バルカン半島に位置するアルバニアは、ヨーロッパで密かに人気が高まっている国の一つ。
1990年代まで事実上の鎖国をしていた特異な歴史を持ち、国の大部分が未だにほぼ観光地化されていない欧州では希少な国でもあります。
そんなアルバニアを旅行する際に知っておきたい、各地の気候データとベストシーズンをまとめました。
沿岸部と山間部で気候はかなり異なる!
“アルバニア”とパッと聞いても、一昔前まではアルメニアやアルジェリアやシルバニアファミリーとの区別もつかないような人が大多数だったのではないでしょうか。
しかし時は流れ、長年続いたアルバニアの鎖国は解かれ、国民の約1/3が全財産を失ったとされるネズミ講の混乱も落ち着き、今やアルバニアはヨーロッパで最も注目を浴びている国となっています。
それはさすがに大げさでは??と思ったあなた、これは筆者の個人的なうわ言でも戯言でもないんですよ!
2023年11月のアルバニア観光局の記事によると、2023年1月〜7月の外国人観光客の増加率は驚異の+56%、これは世界でも3位、ヨーロッパでは堂々の1位だったそう。
そんな飛ぶ鳥をも落とす勢いのアルバニアさんは、国土の西側がアドリア海&イオニア海に面した地中海性気候、そして内陸部は大陸性気候に分類され、それぞれ大きな気候の違いが見られます。
国土面積としては日本で言うと大体九州と四国の間ぐらいになり(28748km2)、九州や四国でも沿岸部と内陸部でずいぶん気候が異なるので、それと似たようなイメージで良いかもしれませんね。
そのため沿岸部から内陸部までじっくり周りたい場合、気候の変化に合わせた服装を心がけることが大切です。
それでは続いて、アルバニアの各主要都市の気候データを詳しく解説していきます!
アルバニア各地の気候データ!
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それではこの記事では、首都ティラナ(Tiranë)、南西部のビーチリゾートであるヴロラ(Vlorë)、そしてギリシャとの国境にも近い標高約850mのコルチャ(Korçë)の3都市の平均最高気温・最低気温・降水量・日照時間のデータを取り上げていきます。(参照サイト:Climates to travel)
ティラナ
ヴロラ
コルチャ
まず気温に目を向けてみると、ティラナとヴロラは7月・8月の平均最高気温がいずれも30℃を超え、やはりかなりの暑さであることが分かります。
そのためもしこの時期に旅行するのであれば、日焼け止め・帽子・サングラスなどを使用しつつ、水分補給&休憩をしっかり取り、熱中症や強烈な紫外線には充分注意しましょう。
幸い夏は昼の時間がたっぷりあるので、街散策やビーチで遊ぶのは午前中や夕方以降にして、最も暑い12時〜16時頃はカフェやショッピングモールなどの屋内でのんびり過ごすのもおすすめ。
またその真夏でも朝晩はそれなりに気温が下がり、屋内だと冷房がガンガン効いている所もあるので、少なくとも1枚は長袖の服は持っていきましょう。
そして標高の高いコルチャは夏の暑さはマシな一方で冬は平均最低気温が氷点下まで下がるので、しっかりとした防寒対策が必須です。
続いて日照時間のデータを見ると、やはりサマータイムを導入していることもあり、夏と冬でずいぶんと差があります。
日照時間が長く、雨が少なく、なおかつ暑すぎない5月・6月・9月辺りは、特に初めてのアルバニア旅行にはメリットが多い時期と言っていいでしょう。
逆に日照時間が短く雨や曇りの日が多くなる11月〜3月上旬頃は、やはり夏より暗く地味な印象になるのは間違いありません。
ただしよほどの山間部でなければ寒さはそこまで厳しくないので、観光客でごった返す夏のガヤガヤした感じが苦手なら、オフシーズンならではの静かな雰囲気を楽しむのも悪くないかも?
