1年延期されて開催のEURO2020の11の開催地で、ひときわ注目を集めているのがハンガリーのブダペスト。
コロナ規制として他会場が観客収容数に上限を設ける中、唯一満員のファンを動員し大盛り上がりの様子。
そこでオランダ在住の筆者が、実際に観戦に行ってみました。
ハンガリーでの試合観戦を決めた理由
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1年遅れでEUROが開幕し各地で熱戦が繰り広げられる中、特に満員のスタジアムにマスク無しのファンが詰めかけたグループFのブダペストでの試合に目が行った人は少なくないのではないでしょうか。
ホスト国の一つハンガリーがフランス・ポルトガル・ドイツと同居するこのグループFは開幕前から大きな注目を浴びていましたが、同じくホスト国のドイツのミュンヘンが20%程度の観客に留め、空席が目立ったのとは対照的。
筆者もブダペストが11の開催地で唯一観客動員100%を発表した際に興味を持ち、開幕前の5月中旬にこちらの記事を書きました。
こんな対策で大丈夫なのかと上から目線で書いておきながら結局行ったのかよ、と思われそうですが、観戦を決めたのにはいくつか理由がありました。
・抗体を得ていた
はい、実は筆者は2021年に入ってからコロナに感染し、抗体もできていることが検査で分かっていました。
もちろん抗体が100%再感染を防ぐ訳ではありませんが(特に変異株に対しては)、少なくとも無いよりは感染の確率は低くなるため、感染前ほど恐れなくなっていたのは正直なところです。
・渡航不可な他会場が多かった
EUROが開幕する前〜開幕後も最後のチケット販売がされていたのですが、中にはコロナによりオランダからの渡航ができない開催国もありました。
サンクトペテルブルク(ロシア)とセビージャ(スペイン)はその代表例で、かなりの試合のチケットが販売されていましたが、感染状況がよろしくなかったためオランダ外務省は不要不急の渡航を不可とする“オレンジ”に指定。
逆に2021年6月時点で非常に状況が改善していたハンガリーは、観光目的での渡航が可能な“イエロー”でした。
・行く機会が少ないスタジアムに行きたかった
EURO2020の最大の特徴は東西南北の欧州11ヶ所(当初は12ヶ所の予定がダブリンを除外)で開催される点で、筆者が住むオランダのアムステルダムも開催地の一つになっていました。
ただ個人的はEURO以外でも行く機会がありそうな(or実際に行ったことがある)メジャーなスタジアムより、これを逃したらあまり行かないと思わせるスタジアムに惹かれました。
入国時&観戦時のルールをおさらい
それではコロナ禍で行われた、EUROでのハンガリーの規制や対策をチェックしてみましょう。
5月の開幕前に調べた時よりいくつか変更・更新もされていたので、そちらも併せてまとめました。
(参照:在ハンガリー日本国大使館、UEFA)
ハンガリー入国時
EUROが開催中の2021年6月時点で、ハンガリーの滞在許可証を持たない外国人の観光客は原則入国不可ですが、EURO観戦のために訪れる人には例外措置が設けられました。
(3)例外措置
何れの場合も、警察の特別入国許可申請は不要であり、また、入国後の10日間の隔離措置は免除されます。
(中略)国際スポーツイベント及び文化イベントに参加(観戦)する方は、入国時に、入国前3日以内に受検したPCR検査の陰性証明書(英語またはハンガリー語)及び購入済みチケットを提示するとともに、入国時に受ける健康診断の結果、新型コロナウイルスに感染している疑いがない場合は、72時間以内に出国することを条件に、入国することができます。なお、健康診断の結果、新型コロナウイルスに感染している疑いがある場合には、入国することはできません。
在ハンガリー日本国大使館
つまりEURO観戦が目的であれば、
・入国前72時間以内のPCR検査の陰性証明書&試合のチケット提示
・入国時の健康診断
・72時間以内に出国
という条件で、どこの国からでも隔離なしで入国ができるということですね。ザル・・・優しい。
試合観戦時
そしてスタジアム入場時にもいくつかのルールが。
持ち物として、
・モバイルチケット
・IDカード(パスポートや滞在許可証)
・マスク
・COVID-19リストバンド
が必要。最初の3つは説明不要として、『COVID-19リストバンド』とは?
