【どうなる】イングランドがほぼ全てのコロナ規制を撤廃へ!

イギリス
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2021年7月5日、イギリス政府は7月19日にマスク着用義務を始めとしたあらゆるコロナ規制を撤廃する計画を発表しました。
デルタ株の影響で再び感染が急速に広がっている中での、思い切った決断。
この記事では欧州在住の筆者が、その詳細をまとめました。

7月19日から何がどう変わる?

 
 
 
 
 
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2021年7月、欧州で本格的な夏のバカンスシーズンが始まる頃イギリスのジョンソン首相が記者会見を行い、コロナ規制に関して重要なメッセージを発しました。

7月19日、イングランドで当初6月に予定されていたものの感染拡大により4週間延期になっていた規制緩和を実行するというもの。
(以下参照BBC

元々イギリス政府は厳しいロックダウン中だった2021年2月に、4段階のステップで規制を緩和/撤廃していく計画を公表していました。

この規制緩和を進めるには当然感染率の減少やワクチン接種の進行などが条件になっており、第3ステップまでは概ね順調に進んでいましたが、デルタ株により感染が再拡大したため最終ステップを延期。

感染はその後も拡大していますが、7月19日に決行される予定の規制変更はどのようなものなのでしょうか。

ほぼコロナ前と同じに?主な変更点とは

この最終ステップに含まれる主な点は、以下の通りです:

・結婚式や葬式の参加者数制限をなくす

・バーやレストランのテーブル席での接客に関するルールや、会場での受け付け手続きの義務付けを廃止する

・介護施設の訪問者数制限をなくす(指名された訪問者について)

・地方自治体による規制強制の権限をなくす

・大規模イベントの認可が法的には不要になる

BBC

これに加えナイトクラブはパンデミック以降初めて再開、さらにマスク着用義務やソーシャルディスタンスといった最も基本的なルールも廃止

店や施設側がゲストにワクチン接種や陰性証明を求めることは可能だが法的には義務付けないとしているため、この7月19日以降は実質法的な縛りはほぼなくなり、個々で必要に応じて自主的に対策をするという形になると言っていいでしょう。

この記事を書いている筆者はイギリスではなくオランダ在住ですが、日本のように義務でもないのに屋外でもほとんどの人が黙っておとなしくマスク着用なんて、まず考えられません。

義務だから仕方なくしてる人が多数で、義務でなくなった瞬間に即座に外す人が大半だと予想します。

当然そういった国民性であることを承知で政府は決断をする訳ですから、もしかしたら言わなくても自らしてくれるかも・・・なんて期待もしていないでしょう。ジョンソンさんご本人もノーマスクでEURO観戦を楽しんでましたし😅

イギリス全土で撤廃される訳ではない!

と、大胆というか無謀というか、ともかく思い切った策に出た印象ですが、これはイギリス全土が対象ではありません。

対象になっているのはその中のイングランドのみで、スコットランド・ウェールズ・北アイルランドはそれぞれの自治政府が独自に決定するとしています。

例えばEURO観戦による2000人規模の大型クラスターが報告されたスコットランドでは、8月9日に同様の規制撤廃を目論む様子。

イングランドでの規制緩和/撤廃は7月19日施行となるので、スコットランドとしては3週間お隣の状況を見てから決定するような形でしょうか。

イギリスの現在の状況は?

