【2021年6月】隣国もあ然?オランダがコロナ規制を続々と撤廃へ!

オランダ
スポンサーリンク

新型コロナウィルスが世界に拡大して1年以上が経った2021年夏。
欧州の多くの国ではワクチン接種が進み感染状況も改善していることから徐々に規制緩和が進んでいますが、その中でもオランダは予定を前倒して数々の規制の廃止を決定。
その概要を在住者が解説します。

マスク義務もほぼ廃止!欧州で有数の緩さに?!

2021年6月18日、オランダ政府は記者会見で6月26日から多くのコロナに関する規制を緩和あるいは撤廃することを発表しました。

オランダでは激しい第二波・第三波に見舞われた2020年10月から段階的に夜間外出禁止令を含むロックダウンを施行してきましたが、反発は大きく、抗議デモや時に暴動が起きたことも。

その後ワクチン接種が進んだことや季節的な要素もあり、ピークが過ぎようとしていた2021年4月に2〜3週間おきに規制を緩和していく見通しを公表。

感染が再拡大した場合は緩和を遅らせる可能性も示していましたが、順調に改善していっているためむしろ予定より早く大規模な規制緩和に踏み切りました

2021年6月26日以降の主な変更点

その規制緩和の主な内容をまとめると、このようになります(参照:在オランダ日本大使館

  • マスク着用の義務の撤廃(※公共交通機関や駅などの公共交通機関周辺の場所を除く)
  • 自宅への訪問人数制限やグループの人数制限の撤廃
  • レストランの人数制限の撤廃(※予約と健康状態のチェックは必須)
  • 全ての業種における営業時間制限の撤廃
  • 飲食業、映画館、会議場、音楽会場など、通常の公共の場で行われるイベントの再開

以上の規制緩和/撤廃は、他人と1.5メートルの距離を保つことを条件としています。

一方で、入場時に陰性証明orワクチン接種証明or感染から回復した証明を提示させるイベントやナイトクラブなどの場では、マスク着用も1.5メートルの距離を保つ必要もありません

さらに7月・8月に国外に旅行に行く者でまだワクチンを接種していない人は、無料で検査が可能に(※それまでは国外渡航などに必要な陰性証明はおよそ€90〜)。

これで飲食・スポーツ・ナイトスポット・音楽・文化・ショッピングetc.ほとんどの分野が、1.5mのソーシャルディスタンスを保つor入場前に陰性証明などを提示することにより、時間制限なく利用可能になりマスクも不要になった訳です。

また、これらはワクチン接種の有無に関係ないため、仮にワクチン未接種でも6月26日以降はほとんどの場でマスクをしなくて良いことになります

元々欧州では緩めだったオランダ

日本で仮にマスク着用義務があってそれが廃止されたとしてもしばらくは着け続ける人が多そうな気がしますが、おそらくオランダではその日からマスク姿の人を見る機会は激減するでしょう。

オランダは2020年春の第一波の時からフランスやスペインなどに比べると緩めのコロナ対策・規制を行なっており、例えば路上など屋外でのマスク着用は一度も義務になっていません

もちろん地域や人の多さにもよりますが、筆者の住むエリアでは屋外で着用しているのは5%ぐらいでしょうか。

規制だから仕方なく着けている感が溢れ、公共交通機関や店舗など義務である場所でのみ着用し、一歩外に出たら即座に外す人が大半です。

コロナ以前はEU各国にとって国境はあってないようなものでしたが、コロナ禍では多くの国境が文字通り閉鎖され、国境の向こうでは異なる規制が市民に課せられました。

2021年夏にはEU域内の移動自由化が予定されているため、自国の規制が厳しければオランダに逃げてくるのも良いかも?

オランダのコロナの状況は?