これは入場時のチェックを簡易化するため、試合前日or当日に指定場所(市民公園の近くやブダペスト国際空港など)で陰性証明やワクチン接種証明をIDと共に提示→リストバンドをもらうという流れで、スタジアム入場時に陰性証明などの再確認は不要に。
リストバンドを受け取る条件はハンガリー在住者と国外在住者で異なっており、
ハンガリー在住者→免疫証明書(ワクチン接種済み)またはEESZT公式アプリで免疫証明を提示
国外在住者→72時間前以内のPCR検査の陰性証明またはワクチン接種証明(ハンガリーと協定を締結した国のみ)
また陰性証明はプリントして紙で見せる必要があり、デジタル版のみでは不可でした。
さらにスタジアムには事前に指定された30分の間に来場すること、その際に体温測定が行なわれ、37.8℃以上の場合は入場ができないとしています。
試合観戦中のルールはマスク着用やソーシャルディスタンスなど基本的なものなのでここでは全て記述しませんが、EUROの試合をテレビやSNSで見た人ならご存知の通り、グダグダな感じです。
それでは続いて実際にオランダ在住の筆者がブダペストで試合観戦した際の流れをレポートしていきます。
【体験記①】出発前準備
筆者が観戦したのは、6月27日(日)のベスト16・オランダvsチェコ。
ブダペストで行なわれる最後のEURO2020の試合でもありました。
ちなみに筆者がチケットを購入したのはグループステージ1戦目が終わった直後でまだ組み合わせは決まってなかったので、結構余裕で取れました。
この試合観戦のために取った航空券は、
6月26日(土)オランダ・アイントホーフェン→ハンガリー・デブレツェン【Wizz Air】
6月28日(月)オーストリア・ウィーン→オランダ・アムステルダム【easyjet】
ん?ブダペストの試合なのにブダペストのブの字もないけど?
そうなんです、今回筆者は最寄りのブダペストのリスト・フェレンツ国際空港は利用しませんでした。
その理由として、
・アムステルダム⇔ブダペストの航空券が高かった
・ブダペストには何度も行ったことがあり、あまり観光する気がなかった
・ウィーンの知人にも会いたかった
と、直行直帰を求めるという東京オリンピックとは正反対の盛大な寄り道っぷり。
(※デブレツェンはブダペストから電車で約2時間、ウィーンは2時間40分ほど)
もちろんコロナ禍のためオーストリアの入国規制や条件もチェックしたところ、2021年6月中旬時点でリスクが低い国からは、
①72時間前以内のPCR検査or48時間前以内の抗原検査の陰性証明
②ワクチン接種済み
③感染から回復済み
のいずれかを提示することで隔離不要で入国可能となっており、このリスクが低い国リストにはハンガリーとオランダも含まれていました。
(参照:オーストリア政府観光局公式サイト)
筆者はこの時点でまだワクチンを接種しておらず、またコロナには感染したもののいずれにせよハンガリー入国&試合観戦にPCR検査の陰性証明が必要だったため、①を用意することに。
ただし72時間前以内という制限があるので、6月25日(金)の午前にオランダで検査し、6月28日(月)の午前にハンガリー→オーストリアの国境を越える電車を選択しました。
時系列にするとこのようになります:
6月25日(金)《午前》PCR検査(同日夜に結果)
6月26日(土)《午後》オランダ(アイントホーフェン)→【フライト】→ハンガリー(デブレツェン)
6月27日(日)《午前》デブレツェン→【電車】→ブダペスト《午後》リストバンド受け取り&試合観戦
6月28日(月)《午前》ブダペスト→【電車】→ウィーン《午後》ウィーン→【フライト】→アムステルダム
またブダペストからウィーンへのチケットは駅で直接購入もできるようでしたが、ハンガリー入国の条件が『72時間以内に出国』となっていたため、事前にオンラインで予約し、求められれば提示できるようにしておきました。
同様にデブレツェン→ブダペストも、念の為オンラインで事前予約。
普段筆者はもう少しゆるいスケジュールで旅することが多いので、2泊3日のテキパキ観戦旅行という感じですね。
さらに出発の4日前にWizz Airからメールが。
この『健康申告書』は行きのオランダ→ハンガリーの際に必要な物で、帰りのオランダ入国の際にも同様のフォームが必要となっているので、それぞれプリントして記入します。
ということで今回のEURO観戦の際に、コロナ前の通常の旅行での持ち物に加えて準備したのは、PCR検査の陰性証明&2つの健康申告書(&EUROのモバイルチケット)でした。
【体験記②】搭乗&ハンガリー入国
出発前日に受けたPCR検査が無事陰性だったため、晴れて出発への準備が整いました。
アイントホーフェン空港は小さめで、すでにオンラインでチェックインも済ませていたので、空港には搭乗時間の1時間ほど前に到着。
ここでもすでにオレンジカラーに身を包んだオランダサポーターがうじゃうじゃと!
