海外旅行の行き先の中でも特に人気のヨーロッパは、見どころがたくさん。
それだけに有名な観光地はしばしば人で溢れかえっており、もっと穴場的な所を知りたい!と思う人も多いのではないでしょうか。
この記事では欧州在住の筆者が、ヨーロッパの穴場の旅行先の探し方をまとめました。
日本人が思う穴場=欧州人の穴場ではない?!
『穴場』『秘境』『まだ誰も知らない』・・・こんなキャッチフレーズに惹かれる人は少なくないでしょう。
しかし実際にヨーロッパに住む筆者の体感として、欧州で“誰も知らない穴場”を見つけるのはかなり難しいです。
少なくとも、日本語のブログやSNSで『穴場』として紹介されがちな国や都市のほとんどはヨーロッパではもう穴場でもなんでもなく、日本人観光客は少なくても結局欧州人の観光客でごった返してるのがオチだったりします。
これがインターネットがなく、EU発足前で各国間に国境があり、異なる通貨を使い、さらには西側と東側で世界がくっきり分かれていた1980年代以前なら、おそらくヨーロッパ内でも穴場はたくさんあったでしょう。
しかし現在はガイドブックや旅人同士の口コミでの限られた情報だけではなく、時に何百万人というフォロワーがいるインフルエンサーやユーチューバーが、写真や動画で「ここは穴場です!」と声高に情報発信できる時代。
スマホひとつでいつでも&どこでも&好きなだけ情報収集が可能になった現代、以前は世界の大部分からひっそりと隠れていたであろう街や観光スポットも、もはや誰でも簡単に見つけられるようになっているのです。
さらにヨーロッパは金も時間もたっぷりある人が多い上、最近ではノマドワーカーも増えているため、特にパスポート無しで制限なく滞在できる+物価が安い+天候が暖かい南欧各国は欧州人の大のお気に入りで、穴場探しは至難の業。
しかし旅は大好きだけど人混みは嫌いな筆者は、少しでも穴場的な街・場所を旅するためにあの手この手を使っています。
続いてその内容を解説していきますが、この記事では具体的な穴場の国や都市はほとんど挙げません。
というのも、穴場の旅先と言っても都市が好きなのか自然が好きなのか、日程が5日なのか3ヶ月なのか、予算が10万円なのか100万円なのか、家族旅行なのか一人旅なのかetc.によって、おすすめは全く変わってくるからです。
そのためこの記事を参考にして、ぜひあなた自身で自分好みの穴場スポットを発掘してみてくださいね!
【国編】シェンゲン圏外&通貨がユーロ以外
まず最初に、穴場の国探しから始めてみましょう。
1つ目のポイントは、パスポートコントロールが必要なシェンゲン圏外の国であること。
シェンゲン圏=EU加盟国ではないので少々ややこしいのですが、シェンゲン圏を簡潔に説明したものがこちらです:
シェンゲン圏に該当するヨーロッパの国は 27 か国あります。 これらはいわゆるシェンゲン加盟国です。 欧州連合 (EU) の居住者は、これらの国内を自由に旅行できます。
Schengenvisum.info
つまりEU圏の居住者にとっては、時に長蛇の列ができる煩わしいパスポートコントロールがなく、パスポート無しで国内旅行のような感覚で行ける27のシェンゲン圏の国の方がラクな訳です。
そして2つ目のポイントが、ヨーロッパの多数の国で使用されている通貨・€(ユーロ)を使用していないこと。
こちらは想像しやすいと思いますが、数日の旅行のためにわざわざその国でしか使われていない通貨を用意しないといけないのは、少し面倒ですよね。
もちろん場所によってはカード決済もできますが、一般的にユーロが使われていない国ほどまだカード<現金という傾向にあり、全く現金を使わずに旅行するのは難しいでしょう。
そのためパスポートコントロール+現地通貨の調達という2つの手間が必要な国は、それだけで敬遠される理由になり得るのです。
この2つの要素を満たすのはバルカン半島の東ヨーロッパに多く、セルビア・北マケドニア・アルバニア・ボスニア・ヘルツェゴビナなどがその一例。
ちなみにクロアチアは2013年のEU加盟後もしばらく自国通貨を使用し続けシェンゲン圏にも含まれていませんでしたが、2023年にユーロ導入&シェンゲン協定に参加。
さらに同じくEU加盟国のブルガリアとルーマニアも2024年3月末にシェンゲン協定に一部加盟(※)したため、これらの国々はこれを機にさらに観光客が増えていくことが予想されます。
※空路と海路でのパスポートコントロール廃止、陸路は2024年内に廃止見込み(参照:Reuters)
【都市編①】国際空港がないor国際便が少ない
続いて穴場の都市・街を探すポイントも1つずつ解説します。
まず最初に、国際空港がない・あるいはあっても国際便が多く発着していない都市。
ヨーロッパの大部分は陸続きで、フライトがなくても電車・バス・車で行き来できるのは確かです。
それでも基本的には『人が多く行き来する=大きな空港ができる』という図式が成り立つことが多いです。
