スコットランドの首都エディンバラ(Edinburgh)は中世の時代にタイムスリップしたかのような旧市街と、活気のある飲食店やショッピングストリートが連なる新市街が絶妙に融合する、世界遺産の都市。
学生からシニアまであらゆる世代の旅人を魅了するこの古都の気候とベストシーズンを、欧州在住の筆者がまとめました。
夏でも涼しめの西岸海洋性気候
エディンバラ、というかイギリスの天気に対するイメージは大抵「曇ってそう」「涼しい」「暗い」などのキーワードを挙げる人が多いと思いますが、概ねその通りと言っていいでしょう。
スコットランド首都エディンバラは西岸海洋性気候に分類され、他のヨーロッパの多くの主要都市・ロンドン、パリ、アムステルダム、ウィーンなどと似た特徴の気候を持ちます。
この後に詳しいデータを解説しますが、エディンバラの年間平均気温は8.9℃となっており、東京の16.6℃との比較だとやはりかなり低いことになります。
(参照データ:Climates to travel・Weather Spark、以下同様)
1年のどの時期に行っても東京や大阪より平均気温は数℃低いので、日本よりプラス1枚、あるいは一回り厚着という服装を心がけると良いでしょう。
真夏でも特に朝晩は確実に長袖が必要になるほど気温が低いので、猛暑の日本から脱出して涼しい旅先を求めている人には最適の地かも?
またイギリスは雨がよく降る印象を持つ人も多いですが、意外にもエディンバラの年間降水量は東京の半分以下。
ただし量こそ多くないものの、データ上ではどの月も平均10日前後雨が降るため、雨具は持っていくのが無難です。
何日か滞在してなおかつ予定がフレキシブルなら、天気予報を見て天気が良い日に屋外・悪い日は屋内の観光スポットに行くのも良いでしょう。
エディンバラの気候データをチェック!
それでは続いて、エディンバラの平均最高気温・最低気温・降水量・日照時間をチェックしてみましょう。
それぞれをグラフにすると、このようになります:
まず気温の方に注目してみると、特に夏の気温の低さが際立っているのではないでしょうか。
真夏の7・8月でも平均最高気温は20℃以下・最低気温は約10℃となっており、もちろん日によって変化はあるものの、基本的にエディンバラの夏=日本の春や秋、という気候のイメージで良いでしょう。
冬も日本の主要都市との比較では寒いものの、北欧や高地のように極端に気温が低い訳でも豪雪地帯な訳でもないので、適切な服装や持ち物を準備すればそんなにマイナスではないかも?
もう一つの降水量&日照時間のグラフを見てみると、やはり年間を通してある程度の雨または雪が見込めることが分かります。
そして日照時間は夏と冬の差が大きく、明るい夏⇔暗い冬というコントラストが日本より鮮明に。
さらに他のヨーロッパの各国と同様にサマータイムを導入しているスコットランドは昼の長さも夏と冬で大きく異なり、6月の夏至の日は昼が約17.5時間なのに対し12月の冬至の日は約7時間。
つまり昼の長さが10時間以上違い、夏は21〜22時まで明るい中で外歩きができるのに対し冬は17時前には真っ暗になってしまうため、同じ1日24時間でも感覚的には夏の方がずっと長く感じるはずです。
エディンバラには天候不問の屋内の観光スポットも充実していますが、特に街歩きを思いっきり楽しみたい、インスタ映えする写真を撮りたい!なんていう人は、旅行する時期はよく検討した方が良いでしょう。
気候的には夏がベストシーズン?
このような気候データを見れば、エディンバラのベストシーズンが夏なのは一目瞭然ではないでしょうか。
特に夏の酷暑が日常茶飯事になりつつある日本からエディンバラに飛ぶと、2時間3時間と快適に外を歩ける昼間、22時過ぎても明るく開放的な雰囲気、冷房要らずで快眠できる朝晩と、まさに理想的な夏の休暇が期待できます。
ただし夏は1年で最も観光客が多い時期でもあり、人気観光スポットの大混雑や旅行料金の高騰が容赦なく待ち受けていることも。
またエディンバラは世界的な学生都市でもあることから年間を通してバラエティ豊かなイベントやフェスが開催され、必ずしも天候の良し悪し=ベストorワーストシーズンとも言い切れません。
そこで、エディンバラ旅行の季節別のメリットやポイントをまとめてみました。
春(3月下旬〜5月)
気温的にはまだかなり低いものの、3月下旬にサマータイムが始まると、長かった冬の終わり&待ちわびた春の到来です。
移動休日であるイースターの時期は国内外からの旅行客が増えますが、それを避ければ夏ほどの混雑は起きづらく、比較的落ち着いて観光しやすい時期。
モノトーンだった街並みに少しずつ新緑が芽生え始め、クロッカスや水仙が鮮やかな彩りを加え、さらに4月下旬頃には桜も満開に。
テイクアウトOKのカフェも多いので、天気が良ければコーヒーとサンドイッチを持って散歩、イマイチならおしゃれで居心地の良い店内でぬくぬくと読書などを楽しんでみては 🙂