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by Netherlands (@bestofnetherlands)

そのように快調に規制が緩和されコロナ前の生活を取り戻しているオランダ、当然陽性者数はどんどん減少しています。

そこで客観的かつ基本的なデータとして、ECDC(European Centre for Disease Prevention and Control)というサイトで毎週公表されているいわばEU各国の安全度マップを見てみましょう。

このマップでは過去14日間の人口10万人あたりの陽性者数&検査での陽性率を元に、以下のように分類しています:

グリーン→新規陽性者が50人未満かつ陽性率4%未満または新規陽性者75人未満で陽性率1%未満

オレンジ→新規陽性者が50人未満で陽性率4%以上または新規陽性者50人以上75人未満で陽性率1%以上または新規陽性者75人以上200人以下で陽性率が4%未満

レッド→新規陽性者が75人以上200人以下で陽性率が4%以上または新規感染者数200人以上500人未満

ダークレッド→新規陽性者が500人以上

グレー→充分な情報がないまたは10万人あたりの検査数が300以下

と、言葉で解説するより図で見た方が分かりやすいので、同サイトに載っているマップがこちらです。(2021年6月22日時点)

出典:ECDC

えーっと、オランダってどこだっけ??

と思った人が多いでしょうから説明しますと、五角形のフランス(オレンジ)のすぐ上がベルギーで、そのもう一つ上がオランダです。

・・・ってあれ??なんか赤いけど???

はい、そうです。

オランダさん、大胆に規制緩和を決定したのでてっきりコロナの状況が素晴らしいのかと思いきや、EUの基準では4段階中3番目の悪さということになります。(※グレーを除く)

あらまあ(´・ω・`)

実際オランダに住んでいるとどんどん数字が改善していることがメディアで取り上げられていますし、あたかも優等生な状況だと勘違いしそうになりますが、同サイトのデータによると特に陽性率の高さ(4%以上)が目立っているようです。

【2021年6月25日追記】朗報・オランダも大部分がオレンジ、一部はグリーンまで改善しました!

【2021年7月16日追記】悲報・また大部分がレッド、一部はダークレッドまで悪化しました(´・ω・`)

【2021年7月22日追記】絶望・ほぼ全域がダークレッドになりました(小声)

一応オランダの名誉のために(?)加えておくと、ワクチン接種の効果もあり重症患者や死者数は非常に低く、Worldometers.infoによると直近1週間(2021年6月15日〜21日)の人口100万人あたりの死者数はフランス・ドイツ・イタリアなどの欧州主要国や日本よりも低くなっています

そのためこのマップで与える印象ほど悪い状況ではないと思うのですが、それでも事実として陽性者数や率は高めの中でガッツリと規制緩和に踏み切ったオランダを、他国はどう見ているのでしょうか。

周辺国の反応は?

このオランダの規制緩和に対する周辺国の反応を、オランダメディアNOSが伝えています。

記事の一部を抜粋すると、ドイツの特派員Wouter Zwart氏はこのように語っているようです:

ドイツでは感染状況はオランダよりずっと良いが、人々はより注意深い。ドイツでも規制緩和はしており、例えばベルリンでは屋外で小さなダンスイベントができるようになった。また多くの連邦州でマスクも商店街では不要になったが、距離が保てない店舗などでは必要だ。
ドイツ人の大多数はそれを支持している。
(中略)多くの人は秋に新たな感染の波が来る可能性を考慮しているため、オランダの感染状況にもかかわらずもう多くの規制を撤廃すると聞いて少し恐れている」

さらにベルギーの特派員Sander van Hoorn氏も、オランダの規制緩和に否定的な見方を示しています:

「ベルギーでは第二波が非常に猛烈だった。現在数字は下がり、緩和もされているがオランダほどではない。人々は(コロナ禍の)終わりが見えかけていても油断してはならないと信じている(※少々意訳)

と、東からも南からも白い目で見られている?オランダさん(´・ω・`)

確かに先程のマップでドイツのほぼ全域はグリーン、ベルギーもオレンジとデータ上はオランダより状況が良いので、説得力がある気はします。

しかしオランダも黙ってはいません。

規制緩和に対しての専門家の見解は?