そのため例えばまずはフライトで拠点となる都市に到着したら、そこからさらに電車やバス、またはフェリーで別の街や郊外に移動してみましょう。
そうすることで、一気に観光客の数が減ることも珍しくありません。
【都市編②】SNSの投稿数が少ない
もう1つ、これは都市だけではなく国や観光スポットの人気度・知名度をチェックするのにも役立つのが、SNSの投稿数。
例えば旅行系の投稿も多いSNSの代表格インスタグラムでは、ハッシュタグを検索すると投稿件数が表示されます。
つまり、気になる都市や観光スポットをハッシュタグで検索することで、その場所がどれくらい有名かどうかの目安がつくということ。
ここで注意したいのは、検索は日本語とアルファベットの両方で行なった方がいいです。
地名の場合、同じアルファベットでも英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語etc.でスペルが違うこともありますが、最も多くの人が投稿するであろう英語の件数をチェックすれば良いでしょう。
すでに書いたように、ヨーロッパでは日本人にあまり知られていないだけで、欧州人には大人気という都市や観光地も結構あります。
そのため例えば日本語では投稿数が2桁以下でも、アルファベットだと5桁以上ヒットする都市や観光地も。
もし日本語でもアルファベットでも投稿数が少なければ、穴場である可能性が高いと言えるでしょう。
【都市編③】海岸沿いより内陸地
特に南欧各国でチェックしたいのが、こちらのポイント。
ヨーロッパ人はとにかくビーチ好きが多く、毎年夏になるとビーチというビーチはどこも人で溢れかえります。
そのため一般的な傾向として、海岸沿いの各都市より内陸の都市の方が見逃されがちに。
例えばスペインならバルセロナやイビサ島、クロアチアはドゥブロヴニク、ギリシャではサントリーニ島などなど、海岸沿いに世界的な超有名都市がある国でも、内陸では驚くほど観光地化されていない素朴な街が残っていることも。
ヨーロッパ各地のビーチが素晴らしいことは全く否定しませんが、内陸の街にも川や湖などの豊かな自然・歴史・グルメ・文化に恵まれた、魅力的な行き先がたくさんあるはずですよ!
【観光地編①】アクセスが悪い
こちらも具体的な観光地だけではなく都市全体にも共通するポイントですが、やはりアクセスが悪い・制限がある場所の方が観光客が少ない傾向になりがちです。
例えばこのような点があると、穴場要素が高まるかもしれません:
・公共交通機関で行けない
・最寄りのバス停や駐車場からさらに歩く
・バスやフェリーの本数が少ない
・山道や未舗装路など道が険しい
旅行者の中には車の運転ができない、時間が限られている、小さい子供や年配の人を連れている・・・という人もいますよね。
そうすると必然的に上記のような観光地には行きづらいので、アクセス至便の観光地に比べると全体的に観光客が少なくなるのは自然なことではないでしょうか。
アクセスが悪い=辿り着くのに時間や体力がかかるという場合も多いですが、それが問題にならないなら、とっておきの穴場を見つけるチャンスかも?
【観光地編②】Googleのレビューが少ない
筆者が旅をする時に最も頼りにするアプリがグーグルマップなのですが、その目的の1つが気になる観光スポットのレビューをチェックすること。
レビューの良し悪しももちろん大切ですが、レビュー件数=知名度だと思っているからです。
これが飲食店や商業施設だと、単に新しい=レビュー件数が少ない・古い=レビュー件数が多いとも言えますが、歴史的建造物やビーチ、新設ではないミュージアムなどの場合は、レビュー件数と知名度はある程度比例するのが一般的。
グーグルマップならレビュー件数で知名度・レビューでその評価・公式サイト・営業時間・写真や動画・アクセス方法などを全部まとめてチェックできるので、非常に効率的に情報収集ができます。
グーグルマップで穴場ビーチを探す方法!
ビーチ好きの人のために、穴場ビーチを探したい時に筆者が行う方法も簡単に紹介します。
①グーグルマップを『航空写真』モードに切り替える
②海の色や砂浜or岩場か、道があるのかetc.が鮮明になるので、ひたすら穴場ビーチを探す
歴史的建造物などと違って、ビーチの場合は海そのものの美しさは変わらないのにアクセスの良し悪しや飲食店や宿泊施設の充実度が少し違うだけで、人の数が文字通り何百倍も違うことがあります。
もしおしゃれなレストランやバーが欲しい、リゾートホテルに隣接したビーチがいい、様々なマリンスポーツを楽しみたい・・・などの要望がなく、シンプルにビーチそのものを楽しむのが目的で多少歩いたりするのが苦でないのなら、欧州でも穴場ビーチを見つけるのは決して不可能ではないと思います。
筆者はピークシーズンを少し外して9〜10月に南欧にビーチに行くことが多いのですが、そうすると↑の写真のようにまるでプライベートビーチかのごとく、広いビーチをほぼ独占できることすらありますよ!