 
 
 
 
 
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おそらくニュースで見た人は多いと思いますが、ワクチン接種の早さで一旦は落ち着いていた感染がデルタ株の拡大により再拡大している、というのが2021年7月上旬のイギリスの大まかな状況です。

それではいくつかのポイントをより詳しくデータで見てみましょう。

・新規陽性者数の推移(7月10日時点・以下同様)

グラフを見れば一目瞭然ですが、2021年2月頃から順調に減少していた陽性者が6月頃から急速に増加している事がわかりますね。

6月〜7月には欧州サッカーの祭典EUROも開催され、各地で文字通りのお祭り騒ぎになっていることも増加要因の一つと言えそうです。

・新規死者数の推移

出典: Worldometers.info

こちらは一転してほとんど増えていないように見えます。

が、全く増えていないかと言うとそうでもなく、5月下旬には平均5人まで下がっていた週単位の1日あたりの死者数が7月上旬には25人にまで上昇しています。

つまり5倍に増えていることになりますが、最も多かった1月には1200人を超えていたため、ピーク時よりは遥かに低いのは確か。

「最も低かった時より5倍に増加」という見方と「最も多かった時の約1/50」という見方ができ、イングランドは後者と見たということでしょうか。

・ワクチン接種率

新規陽性者は激増・死者は微増、ではワクチン接種率はと言うと、こちらは快調に進んでいます。

図の通りイギリス全体の全国民の67%が1度はワクチン接種済み、そのうち51%は2度目も接種が完了。

イギリス政府公式サイトの別データによると、18歳以上に限定すれば87.2%が1度目・うち66.2%が2度目も接種済みとなっています。

と、ワクチン接種が進んでいるのは朗報ですが、それでも感染が激増していることを受け、9月から3度目のワクチン接種を開始という報道も。

現在イギリスで感染再拡大の要因の一つとなっているデルタ株を始め、今後も発生し得るワクチンの効果を軽減させる新たな変異株に対し、より強い「防御」をするという考えでしょう。

欧州では逆に規制強化中の国も

このように感染が明らかに拡大している中で規制緩和を行なうというのは、感染者数ではなく重症者数・死者数を重視したというのは間違いないでしょう。

では欧州全体がそのような流れになっているかと言うと、決してそうではありません。

例えば同じくデルタ株により急速に感染が拡大しているポルトガルでは、その多くの地域で7月から再び夜間外出禁止令や飲食店の営業時間の短縮が課せられています。
(参照:在ポルトガル日本国大使館)

同じくバルセロナを含むスペインのカタルーニャ州も、ナイトクラブの閉鎖など規制を再強化。
(参照:バルセロナ市役所)

このようにポルトガルやスペインは欧州屈指の観光大国であるにもかかわらず、夏のバカンスシーズンを迎えるのとほぼ同時に感染拡大により規制強化を余儀なくされています。

さらに筆者が住むオランダも、6月26日に大きな規制緩和を実行しましたが、たちまち感染が拡大したため2週間も経たず規制の再強化を行なうことに。

オランダでも7月上旬時点ではまだ重症者も死者も増えておらずむしろ減少傾向ですが、それでも規制を強化したということは、“まだ感染者数を気にしている”ということです。

さらにさらに地中海のミニ国家マルタでは、7月14日以降渡航者にワクチン接種を義務付けることを発表しました。

これまではマルタを始めEUでは入国にワクチン接種を義務付けている国はなく、これが初めての事例となります。

マルタは同じく欧州一番乗りで集団免疫を獲得し、地中海リゾート国家として夏のバカンスに向けて絶好のスタートを切ったかに思われましたが、やはり感染拡大により入国規制を見直した形。

こういった他国の状況を見る限り、欧州でもまだ重症者数・死者数<感染者数という認識が主流と言っていいでしょう。

そんな中で、おそらく欧州では初めて感染が拡大する中で規制撤廃を決行するイングランドには、国内外から大きな注目が集まります。

まとめ

2021年7月19日、多くのコロナ規制を撤廃することを表明したイングランド。

これまでは感染が落ち着くのに従って規制緩和という流れでしたが、今回は感染が拡大する中での緩和・撤廃ということで、イギリス国内でも賛否両論が分かれているようです。

規制撤廃は人の動きが活発になる夏のバカンスシーズンでもあることから感染者増は確実として、日々ワクチン接種が進む中、どこまで重症者の増加が防げるかがポイントになるでしょう。

この決定がポジティブな結果をもたらすことを願います。

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