich)をピックアップします。
チューリッヒは日本を含む世界各地からのフライトが発着する国際空港があるのに加え、電車やバスでフランスやドイツなど周辺の各都市とも容易に行き来できる、スイスの玄関口と言える都市。
生活水準の高さも世界トップクラスで、歴史的建造物とモダンなショッピングストリート、活気に満ちた都会的なエリアと穏やかな湖や公園が見事に融合。
そのため自然と思いっきり戯れたいアウトドア派も、落ち着いてカフェやミュージアム巡りに没頭したいインドア派も、きっと満足した時間を過ごせるでしょう。
紅葉&黄葉の目安時期:10月中旬
参考サイト(日本語):https://www.myswitzerland.com/ja/destinations/zuerich/
クラクフ/ポーランド
ポーランド南部のクラクフ(Kraków)は、11世紀から600年近くポーランド王国の首都として栄えた世界遺産の古都。
歴史的にポーランドが幾度となく周辺国から攻められ続け、とりわけ第二次世界大戦によって首都ワルシャワを始め各都市が壊滅的な被害を受けてきた中で、そのダメージが奇跡的に最小に済んだのがこのクラクフです。
そのため中世の時代にタイムスリップしたかのような建造物がそのまま残る、ポーランドでは非常に貴重な街。
その旧市街は徒歩で周れるくらいのコンパクトなサイズですが、秋の黄葉シーズンに特に足を運びたいのが、その旧市街をぐるりと囲むプランティ公園と西に約4kmの場所にあるコシチュシコ山。
かつて栄華を極めた東欧の古都が黄金色に染まり、息を呑むような圧巻の景観が広がります。
紅葉&黄葉の目安時期:9月下旬〜10月下旬
参考サイト(英語):https://visitkrakow.com/
ブレッド湖/スロヴェニア
何度説明されてもスロヴァキアとスロヴェニアの区別がつかない日本人は7800万人に上ると言われますが(言われてません)、昔チェコとくっついてた内陸国がスロヴァキア・イタリアとクロアチアの間でかろうじて海に面しているのがスロヴェニアです。
欧州ではボスニア・ヘルツェゴビナに次いで2番目に『なんとかギリギリ海を確保したぜ感』が高い国のスロヴェニアですが(非公式)、そのイタリアとクロアチアの間の際どい海よりずっと存在感が大きいのが、北西部にあるブレッド湖(Lake Bled)。
首都リュブリャナからバス・電車・車などで1時間前後で行けるブレッド湖は、スロヴェニア観光のメインスポットでもあります。
ブレッド湖の北には荘厳なブレッド城、周辺は鮮やかな森林が取り囲み、水面には教会が建った小島が浮かぶ、絵画のような風景。
新緑が眩しい春から雪景色の冬まで1年を通して異なる美しさを見せてくれるブレッド湖ですが、やはり秋の紅葉&黄葉&落葉は必見。
こちらもリュブリャナから日帰りでも行けますが、よりじっくりとその自然美を満喫したいなら、周辺に滞在するのがベストです。
紅葉&黄葉の目安時期:10月上旬〜中旬
参考サイト(英語):https://www.bled.si/en/
プリトヴィツェ湖群国立公園/クロアチア
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ギリギリ内陸国を免れたスロヴェニアと違い、みんなの憧れアドリア海に1800km近く面しているクロアチアは、その絶景ビーチを求めて来る夏の観光客が圧倒的に多い国。
そんな中、プリトヴィツェ湖群国立公園(Plitvice National Park)は、夏の海水浴シーズン以外にこそ訪れたい、内陸地に位置する絶景スポットです。
夏がダメということでは全くありませんが、やはり夏が1年で最も混む時期なので、怒涛の観光客が減る秋は落ち着いて自然鑑賞したい人にはより良い季節。
エメラルドグリーンに輝く透明度抜群の湖とそこに流れ落ちる迫力のある滝、そしてその周りに彩るのは見事な秋色に染まった幾千もの樹々。
数々の希少な動植物の宝庫でもあることから1949年にクロアチア初の国立公園に指定、そして1979年に世界自然遺産に登録され、激動の歴史を歩んだクロアチアにおいて何十年と変わらぬ美しさで世界中の旅人を魅了しています。
紅葉&黄葉の目安時期:10月中旬〜下旬
参考サイト(英語):https://np-plitvicka-jezera.hr/en/
ドウロ渓谷/ポルトガル
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イベリア半島は乾燥したエリアが多いことからどこでも立派な紅葉が見られる訳ではないのですが、ポルトガル北部のドウロ渓谷(Douro Valley)は絶好の鑑賞スポット。
この“ドウロ”の語源には諸説あり現在でも解明されていませんが、1つの仮説が“黄金の”を意味するポルトガル語の『de ouro』。
もしそうだとしたら、ここがポルトガル随一の黄葉スポットというのも理にかなっているかもしれませんね。
スペイン中北部からポルトガル第二の都市のポルトまで約900kmに渡って流れるドウロ川のポルトガル側のエリアは、世界有数のワイン生産地として世界遺産にも登録されています。
そのためワイン好きには特に理想的な目的地で、隠れた美食大国として知られるポルトガルで秋の味覚とともに黄金色の風景を鑑賞すれば、目と舌を満足させられること間違いなし!
ポルト発着の日帰りワイナリーツアーも多いので、車がなくても容易に足を運べますよ。
紅葉&黄葉の目安時期:10月下旬
参考サイト(日本語):https://www.visitportugal.com/ja/node/73746