EU加盟国では最も東に位置し、北をトルコ系・南をギリシャ系住民が占める事実上2つの国に分断されているキプロス。
ギリシャ神話にも度々登場する地中海の小国は、歴史・文化・自然・グルメなど見どころがたくさん。
そんなキプロスでぜひ行きたい観光スポットを、厳選して紹介します。
世界で唯一の2つの国に分断された首都ニコシア
世界広しと言えど、首都が2つの国に分断されているのはキプロスのみ。
ニコシア(Nicosia)は1974年以降、北を北キプロス・トルコ共和国、南をキプロス共和国が支配するようになりました。
元イギリス領のため基本的にどちら側でも英語が通じるとは言え国境を越えると言語も通貨も宗教も変わり、正にトルコとギリシャを行き来するかのような感覚に。
あてもなく路地を歩くだけで充分楽しい街ですが、北キプロス側にある1326年完成のキリスト教カテドラルを16世紀にモスクに改修したセリミエ・モスク(Selimiye Camii)は、まさに教会にミナレットが生えたようなユニークな造りが必見です。
世界遺産の古くて新しい都市パフォス
キプロスを旅行する理由は人によって様々ですが、それが史跡探索であれビーチであれ食べ歩きであれ、パフォス(Paphos)は理想的な都市と言えます。
ギリシャ神話や新約聖書とも関わりが深いこの地は世界遺産に登録されており、古代から中世までの多くの遺跡はパフォス考古学公園(Paphos Archaeological Site)で見学が可能。
そんな数千年前の古代遺跡が街の中心にそのまま残る一方で、地中海リゾートとして特にEU加盟以降は発展を続けており、上質なホテル、レストラン、バー、ナイトスポット、ショッピングストリート、ウォーターパークなど若者からファミリーまで世代を問わず楽しめるスポットが目白押しです。
フラミンゴが生息する英国領リマソール塩湖
キプロスの代表的なフラミンゴの生息地として知られるスポットが、リマソール塩湖(Limassol Salt Lake)です。
イギリスの海外領土であるアクロティリにあるこの塩湖は、乾季である夏と雨季の冬で全く異なる表情を持ちます。
夏は湖が干上がり塩でできた白い大地と化すのに対し、冬は最大20000羽とも言われるフラミンゴを始めとした多数の野鳥の楽園に。
キプロスは夏のイメージが強いビーチリゾート国ですが、ダイナミックな景観の中での野鳥観察は冬に訪れる際の大きな魅力と言えます。
またラルナカ塩湖(Larnaca Salt Lake)も同様に人気のフラミンゴ生息地のため、行きやすい方に行くといいでしょう。
ホテルも街も空港も・・・リアル廃墟ツアー
キプロスが1974年に南北に分断された際、それまで島の各地に住んでいた住民の一部は移動を余儀なくされました。
トルコ系住民は北へ、ギリシャ系住民は南へ。
その時から約半世紀経った今、未だに時が止まったかのように残された街や建物、空港が点在しています。
最も有名なゴーストタウンが北キプロスにある街ファマグスタ(Famagusta)のヴァローシャ(Varosha)という地区で、かつてセレブにも人気のビーチリゾートとして急成長を遂げていたこのエリアは1974年に住民が立ち退きを命じられて以降、完全に廃墟となりました。
ヴァローシャはトルコ軍の管轄下にあり、数十年に渡って一般人の立ち入りは禁止されていましたが、コロナ禍だった2020年から部分的に観光客にも立ち入りが許可されるようになっています。
2024年現在、ヴァローシャにはカフェやレンタサイクルも登場しており、今後観光化がさらに進む可能性もあるため、『廃墟らしさ』を味わいたいなら早めに行くのが良いかも?!