夏(6月〜8月)
春と同様、日本人が思い浮かべる『夏』とは比べ物にならない程涼しいですが、何はともあれ6月から8月までが一応エディンバラの夏。
涼しい涼しいとは言いつつ当然ながらそれでも1年で一番気温が高いのがこの時期なので、その短くて貴重な夏を全力で堪能するが如く、大小のイベントやフェス、ライブがあちこちで開催される最も華やかで賑やかな季節です。
中でも毎年8月に3〜4週間に渡り行われるエディンバラ・フェスティバル・フリンジ(Edinburgh Festival Fringe)は世界最大の芸術祭として知られる、文字通り世界中からの参加者&旅行者を惹きつける大イベント。
その分通常の観光スポットや飲食店も混むのはマイナス点かもしれませんが、その突き抜けるような開放感と五感を刺激するユニークな体験は、他の季節では味わえない夏ならではの特権です。
秋(9月〜11月中旬)
その一大イベントが例年8月下旬に終わると、もう秋の気配に。
夏の活気が徐々に消え去っていき、気温も着実に下がっていくのと同時に、街の樹々は緑から黄色や赤、ブラウンにその色を変えていきます。
その『動』から『静』に刻々と移り変わる様子は寂しさや儚さを感じさせつつ、重厚な古都によく似合う情緒的な風景を生み出すことに。
旧市街からも新市街からも歩いて行けるプリンシズ・ストリート・ガーデンズ(Princes Street Gardens)は四季折々の美しさが楽しめる地元民&観光客の憩いの場で、秋は見事な紅葉や黄葉が広がります。
夏よりもずいぶんと長くなった夜は、お気に入りのバーやパブでゆっくりとくつろぎましょう。
冬(11月下旬〜3月中旬)
気候的には1年の中で最悪の?エディンバラの冬ですが、では冬が最も魅力がないかと言うと、必ずしもそうとは言えません。
エディンバラに限らず一般的なヨーロッパ旅行の際にほとんどどこでも当てはまることですが、冬は観光客が少ない&ホテルや航空券、ツアー料金が安いという2大メリットがあります。
そのため人混みが嫌い、なるべく静かに観光したい、周りを気にせず写真をたくさん撮りたい、お得に旅したいetc.という人には、冬(クリスマスから年末年始を除く)は素晴らしい季節。
さらに例年11月下旬から年明けまで行われるクリスマスマーケットは、冬の厳しい寒さやどんよりした薄暗さを忘れさせてくれる、この上なくロマンチックで華のあるイベントです。
時に雪が降ることもある冬は長い外歩きには最適ではないかもしれませんが、その雪景色もまたエディンバラをより一層フォトジェニックな姿に変える、幻想的なひとときと言えるでしょう。
エディンバラ旅行で避けるべき時期は?
ここまでエディンバラの気候データや季節ごとの特徴を紹介してきましたが、エディンバラに旅行に行く際に避けるべき時期はあるのでしょうか?
やや繰り返しのようになりますが、どの季節にもそれぞれ異なる魅力や特徴があるため、一概にいつがダメとは言えません。
1年を通して日本の主要都市より気温はかなり低いものの、例えば真冬でも外を歩けないほどの猛吹雪になることはほぼないため、服装にさえ気をつければ普通に観光は可能です。
ただし特に真夏と真冬に行く際には、以下のポイントは考慮した方が良いでしょう:
真夏(7・8月)・・・ハイシーズンのため、人気観光地の混雑やホテルの宿泊料金の高騰が起こりやすい。
少しでも快適に観光するには、人気スポットには午前中の早い時間に行ったり、宿泊施設を早めに予約したりするのも一案。
真冬(12〜2月)・・・昼が短くカラッと晴れる日も少ないので、青空が何日も全く見れないことも。
そのためSNSや各メディアで見る写真や映像を期待していくと、暗い雰囲気でガッカリする可能性もあるので注意。
最も重要なのは、あなた自身がどのような目的でエディンバラを訪れ、どのような経験や雰囲気を期待し、どれくらいの予算で旅したいかを踏まえて時期を選択することです。
もし少しでも低予算で旅したいなら夏のピークシーズンは避けるべきですし、明るく活気ある雰囲気が好きならやはり冬<夏ということに。
エディンバラはイギリスを代表する人気観光都市であるのに加え、物価もそれなりに高いので、くれぐれも目的や予算に合わない時期に旅行して後悔しないようにしましょう。
まとめ
スコットランドの首都エディンバラのベストシーズンや気候の特徴を解説しました。
筆者が住むオランダも似たような気候のため非常に実感するのですが、春夏秋冬どの時期にもそれぞれメリット&デメリットがあります。
気候・混雑度・費用などを踏まえて相対的にデメリットが少ないのは春と秋と言えるかもしれませんが、夏と冬にもその季節ならではの良さがあるので、順位をつけるのは難しいものです。
ぜひあなたの旅の目的や予算をよく考慮して、あなたにとってのベストシーズンにエディンバラを訪れてくださいね!