前述の通り、この2021年6月時点でハンガリーは商用目的などの例外を除いて一般の観光客を入国禁止にしているため、搭乗前に通常のID&搭乗券に加え、EUROの観戦者はモバイルチケットを提示する必要があります。
職員(マスク越しに:以下同様)「あなたは招待状などはお持ちですか?」
筆者「サッカーを観に行きます」
職員「え?」
筆者「サッカーを」
職員「すみません、何ですか?」
筆者「サッカー!!」
職員「あーーー、サッカーね、OK。いやオランダ人ばっかだからさ、Hahaha!」
といった具合でさすがにアジア人で何のオレンジグッズも身に着けていない筆者はEURO観戦者に見られませんでしたが、モバイルチケットを提示して、無事搭乗。
約2時間の空の旅で、ハンガリー第二の都市デブレツェンに到着します。
もう一つのコロナ規制として、到着時の健康診断があります。
ものすごい蛇足なんですが、筆者はこの時軽いぎっくり腰になっており、熱やら咳やらは一切なかったものの時折激しい腰の痛みがありました。
まさかぎっくり腰で入国拒否なんてことはないでしょうが、身体の痛みを顔に出して勘違いされると困るので、気丈に振る舞おうと気合を入れます。
とりあえず通常通り、EXIT(出口)に向かって歩いていきます。
すると、外に出られました。
・・・あれ??健康診断は???
はい、筆者が利用した際、デブレツェン空港では健康診断はありませんでした。
さらにEURO観戦者の入国条件に『72時間以内に出国』とありましたが、これも何のチェックもなく、出発前に記入した健康申告書もチェックされず、オランダと同様ハンガリーもシェンゲン圏なのでパスポートコントロールも当然なく、コロナ前と全く同様に入国できました。
ハンガリーさん、貫禄のザルっぷり。
あまりに拍子抜けして腰も抜けるほど(ぎっくり腰だっただけに)あっけなく入国ができたので、あとは翌日の試合を待つばかりです。
【体験記③】試合観戦前の準備
試合は18時キックオフでしたが、その前にリストバンドを手に入れる必要があります。
電車でデブレツェンからブダペストに到着し、まずはホテルにチェックイン。
筆者が宿泊したブダペスト中心からリストバンド受け取りポイントやスタジアムは4kmほどの距離があるため、ここで必要な物以外の荷物を置き、スマホの充電をしてから、メトロでまずはリストバンドをゲットするため市民公園付近に向かいます。
EURO開催中、市民公園にはチケット保持者だけでなく誰でも無料で入場できる“ファンゾーン”も開設され、イベント・大型スクリーン・音楽・フード&ドリンクなどを提供。
が、残念ながら筆者は時間の余裕が少なかったのでここは素通りし、まっすぐリストバンド受け取りポイントへ。
場所は大通りから1本入った所でしたが道にも案内があったため、すぐ見つけられました。
ここでパスポートなどのIDと陰性証明をスタッフに提示し、リストバンドを受け取ります。
ボランティアと思われる若いスタッフが多く、当然英語でやり取りできるため、非常にスムーズにいきました。
これで試合前の準備は完了、そのまま歩いて30分ほどのスタジアムに向かいます。
【体験記④】試合観戦
このリストバンドのおかげでスタジアム入場時はコロナ前と同じようにモバイルチケットとIDのチェック、そして簡単な持ち物検査のみで済んだため、6万人の観客とは思えないほど待ち時間も少なく入場できました。
ちなみに体温測定は・・・ありませんでした。もはやあまり驚きはありませんが。。。
筆者の席は3階の最前列で、真後ろはゴリゴリのオランダサポーターでしたが、周りには欧州人以外の姿もチラホラ。
スタジアム全体的にもオランダサポーター・チェコサポーター・ニュートラルなファンが、バランス良く詰めかけていた印象です。
ちなみにマスクをしているのは周りでは30人に1人ぐらいだったでしょうか。前半15分頃に一度だけ場内アナウンスと大型スクリーンでマスク着用を呼びかけていましたが、
アナウンス「皆様、マスク着用を・・・」
観衆「うおおおおおお!!!!」
と言った感じで、焼け石に水・馬の耳に念仏状態でございました。
試合前の両国の国歌斉唱。
後ろのオランダ人が音痴で微妙な感じになっていますが(失礼)、久しぶりに満員のスタジアムで国歌斉唱を聴いた時は鳥肌が立ちました。
この時、このスタジアムにはオランダ人、チェコ人、ハンガリー人に加え様々な国の人が居合わせていましたが、このほんの数ヶ月までそれらの多くの国では、何ヶ月も厳しいロックダウンや規制を強いられてきていました。
