2024年6月14日にドイツのミュンヘンで開幕した4年に1度のサッカーの祭典・EURO。
ドイツの10都市で熱戦が広げられる中、隣国オランダ在住の筆者も観戦に行ってきました。
W杯やクラブの試合とは違う魅力とは?日頃からサッカー観戦によく行く筆者が、独自の視点でレポートします。
数時間で実感した『最高のホスト国』感
さてこんなタイトルを付けときながら最初に正直に申し上げておきますと、筆者はW杯には1度も現地観戦に行ったことはありません。
じゃあEUROの方が面白いなんて評価するなこの知ったかぶりが!!・・・と思われたなら、もちろんそう思ってもらって構いません。
しかしフランスで開催された2016年のEUROが終わった直後にオランダに移住し、EURO2020を含めて様々な国で様々な試合を観戦してきた筆者にとって、このドイツでのEURO2024観戦は間違いなく最高の経験の1つだったと感じています。
それはオランダから夜行バスでドイツに到着し、街を歩いた最初の数十分だけで、良い意味で通常のサッカーの試合とは全く違うと肌で感じることができました。
どういったポイントが良かったのかはこの後にまとめるとして、まず最初に筆者が観戦した試合の情報を簡単に解説します。
筆者が観戦した試合の概要
試合①2024年6月16日 グループステージ初戦・スロヴェニア代表vsデンマーク代表
−チケット購入・・・試合前日にUEFA公式サイトから
−チケット価格・・・€150(カテゴリー2)
−場所・・・シュトゥットガルト
−試合結果・・・スロヴェニア代表 1−1 デンマーク代表
試合②2024年6月22日 グループステージ2戦目・ジョージア代表vsチェコ代表
−チケット購入・・・試合当日にUEFA公式サイトから
−チケット価格・・・€150(カテゴリー2)
−場所・・・ハンブルク
−試合結果・・・ジョージア代表 1−1 チェコ代表
↑を見て、ずいぶん渋い試合だとかチケット高いとか色々感じるかもしれませんが、おそらくチケットを当日&前日に購入したことにも驚かれるかもしれません。
ご存じの方も多いでしょうが、このEURO2024では大会開始前に何度かチケット抽選販売がありました。
が、筆者はいずれも抽選で落ち、現地観戦はほぼ諦めていたのですが、大会開始後にふとUEFA公式サイトをチェックしたらチケットがあったので急遽翌日の試合を観に行くことにしたのです。
その後頻繁にチケットページをチェックすることにした結果、試合直前になると違うカテゴリーのチケットが出てくることがあることも分かったので、2試合目のジョージア代表vsチェコ代表は、現地ハンブルクに到着してからチケットを検索。
筆者は庶民派なので本当はカテゴリー3のチケットを狙っていたのですが、結局それは叶わず、キックオフ15時の試合のチケットを当日12:45に購入しました。
このチケット購入をしたハンブルク中心地のカフェはスタジアムまで1時間近くかかる場所だったので、試合開始に間に合うか少し心配だったのですが、チケット購入から約10分後にモバイルチケットが送られてきて、全く問題ありませんでした。
日本からだとさすがに渡航時間が長いので試合前日にチケット購入というのは難しいかもしれませんが、ヨーロッパ在住だったりあるいはヨーロッパを旅行中だったりすれば、直前にチケット購入して弾丸観戦に行くことも可能だということですね。
それでは続いてそのドイツでのEURO2024観戦で筆者が個人的に良かったと思うポイントを、具体的に挙げていきます!
抜群の交通網で選手&ファンの移動が容易
まず最初のポイントは1カ国開催による恩恵でもある、交通面。
ドイツは日本よりわずかに小さい面積で、ヨーロッパの中では大きい方の国ではありますが、そのほぼ全土を鉄道・高速道路・フライトが網羅しており、都市間の移動は非常に便利です。
さらにドイツは9つの国と国境を接しており、このうちルクセンブルクを除く8つの国がEUROに参加しています。
そのため各国のサポーターは自国と容易に行き来でき、例えば仕事や家庭、学校で時間が限られている人でも観戦がしやすい環境と言えるでしょう。
当然移動時間の短さは選手の身体的負担を減らすことにもなり、結果としてレベルの高いプレーが見られたり怪我の減少に繋がったりする可能性もあります。
さらにさらに、EURO2024ではチケット保持者にそのエリアで有効の交通フリーパス(バス・トラム・メトロ・近距離列車)と鉄道料金の割引も適用されます。
参考ページ(英語):
そのため1都市のみの観戦であれば、その都市に着いてからはプラスで交通費を払う必要が一切なく(タクシーなどを使わなければ)、複数の都市で観戦する場合も通常より割安で移動できるということ。
特に物価高が気になる今日このごろ、これは嬉しい特典ですよね!