有名観光地で少しでも混雑を避けるには?
ここまで穴場の都市や観光スポットの探し方を解説してきましたが、何だかんだ言っても人気スポットも行きたい!と思う人は多いでしょう。
1ミリたりとも全く興味がないなら話は別ですが、ルーヴル美術館にしてもサグラダ・ファミリアにしてもノイシュヴァンシュタイン城にしても、圧倒的な知名度を誇る観光スポットは、やはりそれだけの魅力や価値があるのが普通です。
では大混雑や大行列がつきものの超有名観光地を、少しでも静かに訪れるにはどうしたら良いのでしょうか?
オフシーズンに訪れる
最も手っ取り早い方法の1つが、ハイシーズンを避けてオフシーズンに訪れることです。
国によって細かい祝祭日の違いなどはありますが、一般的には1月中旬〜3月上旬頃と11月〜12月上旬頃がオフシーズンとされています。
学校や仕事で休みの日程の融通が利かない人はやむを得ないですが、そうでないのならぜひオフシーズンに旅の計画を立ててはいかがでしょうか。
逆に7〜8月の夏のバカンスシーズンや12月下旬〜1月上旬のクリスマスシーズン、そして移動祝祭日である春のイースターなどが最も混みやすいので、できる限りこの時期は避けるようにしましょう。
早朝から動き出す
1年の中の時期と同様、1日の中でも混みやすい時間帯とそうでない時間帯があります。
まだ多くの商業施設や観光施設がオープンしていない早朝は、特に静かな時間帯。
オープンする前だと当然施設の中には入れない訳ですが、外観の写真を撮ったり、人の少ない街を自由に歩き回ったり、朝日を鑑賞したりと、様々な過ごし方ができます。
早起きをするのもいいですし、早朝着のフライトや夜行バスを利用するのも効率的に観光できておすすめですよ。
ただし都市や特定のエリアによっては人が少ない深夜や早朝は治安が悪くなることもあるので、ホテルのスタッフなど現地情報に詳しい人に周辺の治安情報を確認しておくと安心です。
オンラインで事前に予約・購入する
有名な観光スポットは、チケット売り場や入口に長蛇の列ができていてすでに行く気が失せる・・・なんて経験をしたことがある人もいるかもしれません。
しかし現代では事前にオンラインでチケット購入や時間指定ができる場合も多く、そうすることで何十人と並んでいる行列をスキップしてあっさり入場できることも。
そのため気になる人気観光スポットがある場合、必ず最初に公式サイトをチェックするようにしましょう。
こちらもハイシーズンよりオフシーズン、午後より午前、週末より平日を狙うことで、より落ち着いて観光できる可能性が高くなります。
“◯◯から日帰りで行ける!”が売りの場所に宿泊する
日本でもよく東京や大阪などから日帰りで行ける、近郊エリアの人気ツアーや観光地がありますよね。
欧州でも同様に、パリやローマ、バルセロナといった超人気都市から日帰りで行けることを売りにした近郊の街や観光地があるのですが、そういった所にあえて宿泊するのもおすすめです。
なぜなら多くの人はその謳い文句を鵜呑みにして日帰りで訪れることが多く、昼間の時間帯は混雑しても夜から朝はごっそりと観光客が少なくなることもあるからです。
観光施設は夕方頃で閉まってしまう所が多いですが、怒涛の日帰り客が去った後の静かな街で時間を気にせずのんびりと散歩をしたり、ディナーを楽しんだり、天体観測をしたりと、宿泊者のみの特権とも言える貴重な経験ができるでしょう。
こちらはポルトガルの首都リスボンからの日帰りスポットとしてド定番のシントラについての記事ですが、似たようなメリットは他の街でもほぼ共通しています。
まとめ
旅行好きで人混み嫌いな欧州在住の筆者が、特にヨーロッパでの穴場スポット探しについてまとめました。
アジアやアフリカなどに比べると穴場中の穴場を見つけにくいのがヨーロッパですが、それでも比較的観光客が少ない都市や観光スポットはたくさんあります。
それらの場所は多かれ少なかれ何かしらの『不便』が付いていることが多いですが、穴場好みの人はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
また、人気観光地であっても時期や時間帯を変えるだけでもずいぶん人混みがマシになることもあります。
有名無名に関わらず魅力的な旅行先がてんこ盛りのヨーロッパ、ぜひあなたのお気に入りの都市や観光スポットを発見してみてくださいね!