『サッカーをスタジアムに観に行く』という日常の楽しみも奪われ、空っぽのスタジアムも日常風景になりつつあり、EURO開幕直前の2021年春になっても各国の代表戦やリーグ戦はほとんどが無観客や上限付き。
そういった苦境の時期を超えて、賛否両論はあるもののブダペストで満員の観衆が許可され、自国への誇りを胸に魂を込めて力いっぱい国歌を歌うこと。
そこに飛沫ガーなどと口を挟む余地は一切なく、その雰囲気は圧倒的であり、崇高でした。
同時に日本人である筆者は、東京オリンピックがほぼ無観客になり、仮に有観客の競技でも君が代をこれだけ心を込めて、自国に誇りと愛を持って歌える日本人がどれだけいるのだろう?と、どこか複雑な気持ちにも。
・・・そしてこの試合前の国歌斉唱が、オランダサポーターにとっては最も盛り上がった瞬間でもありました。
優勢と思われていたオランダは攻守ともにピリッとせず、後半に退場者を出してからはチェコが試合を支配。
結局2-0でチェコが勝利、オランダはゴールどころか枠内シュートすらゼロという、ぎっくり腰の筆者が興奮しないように配慮でもしてくれたのかと思うほどの情けない試合っぷりでした。
と、試合内容はオランダサポーター側からすると失望そのものでしたが、なにはともあれ無事に試合は終了。
6万の観衆は、悲喜こもごもスタジアムをあとにします。
【体験記⑤】試合観戦後の街の様子
この6月27日、現地時間21時からはベルギーvsポルトガルというこれまた大注目のもう1試合がスペインで行なわれていました。
当然ファンゾーンや街中心の大型スクリーン、そしてあらゆるバーやレストランで、この試合も生中継。
筆者も当初はスタジアムから歩いて30分ほどで行けるファンゾーンで観戦しようと思ったのですが、オランダのあまりにもダメダメな試合っぷりにテンションが下がり、とりあえず街中心のホテルに一度戻ることに。
その後一息ついてから、再び街に繰り出します。
あくまでも筆者の見た範囲ですが、試合後も街は良い意味での活気に溢れ、オランダ&チェコのサポーター、地元のハンガリー人に加え、各国のサッカーファンが至る所でベルギーvsポルトガルを楽しんでいました。
筆者も諸事情により予定外に遅い時間(深夜1時頃)に1人で歩いてホテルに帰ることになったのですが、特に治安の悪さは感じなかったです。
ハンガリーも順調に規制緩和が進み、バーやレストランも時間制限なくオープンできるようになっていたため当然深夜まで多くの人(もちろんマスクなし)で賑わうバーなどもありましたが、一応筆者は自重し、そういった混雑する場所には全く行きませんでした。
こうして熱狂や興奮、歓喜と失望が入り混じったブダペストの夜は、少しずつ明けていくのでした。
【体験記⑥】ハンガリー出国&オーストリア入国
翌朝、もはや意味があるのか分からない72時間以内に出国ルールを尊重し、ウィーンへの電車に乗ります。
今回初めてチェコのRegiojetという列車を利用したのですが、すごく良かったです。
席は格安の『ローコスト』からゴージャスな『ビジネス』まで4クラスあり、ローコスト以外の3クラスはwifiも利用可能。
こちらはビジネスの1つ下の『リラックス』。
オーストリア入国時に陰性証明などが要るとあったけど、国境を越える際にチェックするのかな??と考えつつ、ふと気づくと「なんちゃらドルフ」というドイツ語丸出しの駅を通過。
あら、もうオーストリアに入ってたのね・・・ということは・・・
その後電車はウィーンに到着、下車すると、そのまま外に出られました。
・・・なんとなくちゃんとしてそうなオーストリアさんも、完全にザルか。
それでもオーストリアがどことなく「ちゃんとしてる感」を漂わせるのは、公共交通機関などで使用するマスクをFFP2マスク(医療用マスク)に指定しているから。
そのため、よれよれのおばあちゃんの手作りマスクや10日ぐらい使い回した風の使い捨てマスク姿の人を見ることは少なかったです(ゼロではない)。
この後、ウィーンでは観光は特にせず、予定通り現地の知人とお茶だけすることに。
日本だと昨日6万人の観衆と共に試合観戦してきました、なんて言ったらコロナが気になる人もいそうですが、知人は全く気にしないタイプで、普通に和やかに過ごしました。
ちなみに飲食店利用時にも陰性証明やワクチン接種証明が必要と前述のオーストリア政府観光局公式サイトに載っていたのですが、それは確認されず、名前や連絡先を書いて提出するのみでした。