地元民のサッカー愛がすさまじい
続いてのポイントは、世界広しと言えどドイツならではの特徴だと思います。
世界にはサッカー強豪国や伝統国と呼ばれる国がいくつかありますが、その中でも特にサッカーが生活に密着し、スタジアムに観戦に行く熱烈なファンが多いのがドイツです。
W杯しか見ない人からすると、ドイツは2022年大会で日本との対戦に敗れ結果的に2大会連続のグループリーグ敗退だったのも記憶に新しく、『強豪国』という呼称に違和感を感じるかもしれません。
ドイツ代表がここ数年の大舞台で不甲斐ない成績を連発しているのは間違いないですが、それでドイツ各地のサッカーファンが消え去った訳では全くないことを証明する、驚異的なデータを紹介します。
Transfermarktというサイトの“2023/2024 平均観衆が最も多いスタジアムランキングTOP50”(原文英語)がそれで、その上位20位までと21位以下からの抜粋がこちらになります。
平均観衆数 | 稼働率 | |
1位/ボルシア・ドルトムント | 81365 | 100% |
2位/バイエルン・ミュンヘン | 75000 | 100% |
3位/マンチェスター・ユナイテッド | 73504 | 98.2% |
4位/インテル・ミラン | 73163 | 96.4% |
5位/ACミラン | 72362 | 95.3% |
6位/レアル・マドリード *スタジアム改修中 | 69236 | 85.4% |
7位/マルセイユ | 63621 | 94.4% |
8位/ローマ | 62439 | 85.2% |
9位/ウェストハム | 62058 | 99.3% |
10位/トッテナム | 61726 | 99.5% |
11位/シャルケ | 61591 | 98.9% |
12位/アーセナル | 60130 | 99.1% |
13位/ベンフィカ | 60108 | 93.0% |
14位/フラメンゴ | 59385 | 72.2% |
15位/セルティック | 58553 | 96.3% |
16位/アトレティコ・マドリード | 58486 | 86.2% |
17位/ハンブルガーSV | 56617 | 99.3% |
18位/フランクフルト | 55000 | 100% |
19位/アヤックス | 54104 | 97.3% |
20位/シュトゥットガルト *スタジアム改修中 | 53383 | 88.6% |
21位/マンチェスター・シティ | 53427 | 97.1% |
25位/リヴァプール | 50075 | 92.6% |
27位/FCケルン | 49620 | 99.2% |
32位/ヘルタ・ベルリン | 46411 | 62.2% |
33位/PSG | 46140 | 92.9% |
34位/RBライプツィヒ | 44961 | 95.5% |
1位2位をドイツのメガクラブが共に稼働率100%で占めているのに加え、EURO2024の会場になっている10のスタジアムのうちデュッセルドルフ(2部)以外の9のスタジアムが、2部リーグの3クラブも含め全て50位以内に入ってるのもすごいですよね。
ちなみにそのデュッセルドルフも、同サイトの別ページで平均観衆数40470人とのデータがあり、トップ50に近い数字を誇っています。
特に2部リーグのシャルケやハンブルガーSVが、マンチェスター・シティ、リヴァプール、PSGといったヨーロッパのメガクラブよりも平均観衆数も稼働率も高いというのは、純粋に驚異的ではないでしょうか。
つまりEURO2024の開催地の地元民は、「EUROだから」「有名な選手が出るから」観るのではなく、日頃から地元のクラブをスタジアムで観て、応援し、一喜一憂し、議論し合うなど、サッカーが当たり前のように生活の一部になっていることが想像できます。
こうしたサッカーを心から愛し、理解し、目の肥えたファンが創り出す街全体やスタジアムの雰囲気と、日頃全くサッカーを見ないいわゆるにわかファンが創り出す雰囲気は、完全に別物です。
