【これは酷い】ベルギーでコロナのサンタが老人ホームを訪れた結果…

ベルギー
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世界中に感染が拡がる、新型コロナウィルス。
その影響が最も大きい国の一つ、ベルギーで衝撃的なニュースが報道されました。
老人ホームを訪問したサンタクロースがコロナに感染していたことが発覚、その結果とんでもない事態に陥っています。

ベルギーのどこで起きた?

サンタクロースが訪れた老人ホームは、ベルギー北部アントワープ州のモル(Mol)という街にあります。

人口約36000人のモルはオランダとの国境に面した街で、ベルギーのアントワープ、首都ブリュッセル、そしてオランダのアイントホーフェンやマーストリヒトといった主要都市から車で45分〜1時間半ほどの距離。

オランダ在住の筆者はまだ訪れたことはありませんが、美しい湖と森が広がるリゾートとして知られているようです。

 
 
 
 
 
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問題が発生した老人ホームはモル中心部から南、169人が入居する大きな施設。

ベルギー全土に80以上の施設を展開する大手グループのようです。

ベルギーやオランダメディアが一斉に施設内でのクラスターを報じたのは、12月12日。

この時点で入居者とスタッフの計59人に感染が拡がっていることが伝えられています。

オランダ語圏の伝統イベント“シンタクラース”

 
 
 
 
 
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これを読むと、なぜ12月上旬にもうサンタクロース?と疑問に思うかもしれません。

これはオランダ語圏の国や地域の伝統的な行事である『シンタクラース』というもので、11月中旬から12月上旬に祝われます。

11月にスペインから船でやってきたシンタクラースが、12月6日(オランダでは5日)に良い子にしていた子どもたちにお菓子などのプレゼントをあげる、というイベント。

白ひげに赤い服のシンタクラースは、サンタクロースの原型と言われています。

“シンタさん”はオランダやベルギー北部のオランダ語圏の地域ではクリスマスと同様に大切&ワクワクする一大イベントで、各地にシンタさんが出没しては学校や病院、施設を訪ね、子供も大人も喜ばせてくれるのです。

発生当時のベルギーのコロナ状況は?

 
 
 
 
 
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しかし2020年は新型コロナウィルスにより、通常とは異なるシンタクラースを余儀なくされました。

ベルギーは他の欧州各国と同様、10月頃から第二波に襲われます。

その勢いは第一波を遥かに上回る勢いで、10月30日には1日の新規感染者が2万3921人を記録。

ベルギーの人口は約1160万人なので、日本の人口比に換算すると約26万人という凄まじい数字となります。

当然この状況をただ指をくわえて見ていたわけではなく、それまでにすでに行なっていた夜間外出禁止や飲食店のクローズに加え、10月30日に春に続いて2度目のロックダウン

スーパーや薬局を除いた全てのお店や施設が閉められることになりました。

幸いその効果が11月に現れ始め、11月中旬には新規感染者が1日5000人前後、下旬には2500人前後まで減少します(それでも日本の人口比では1日2万5000人以上ですが…)。

そしてシンタクラースがプレゼントと共に学校や施設を訪問する恒例行事は、感染拡大を招きかねないため全面的に中止

その甲斐もあってか12月1日にロックダウンを一部緩和した後も、新規感染者数は大きく増えることなく横ばいの状態でした。

そんな矢先に飛び込んできたモルのニュースだったのです。

サンタクロース役は入居者の息子だった

モルの町役場の公式ページが12月12日に報じたニュースによると、モルでも事前にシンタクラースイベントに関する注意喚起を行なっていたため、多くの学校や施設ではオンラインで実施。

あるいはシンタクラースが直接訪れた場合も、恒例のプレゼントの手渡しなどは行わず接触を避けたとしています。

問題が起きた老人ホームでも、シンタクラースはプレゼントをあげたり入居者の個室を訪れたりしたわけではなく、一同が集まるリビングルームのみを訪問したと伝えました。

サンタはマスク着用も入居者はノーマスク

しかし別のベルギーメディアの記事に載せられた写真には、シンタクラースと“ズワルトピート”と呼ばれる付添の2人の施設スタッフはマスクを着用しているものの、入居者はマスクを着用していない様子が写っています。

さらにシンタクラースやズワルトピート役のスタッフが、マスク無しの入居者と肩を組んでいる写真も。

実はこのシンタクラース役を演じたのは、一人の入居者の息子で施設のボランティアでもあったことが報じられています。

そのため施設内で顔も知られ、信頼されていたため施設はシンタクラースのイベントを問題視しなかったそうです。

ところがイベント当時は無症状だったものの、数日後に検査で陽性が判明。

施設内でも入居者とスタッフに感染が次々と発覚したため、シンタクラースが大クラスターを起こしたとの見解が強まっています。

この事態を受けて町長は強い失望と怒りを表明、コロナで誰もがストレスや不安を抱える中で施設の人達を楽しませるという目的には理解を示しつつ、ソーシャルディスタンスやマスク着用などの対策が不充分だったことを無責任と批判

事前に自治体が施設から受け取っていたイベントに関する情報と実際にシンタクラースが達が取った行動や方法が異なっていた、と伝えています。

【追記あり】12月25日現在の状況

 
 
 
 
 
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施設での大クラスターが発覚してから約2週間が経過した12月25日のクリスマス現在、感染者は入居者とスタッフの計121人に拡がり18人が命を落としたとされています。

さらに感染者の中には重症者が複数いること、そして多くのスタッフにも感染者が出ていることから、今後ますます厳しい事態が懸念されています。

注:その後12月31日時点で26人が命を落とし、スタッフ40人を含む計125人に感染が拡大しています。(参照:The Guardian

モルの事象は元々持病を持った高齢者が多い施設でのコロナのクラスターが、いかに恐ろしいかを証明してしまった形になりました。

この問題発覚以降、SNSを中心にシンタクラース役を演じた本人や施設に対して厳しい批判・意見が殺到。

特に施設での面会が制限されている中でシンタクラースが大クラスターを招いたこと、さらにこの問題が家族に直接通達される前にSNSで発覚したことで、入居者の家族は強い憤りをあらわにしています。

一方でシンタクラースが陽性だったことは認めつつ、全ての感染を引き起こした証拠はないという専門家の指摘も。
施設内に別の陽性者がいた可能性も否定できないとの見解を示し、シンタクラース本人に対する執拗な批判を慎むように呼びかけています。

いずれにしてもクリスマスや年末年始での感染拡大はベルギーに限らず全世界で警告がされていましたが、その2週間前に発生したシンタクラース・クラスターは大きな波紋を呼んでいます。

まとめ

欧州の中で大国ではないベルギーのニュースは日本では取り上げられることが少なく、モルの老人ホームのコロナクラスターもオランダ在住の筆者がオランダメディアを通して知りました。

ソーシャルディスタンスやマスク着用という基本的な措置を怠っていたことはあまりにも軽率だったと言え、日本以上に厳しい規制がかけられている欧米各地で、シンタクラースやクリスマスに施設の人々を喜ばせたいという気持ちまでは批判できないのではないでしょうか。

しかしそれが間違った方法で行われると大きな代償を払うことを、モルはあまりにも厳しい形で知ることになってしまいました。

シンタクラースはオランダとベルギーの一部のみの行事ですが、クリスマスは世界数十億人が関わります。
同じようにサンタクロースが施設や病院を訪問する習慣は世界各地であるため、国・市・自治体が適切に規制を取り決めることが重要ではないでしょうか。

モルのような出来事がこれ以上起きないことを、心から願います。

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