オーストリアも感染状況の改善に伴いさらなる規制緩和を2021年7月1日からするようで、順調に日常生活を取り戻しているといったところでしょうか。
【体験記⑦】搭乗&オランダ帰国
30℃を超えるアツいウィーンで束の間のリラックスタイムを過ごし、午後に空港へと向かいます。
2021年6月時点でオーストリア(※ハンガリーも)からオランダへの渡航には陰性証明などは必要ないため、事前に用意した健康申告書以外はコロナ前と同じ感覚でOKでした。
行きのアイントホーフェン→デブレツェンと同様、この日のウィーン→アムステルダムもほぼ満席。
筆者がフライトを最後に利用したのはロックダウン中に一時帰国からオランダに戻った2月上旬で、その頃はフライトも空港もガラガラだったため、ずいぶんと人出が戻ったなという印象です。
本格的なバカンスシーズンとなる7月8月は、ますます多くの人で賑わうのは間違いないでしょう。
結果的にまたしても健康申告書はチェックされることなく、無事アムステルダムに到着。
乗客全員IDの確認だけされ、解放されました。
同じく2021年6月時点でハンガリーやオーストリアからオランダに入国/帰国する場合、自己隔離も不要のため、この瞬間から自由に行動できます。
つまり少なく見積もっても数千人のオランダ人が、ハンガリーで試合観戦→陰性証明も隔離もなしでオランダに帰国しているということに。
オランダも快調に規制緩和をぶっ飛ばしていますが、このEUROや夏のバカンスで感染が再拡大しないか注目したいところです。【追記:EUROが原因かはさておき、7月中旬以降思いっきり再拡大しました(´・ω・`)】
観戦を終えてみて
このブダペストでのEURO観戦は、単純にサッカーの試合観戦というだけでなくコロナ対策の確認という意味でも非常に興味深かったのですが、まず入国は文字通りザルでした。
入国前72時間以内のPCR検査のみで、入国時に行なうとされていた健康診断もなし。
(※筆者が渡航した際)
このザルっぷりは、お隣オーストリアも同様でした。
そして試合観戦中ですが、テレビなどで見る印象より感染リスクは高くないと感じました。
これは席による差が大きく、メディアでよく取り上げられるファンが密集しているゾーンは基本的にゴール裏で、全ての席のファンが大声で歌って騒いで踊っている訳ではありません。
当然ながら6万人の観衆と言っても6万人と会話をしたりハグやキスをする訳でもなく、「接触」し得るのはせいぜい自分の席の周りの十数人程度でしょう。
もちろんその中にもし陽性者がいれば感染リスクはありますが、その程度のリスクなら日常生活でも充分ありますよね。さらにスタジアムにいる人は全員ワクチン接種済みor3日前以内の検査で陰性の人のため、全く何のチェックもされない繁華街などよりは安全のはず。
筆者が観戦したのは3階席の最前列で、後ろの席のファンはそれなりに声を出していたものの隣の席のファンは静かだったので、正面から飛沫を受けたと感じる場面は皆無でした。
サッカーの試合に限らず大きなイベントでの感染リスクは運次第の面もありますが、自分から周りの人に話しかけない、そして試合前後に混雑する場所で飲み歩いたりしないといった、自らの行動による面も大きいと思います。
そしてもう一つ、気になるハンガリーの感染状況ですが、ブダペストでの最初のEUROの試合・6月15日のハンガリーvsポルトガルから2週間が経過した6月末時点で、感染拡大の傾向は見られていません。
(データ参照:Worldometers.info)
最後の試合が6月27日なので、7月中旬までに感染が拡大しなければEUROが「戦犯」にはならないと言っていいでしょう。【追記:その後7月中旬時点でもハンガリーの感染状況は非常に落ち着いています】
この時期にほぼノーマスクで満員の観衆を国内外から動員しても感染拡大を招かなかったというのは、今後のコロナ対策などに対して貴重なヒントになり得るのではないでしょうか。
同じく決勝・準決勝で6万人以上のファンを許可したイングランドが爆発的な感染拡大に見舞われた(重症者率は低いとは言え)のに対し、中国製のワクチンを使い効果が怪しまれていたハンガリーでは全く感染が拡大しなかったのはなぜなのか?
各専門家の皆様、夏の自由研究に素晴らしいテーマだと思うのですが😉
観戦者の1人として、このハンガリーの思い切ったEUROでの4試合の開催経験が経済効果以外にも何かしらのプラスを生み出してくれることを密かに期待し、願います。