サッカーが根付いた国ならではの手際の良さ
そしてその『サッカーが当たり前のように生活の一部になっている』点は、様々な場面で経験としてしっかり活かされていると感じました。
筆者はこのEURO2024の24の参加国のうち18の国にサッカー観戦に行ったことがある他、欧州の中でもサッカー先進国とは言えない国のマイナーなスタジアムにも足を運んだことがあり、そうするとこのような経験をすることがあります:
・スタジアム入場に異常に時間がかかる(係員が少ない、ゲートが少ない、案内が分かりづらい、荷物検査やチケット読み取りに時間がかかるなど)
・荷物検査が適当すぎて安全面が怪しい
・現地語しか通じない
・手荷物預かり所がない
・試合前後の街の治安が不安
その点、ドイツではシーズン中は毎週末5万人クラスの大観衆が各スタジアムに押し寄せ、週によっては地元クラブ同士のダービーマッチ、優勝や下位リーグへの降格、上位リーグへの昇格などがかかった極めて緊迫する試合が行われることもあります。
そのため地元民が大多数の国内戦or国外からのファンが多いEUROという違いはあるものの、こういった大きな試合が開催される際の『押さえるべきツボ』を、すでに心得ている訳です。
例えばスタジアム入場時に荷物検査をするスタッフ、スタジアム周辺や街に配置されたガッチリ武装した機動隊や警察、そして英語も堪能なボランティアなどが、それぞれ非常に手際よくEURO運営を支えている印象を受けました。
それは言葉や文化の異なるあらゆる国からのゲストを受け入れるホスト国として、最も重要なポイントの1つではないでしょうか。
ちなみにこのドイツの運営の良さは、ほぼ同時期にアメリカ合衆国で行われたコパ・アメリカでの数々の問題(試合後に選手がファンと乱闘、チケット無しのファンが押し寄せて決勝の試合開始が遅延など)によって、より際立ったと思います。
伝統と機能性を兼ねた観やすいスタジアム
サッカー観戦において、スタジアムの良し悪しも重要なポイントですよね。
EURO2024に使用される10のスタジアムは、ベルリンを除いて全てがサッカー専用スタジアムとなっており、臨場感のある迫力満点の雰囲気が満喫できます。
そしてライプツィヒやミュンヘンなど2000年代にオープンした若いスタジアムから、1920〜30年代に創業の超ベテランスタジアムまで、実に幅広い年代のスタジアムがその舞台に。
その100年近い歴史を誇るスタジアムを含むほぼ全てのスタジアムは2006年ドイツW杯にも使用されたため、その前にオープンまたは大改修されており、いずれも近代的な機能も兼ねた快適なスタジアムとなっています。
そして歴史があるということは、それに伴う物語があるということ。
筆者が今回のEUROで訪れたシュトゥットガルトとハンブルクはそれぞれ1930年代&1950年代オープンの老舗スタジアムで、いずれも1974年&2006年のW杯にも使われたそう。
それ以外にも数え切れないほどのクラブや代表の試合が行われ、歓喜・感動・興奮・失望などあらゆる瞬間が刻まれてきた訳です。
そして、この白熱のEURO2024が終わった後は?
またそこには毎週末になると数万人のファンが足を運び、新たな名勝負・名場面が幾多も生まれることでしょう。
この点がほぼ全てのスタジアムが大会直前に大急ぎで建設され、すでにサッカーの試合に利用すらされていないスタジアムもある2022年W杯とは大きく異なります。
全てのファンが楽しめる開放的な雰囲気
これはEUROやW杯ならではの特徴だと思いますが、街中やスタジアムには試合が行われるチーム以外のあらゆるユニフォームを身に着けたファンが溢れかえり、それぞれが思い思いに楽しんでいます。
例えばレアル・マドリードvsバルセロナの試合に、アトレティコ・マドリードのユニフォームを着た人が来るでしょうか?
マンチェスター・ユナイテッドvsマンチェスター・シティの試合に、アーセナルのユニフォームを着た人が来るでしょうか?