疫学者Alma Tostmann氏はワクチン接種率の上昇と季節的な効果により感染状況は急速に落ち着いており、政府の選択は理解できると捉えています:

規制は緩和できる時にする必要がある。感染者数はまだかなり高いが、多くの人がワクチン接種することにより感染の波のリスクは小さくなる(後略)」

しかし同時に具体的なリスクも指摘しています:

「(マスク着用が接客業にも義務ではなくなる点について)スーパーでは接触は一瞬だが、美容師やマッサージ師は長い&近い接触があるため、もし陽性者がいれば感染しやすい」

「(飲食店が22時以降も営業可能になる点について)公式には1.5mの距離を保つ事になっているが、実際にはそうはならないだろう。夜遅くなれば皆がきちんと席に座っている訳ではない。換気にも気を配るべきだが、会見では言及されていなかった」

「(国外旅行から戻る人のリスクについて)例えばあらゆるパーティーに行きたい学生達は、好きに楽しませてあげよう。しかし帰国時には少しおとなしくし、検査を受けるよう頼もう」(※オランダでは渡航先の国の感染状況が良ければ帰国時の自己隔離も検査も不要)

別の疫学者Patricia Bruijning氏もリスクがあることを認めています:

「(ナイトクラブ等では入場時に陰性証明などが要るがカフェでは不要な点について)グレーゾーンがある。22時以降に大音量で音楽を掛けるカフェでは、ソーシャルディスタンスなどの基本的なルールを守るのは難しいだろう」

「規制緩和により小さな感染拡大は起こり得る。問題はその大きさだ。2020年は、夏以降誤った。もし人々が検査を受け、基本ルールを守り、コロナ探知アプリを利用し続ければ、“消火”できる。問題は、それを我々が行なうかどうか。これはオランダ全体へのテストだ

(以上NOSより)

【悲報】やっぱり感染拡大して規制を再強化へ【2021年7月14日更新】

はい、もはや何の驚きもありませんが、規制緩和から2週間も経たず感染が爆速で拡大

7月9日には1日の新規陽性者が7000人近くまで増え(人口約1700万人(小声))、政府は翌7月10日からナイトクラブの閉鎖や飲食店の営業を深夜0時までに短縮するなどの措置を取ることを決定。

こちらは7月14日時点での1日当りの新規陽性者の推移です:

6月下旬には1日500人前後にまで減っていた陽性者がわずか2週間後には1万人を超えるという、凄まじい増加っぷり。

日本の人口比で換算すると、6月下旬…約3700人/1日7月上旬…約7万4000人といった感じでしょうか。

あら、ということは余裕かましてガッツリ規制撤廃した6月下旬でさえ東京で緊急事態宣言が出ているような状況の日本より人口比では陽性者が多かったんですね。

ちなみに前述の通りこの感染拡大を受けて一部規制の再強化はされましたが、1日1万人の新規陽性者が出ている状況でも緊急事態宣言が出ていないのはおろか屋内のマスク着用義務も廃止されたままなので、日本の感覚からすると相変わらずゆるゆるです。

ただしこの爆発的な陽性者の増加にもかかわらず、今のところはワクチン接種が1度のみ/未接種の若い世代の感染が大多数なこともあり、重症者や死者は増えていないようです。(7月中旬時点)

海を挟んだ隣国イギリスではもはや陽性者の数はガン無視の方向性に舵を切るようですが、オランダではまだ当面は感染状況により規制強化と緩和を繰り返すことになるのかもしれません。

まとめ

2021年6月26日、オランダの多くのコロナ規制が撤廃&緩和されることのまとめでした。

在住者である筆者としても、ずいぶんと思い切った決定をしたもんだと率直に感じました。

しかし個々の自由や判断を可能な限り尊重するという点で、いかにもオランダらしいなぁと個人的には好意的に受け止めています。

結果的にこの規制緩和/撤廃のわずか2週間後に感染拡大→規制再強化を余儀なくされ、政府が謝罪することになりましたが、まだ重症者が増加傾向になっていないのは不幸中の幸いと言えるでしょう。

まだまだコロナ収束への道のりは長そうですが、少しでもそれに近づいていくよう祈るばかりです。

タイトルとURLをコピーしました