この時期は当然昼の時間も夏よりずっと短いので、効率的に予定を立てて観光するか、あるいは全く逆に“普通”の市場や公園や庶民的なレストランに足を運び、観光客ではなく地元民のように過ごしてみるのも面白いかもしれませんね。
それでは続いてこういった気候データも踏まえた上で、アルバニア旅行のおすすめシーズンも紹介していきます。
目的別!アルバニアのベストシーズン
ユニークな歴史的建造物、鮮やかなターコイズブルーのビーチ、雄大な国立公園、西欧とは趣の異なるショッピングストリートなど、アルバニアを訪れる目的や理由は人それぞれ。
またアルバニアは特に日本人の間では『穴場』『秘境』として紹介されがちな国で、それを期待して旅を計画する人もいるでしょうが、前述の通り観光客は年々激増しています。
そのためピークシーズンに人気観光地に足を運べば普通に観光客だらけで、穴場感ゼロのガッカリ体験になる可能性も。
そういったポイントも踏まえ、目的別のベストシーズンをまとめました。
街散策を楽しみたい
食べ歩き、ショッピング、ミュージアム巡りなどを楽しみたいなら、サマータイムで昼が長い&気候が穏やかな3月下旬〜6月中旬と9月中旬〜10月頃がおすすめ。
この時期であれば、よほどの山間部でない限りは寒すぎず暑すぎずで快適に屋外を歩きやすく、また真夏のバカンスシーズンほどは観光客も多くないでしょう。
6月前後であれば20時を過ぎてもまだまだ明るく、特に首都ティラナや大人気ビーチリゾートのサランダ(Sarandë)などでは、遅くまで食べたり飲んだり遊んだりできるスポットはたくさんあります。
アルバニアは2024年現在もマクドナルドもスターバックスもない欧州では実に珍しい国なので、ぜひそれらの世界的チェーン店に替わるお気に入りのカフェやレストランを、自分の足と舌で探してみてはいかがでしょうか:)
綺麗なビーチで遊びたい
アルバニアの大きな魅力の一つである美しいビーチで遊び尽くしたいなら、6月下旬〜7月上旬あるいは9月がベスト。
繰り返すようですがアルバニアは凄まじい勢いで観光客が増えている国であり、特にビーチは泳げるシーズンが限定されているため、どうしても7・8月に人が殺到しがち。
そのため真夏のピークを外し、その前後を狙うのが無難です。
運良く気温が上がり明るい日差しが照っていれば、6月のもう早い時期や10月でも泳げる日はあるでしょう。
人混みを避けてのんびり観光したい
とにかく人混みが嫌い!というタイプは、サマータイムの時期を避けて冬季である11月〜3月中旬頃を狙いましょう。
他のヨーロッパ諸国と同様、10月下旬にサマータイムが終わると一気にオフシーズンモードになります。
さらにクリスマスシーズンになると“ゆるめのイスラム教”という欧州の中では非常に特徴的な雰囲気を持つアルバニアでは、西〜中欧のような華やかさや派手さはないものの、素朴なイルミネーションを楽しむこともできるでしょう。
ただし特にビーチリゾートは夏季のみオープンし冬のオフシーズンは閉まってしまう宿泊施設や飲食店もあるので、宿泊施設だけでも事前にチェック&予約しておくと安心です。
また、上記のデータでも紹介した通り、冬季は夏季よりも雨が多いので、天気が悪くなった時のプランも考えておくと良いでしょう。
なるべく安く旅行したい
アルバニアはヨーロッパの中では最も安く旅行ができる国の一つですが、ピークシーズンである7月・8月はなるべく避けた方が良いでしょう。
需要が高い時期ほどホテルや航空券、ツアー料金が上がるのは全世界共通であり、夏のバカンスシーズンの真っ只中になれば全体的に旅行費が高くなるのは必然と言えますよね。
またアルバニア自体はイスラム教徒が多いですが、ヨーロッパからの旅行客が大多数を占める国なので、その休暇シーズンとなるクリスマスやイースターの時期も高くなりがち。
もし欧州各地からRyanairやWizz AirといったLCCを利用してアルバニアを訪れる場合、日程が数日違うだけで料金が何倍も変わることもあるので、最安値に合わせてフライトが取れればベストです。
アルバニア旅行で避けた方が良い時期は?
アルバニアのベストシーズンは旅の目的や期待する雰囲気、予算などによって異なることを解説してきましたが、避けるべき時期はあるのでしょうか?
すでに少し触れたように、基本的に真夏の7月8月はあまりおすすめしません。
もしこの時期のみに開催されている特定のイベントなどが旅の目的の場合は別ですが、そうでなければ最も多くの観光客が訪れ、混雑し、料金も高くなるのが明白だからです。
それに加え、何十年も前から観光立国としての歴史や経験があるスペインやフランスなどと違い、アルバニアはこの数年で急激に人気が出てきた言わば観光新興国。
そのためまだインフラが西欧ほど整っておらず、例えば公共交通機関の本数や時間の正確さ・道路の走りやすさ・宿泊施設の数やクオリティ・観光スポットや飲食店のオンライン予約の可否etc.を考慮すると、ピークシーズンは需要に供給が追いつけない可能性が。
思わぬハプニングや予定変更を楽しめるタイプなら良いですが、なるべくストレスなくスムーズに旅したいなら、溢れる観光客でどこもかしこもパンク状態になりかねない真夏はマイナスポイントが多いと認識しておくと良いでしょう。
逆にオフシーズンである11月から3月上旬頃は、雨が増え太陽が顔を出す時間も夏よりずっと少なくなるため、どうしても地味な印象になります。
ビーチで泳げないのはもちろん、宿泊施設・カフェ・レストラン・バーなども冬季はお休みということもあるので、観光・グルメ・宿泊など様々な面で夏よりオプションが減ることは頭に入れておきましょう。
観光客の少なさや全体的な旅行費の安さは大きなメリットですが、いわゆる『映え』を意識した旅をしたいなら、晴れが多く、カフェやバーもテラス席まで活気に満ち、海も山も楽しみやすい夏季の方が向いています。
まとめ
ヨーロッパで人気急上昇中のアルバニアの気候やベストシーズンを、欧州在住の筆者が解説しました。
特に2022年のコロナ収束&ロシアのウクライナ侵攻以降、ヨーロッパ各地は観光業の復活&物価高騰が顕著で、完全なる『穴場』に『激安』で旅することは、ほぼ不可能になっています。
アルバニアも365日いつ行ってもガラガラ&激安・・・という時代ではすでになく、今後もさらに観光客の増加とそれに伴う物価上昇は続いていくことでしょう。
さらに気候変動の影響もあってか夏の暑さも強烈なので、自分自身の旅の目的・予算・体力を考慮して時期を選ぶことが大切です。
自然・歴史・グルメ・建築などなど、個性的な魅力に溢れるアルバニアへの旅行、ぜひ楽しんでくださいね!