まず来ません、来たらボコボコにされる・・・というのは言いすぎかもしれませんが、何かしらのトラブルが起きても不思議ではないでしょう。
しかし短期間かつ近距離の会場で各代表チームの試合が行われるEUROでは、各代表チーム、クラブや特定の選手、さらにはEUROに参加すらしていない国など、『このユニフォームはNG』という縛りは一切ありません。
さらに“LGBT先進国”とも言えるドイツでは2022年にW杯が行われた某国とは違い、特定の人が肩身の狭い思いをして過ごすこともないでしょう。
性別・年齢・国籍・人種の違いを超えてサッカーを愛する全ての人が楽しめる一体感こそが、EUROの醍醐味だと筆者は感じます。
スポーツ観戦にも観光にも快適な気候
これは観戦するファン、そしてそれ以上にプレーする選手に取って重要なポイントだと思います。
このEUROが行われる6月中旬〜7月中旬頃、ドイツは最も天候が恵まれている国の1つと言っていいでしょう。
記憶にも新しい2022年のW杯は、猛暑の中東開催だったため11月〜12月という欧州のサッカーシーズン真っ只中の時期に変則開催。
6月になるとすでにヨーロッパ内でもスペインやイタリアなど南欧各地では35℃を超える日も珍しくなく、とても90分以上走り続ける競技に適した天候とは言えません。
ドイツでも稀に30℃を超える日はありますが、その割合は前述の南欧各国よりずっと少ないのは明白です。
さらにこの時期は21時を過ぎてもまだ明るく、スタジアム観戦はもちろん屋外のパブリックビューイングや雰囲気抜群のテラスでの観戦、もちろん通常の観光にも最高の季節と言って良いでしょう。
2026年W杯以降にEURO2024の再現は無理?!
筆者はEUROを持ち上げまくってW杯をこき下ろしたい訳では決してないのですが、今後、W杯がEURO2024のような大会を再現するのは難しいと思っています。
それを説明するために、2026年以降のW杯とEUROの開催地とそれぞれの出場国数を見てみましょう。
2026年W杯・・・カナダ・メキシコ・アメリカ合衆国/48カ国
2028年EURO・・・イングランド・北アイルランド・スコットランド・ウェールズ・アイルランド/24カ国
2030年W杯・・・モロッコ・ポルトガル・スペイン・アルゼンチン・ウルグアイ・パラグアイ/48カ国
2032年EURO・・・イタリア・トルコ/24カ国(予定)
2034年W杯・・・サウジアラビア/48カ国(予定)
まず2026年W杯から出場国が現在の32カ国⇢48カ国に拡大され、それに伴い全体の試合数も64試合⇢104試合に激増します。
2026年W杯開催国のカナダ・メキシコ・アメリカ合衆国の合計総面積はドイツの75倍以上になり、開催地の東西南北で大きな気候の違いがあるのに加え、時差もあります。
2030年W杯に至っては気候どころか季節も逆の北半球(モロッコ・ポルトガル・スペイン)+南半球(アルゼンチン・ウルグアイ・パラグアイ)の開催で、FIFAさんの商業主義もここまで来ると清々しいレベルと言わざるを得ません。
モロッコ・ポルトガル・スペインだけなら移動距離は比較的抑えられそうですが、開催予定の6月〜7月は凄まじい暑さになるのは避けられないでしょう。
そして2034年のサウジアラビアは言わずもがな。
1カ国開催による移動距離の短さなどの恩恵はあるものの、2024年6月には50℃を超えるほどの猛暑で多数の人が亡くなったと報道があり、とてもサッカーができる環境ではないので恐らくまた冬季に開催されるのでしょう。
そうすると日本を含む世界中のトッププレイヤーの多くが所属する欧州のサッカーシーズンとまたガッツリ重なるため、コンディション調整も難しくなります。
あるいは有り余るオイルマネーを使えば全天候型スタジアムを建設できるのかもしれませんが、そこには何の歴史も伝統もありません。
ではEUROはどうかと見てみると、2028年はズラズラ国名が書かれていますが要はイギリス+アイルランドで、島国とはいえ隣り合う国同士での開催です。
イギリスはサッカーの母国ですから当然伝統あるスタジアムが目白押しで、気候も少なくとも南欧や中東よりはずっと快適なはず。