ギリシャ神話の女神が誕生した伝説の岩
ボッティチェッリの名画『ヴィーナスの誕生』で描かれている貝の上に立つ美しい女神、それこそがパフォス近郊で誕生したという愛と美の象徴アフロディーテ。
美しい海岸の中でひときわ存在感を放つ巨石ペトラ・トゥ・ロミウ(Petra Tou Romiou)で生まれたとされるアフロディーテの伝説から、この海で泳ぐと若さを手に入れられるのだとか。
その効果の真偽はさておき、キプロスを代表する絶景夕日スポットでもあるので、ギリシャ神話の愛と美の女神に思いを馳せつつロマンチックな夕日を眺めてみては:)
感性と知性を刺激する多彩なミュージアム
屋外の史跡やビーチが天候に左右されるのと違い、猛暑の夏や雨が多い冬でも関係なく過ごせる各種ミュージアムは、アート好きでなくてもぜひ立ち寄りたいスポット。
特に人気なのは英国領時代の1888年オープンの老舗ミュージアムであるニコシアのキプロス考古学博物館(The Cyprus Museum)、その名の通りおとぎの国に迷い込んだかのようなフェアリーテイル美術館(Fairy Tale Museum)、車好きは見逃せないリマソールのキプロス クルマミュージアム(Cyprus Motor Museum)、キレニア城と共に訪れたい難破船博物館(Shipwreck Museum)など。
歴史を学ぶも良し、家族やカップルでのんびり楽しむのも良し、マニアックな知識を増やすのも良し。
興味のある分野に合わせてぜひお気に入りの1か所を見つけましょう。
ポストイビサ?ビーチ×クラブで遊びまくる
キプロスで一番有名でしばしばヨーロッパベストビーチにも選出されるのが、ニッシビーチ(Nissi Beach)。
その透明度の高いターコイズブルーの海と眩しいほどに白い砂浜の美しさは言うまでもなく、このニッシビーチは欧州でも有数の最新クラブやパーティーが同時に楽しめるビーチとして大人気。
夏には朝まで泡パーティーが開催され、最新の音楽と共に飲んで、踊って、遊んで、盛り上がって、忘れられない思い出になること間違いなし!
その知名度故に夏の混雑は必至なので、なるべく落ち着いた雰囲気を堪能したければオフシーズンの11月後半〜3月頃に訪れるのがベターです。
なおキプロスのビーチはこちらの記事で詳しく紹介しています。
眺望も抜群の山の中に佇む聖なるキッコス修道院
華やかで賑やかな雰囲気のビーチエリアに対し、キプロス中央部から西部には険しいトロードス山脈(Troodos Mountains)が連なり、欧州中のハイキングやスキー愛好家を魅了しています。
トロードス山脈には世界遺産に登録された12の聖堂群があるのですが、あえてその対象になっていないキッコス修道院(Kykkos Monastery)を取り上げます。
標高1318mの緑豊かな山中にあるキッコス修道院は元々11世紀の終わりに建てられた非常に歴史ある修道院ですが、幾度とない火事に見舞われたため現在の建物は1979年にできた新しいもの。
聖ルカが描いたとされる聖母マリアのイコンは見た人が盲目になると信じられており、上部は完全にカバーされた状態で神秘的かつ厳かな雰囲気が漂います。
キプロスで最も裕福とされる修道院にはミュージアムが併設され、展示された膨大な宝石、法衣、書物、イコンなどのコレクションを見ればそれも納得。
古き良き伝統が残る美しい村々で田舎体験
初めてのキプロスかつ日程が限られている旅行者の場合、ほとんどはパフォスやラルナカなど歴史的建造物と美しいビーチが集中するエリア+首都ニコシアという行程で終了するのですが、少しでも時間に余裕があるならぜひ山間部も訪れましょう。
トロードス山脈近郊には人口数十人〜数百人程度の美しく、慎ましく、伝統的な村がいくつもあります。
それらの多くの村では何百年も変わらないかのような伝統的な暮らしが色濃く残り、モダンな沿岸部の大都市とは対照的な昔ながらのキプロスの雰囲気が見て取れます。
特に景観が良いとされるのがカロパナイオティス(Kalopanayiotis)、その南のムトゥラス(Moutoullas)、ロフウ(Lofou)、フィカルドゥ(Phicardou)、オモドス(Omodos)etc…
小国のためいずれの村もメジャーな都市から日帰りで行くことができますが、村に滞在すれば自然散策や天体観測、伝統料理などをよりゆっくりとリラックスして体験できるでしょう。
雄大な自然が広がるアカマス半島
キプロス北西部に位置するアカマス半島(Akamas Peninsula)は、国立公園にも指定された雄大でダイナミックな自然が魅力のエリア。
希少な動植物の宝庫でもある半島は自然そのままの険しい地形のため、4WDでしか通行できない道も多々。
それでも海あり森あり谷ありの見どころがたっぷり詰まったこのエリアは、アウトドア派には特にスルーできない名所がたくさん!
絶好のシュノーケリングスポットであるブルーラグーン(Blue Lagoon)、ウミガメの産卵地として知られるララビーチ(Lara Beach)、かの女神も水浴びしたとの言い伝えがある若返りの泉・アフロディーテの泉(Baths of Aphrodite)などで自然の醍醐味を満喫しましょう。