が、2032年はイタリア+トルコに決定しており、これも移動距離や気候が懸念事項となるでしょう。
つまりW杯にせよEUROにせよ、出場国枠を増やせば試合数が増え、それに伴い1カ国開催が難しくなり、移動距離の増加や過密日程、それに加えて過酷な気候により選手への負担が増える訳です。
しかしファンからすれば試合数が増えればチケットを購入できる可能性が高くなりますし、出場国枠が増えることでEURO2024に初出場を果たしベスト16に進出したジョージアのように、意外な新興勢力が台頭してくることもあるでしょう。
結局のところ選手にとってもファンにとっても100点満点という答えは存在しないのですが、ひとりのサッカーファンとして、あまりにも過度な商業主義に走ってほしくはないというのが個人的な本音です。
サッカーの醍醐味や魅力は色々とありますが、あくまでもその主役は選手であり、選手が怪我や疲労で本来のパフォーマンスを発揮できないのはマイナスでしかありませんからね。
現役引退を表明したクロース選手が2020年に語った言葉
最後にこのEURO2024の後に現役引退することを表明したドイツ代表トニ・クロース選手が、以前残した言葉を紹介します。
クロース選手はこのEURO2024の直前に行われたチャンピオンズリーグも優勝するなど、所属するレアル・マドリードでもバリバリ活躍中での引退表明だったため世界を驚かせましたが、2020年11月に弟とのポッドキャストでこのように語っていました。
「FIFAやUEFAが新しい大会を作る上で、僕たち選手は『操り人形』でしかない。誰も僕らには、意見を求めてこないんだ」
「(統治機関が)できるだけ多くの金を搾り上げるためのもので、選手を著しく消耗させる」
(THE DIGESTより)
EUROの出場国は1996年に8⇢16に倍増、2016年にさらに16⇢24に増えたため、1992年〜2016年の24年の間に3倍に増えました。
W杯も同様に1994年に24だった枠が1998年に32に増え、前述の通り2026年大会から48になり、30年余りの間に2倍に。
これに加え2018年にはネーションズリーグが新設され、2025年からクラブワールドカップも拡大、さらにチャンピオンズリーグも2024/25シーズンから新フォーマットになるなど、クラブでも代表でもその試合の増えっぷりは留まるところを知りません。
クロース選手のようにビッグクラブ所属の選手ほどその影響を受けやすく、その肉体的及び精神的な負担やプレッシャーは凄まじいものであると容易に想像ができます。
もちろん数十年前に比べ現代はトレーニング法やスポーツ医学も発達・進化していますし、以前より恵まれている部分もあるでしょう。
しかしだからといって、人間がロボットになる訳ではありません。
このように過密日程を批判しているのはクロース選手だけではなく、例え公言はしていなくても、ビッグクラブの監督や選手の多くは同様に思っていることでしょう。
FIFAやUEFAがこういった選手やクラブ関係者の声を聞き、受け止め、あまりにも無謀なスケジュールを強行するのはやめて欲しいと願っているのは筆者だけではないはずです。
まとめ
オランダ在住の筆者が、ドイツ開催のEURO2024を現地観戦して感じたポイントなどを解説しました。
筆者は実際に現地で試合を観戦し、地元民も他国のサポーターも一体になってこの一大イベントを楽しむ雰囲気や、サッカー大国らしいスムーズな運営が特に素晴らしいと感じました。
が、このEURO2024を普通にテレビ観戦をした場合、低レベルな試合や低パフォーマンスに終わった代表チームや選手も少なくなかったと思います。
その主な理由は出場枠の増加による単純なレベル低下と、代表・クラブ共に試合が増えすぎていることによる、肉体的・精神的な疲労だと筆者は個人的に考えています。
EUROは本来、サッカー強豪国がひしめくヨーロッパの中のチャンピオンを決める、4年に1度の最高峰のスポーツイベントの1つという位置づけ。
今後もその名誉・歴史・栄光にふさわしい、最高レベルの大会であり続けて欲しいと心から願います。