オーストリアの首都ウィーンは、独自の音楽、建築、アート、そしてカフェ文化を持つ華やかな中欧の芸術都市。
そんな見どころたっぷりのウィーンのベストシーズンはいつなのでしょうか?
欧州在住で何度もウィーンに訪れている筆者が、詳しく解説していきます。
涼しい夏&寒い冬だが温暖化の影響も?
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中欧を代表する人気都市であるウィーンは、西岸海洋性気候に属します。
ロンドン、パリ、アムステルダムなど多くのヨーロッパ主要都市の他、日本でも北海道の一部や日光、阿蘇なども同気候と言われており、日本人にも割と想像がしやすいかもしれませんね。
その何となく頭に思い浮かべるイメージ通り、ウィーンは涼しい夏と寒い冬が特徴で、降雪も珍しくありません。
しかしウィーンもまた地球温暖化の影響と思われる気候の変動を目の当たりにしている都市の一つで、まれに夏の暑さが40℃近くに達することも。
降雪量も減少傾向にあり、冬の寒さの厳しさは以前ほどではなくなってきています。
もちろん35℃を超えるような猛暑は頻繁に起こるわけではないですし湿度も低いので、総合的には日本の主要都市より快適な夏が期待できるでしょう。
とは言え事前に気候の予測をするのが難しいので、どの季節に訪れるにしても涼しい!暑い!寒い!と決めつけず、寒暖の差に柔軟に対応できるような服装がベストです。
ウィーンの平均気温・降水量・日照時間
それではそのウィーンの平均最高/最低気温・降水量・日照時間をチェックしてみましょう。
数字はサイトにより多少差があるので、この記事ではClimatestotravel.comを参照にしています。
地球温暖化ガーとは言いながらも12月から2月は平均最低気温が氷点下となっているため、しっかりと防寒対策をしていきましょう。
真夏の7月8月でも最低気温が16℃と涼しく、朝晩と日中の気温差が大きいことが分かります。
降水量に目を向けてみると冬より夏に多いですが、年間降水量は600mm前後で、日本の主要都市が1600mm前後ということを考慮すると、極めて少なめ。
ローマやバルセロナといった南欧の都市と比べても同等かそれ以下で、意外なほど雨の出番が少ないようです。
その割にはあまり明るい太陽の街!というイメージがないのは、曇りが多めだから。
イタリアやスペインなど南欧の各都市は多いところで年間の日照時間が2500時間〜3000時間程になるのに対し、ウィーンは約1800時間。
これは日本の主要都市とほぼ同じなので極端に暗黒めいているということではないものの、特に11月から1月は平均日照時間2時間/1日と短め。
サマータイムを導入していることもあり、夏に比べると昼が短い&曇りが多いことから、やはり冬はどんよりと暗い印象を与えがちです。
季節ごとのメリット&デメリット
こういった気候の特徴を踏まえると、ウィーンのベストシーズンは春から秋と言って間違いないでしょう。
サマータイム中でもある4月から10月までは寒さが厳しくなく日照時間も長めで、街散策や食べ歩きも楽しみやすい時期。
ただ同時に多くの観光客が世界中から訪れ、人気観光スポットは混雑し、ホテルやツアー価格も高騰しがちです。
またウィーンは天候が関係ない屋内の観光スポットや見どころも多いため、旅の目的や予算によっては必ずしもこの時期がベストとは限らないことも。
そこで各季節ごとのメリット・デメリットを簡潔にまとめました。
春(4月〜5月)
3月下旬にサマータイムが始まり移動祝日のイースターが来ると、短い春の訪れです。
まだ暖かいと言える日は限られているものの、寒さのピークは過ぎ、色とりどりの花々や新緑も美しい季節。
特に音楽やフード系のイベント・フェスが多く開催され、厳しい冬を越えた歓喜に溢れた華やかな雰囲気です。
それに比例して観光客も増加し、人気観光スポットやカフェはかなり混みます。
夏(6月〜8月)
夏になると大小の屋外でのイベントが数多く行われる他、おしゃれなレストランやカフェのテラス席での優雅な食事やカフェタイムも大きな楽しみの一つ。
21時過ぎまで薄明るい中でゆっくりと観光、グルメ、ショッピングができるため、ウィーンの魅力や見どころを余すことなく満喫したいという人には最高の季節です。
特に夏のバカンス期である7月中旬から8月は1年で最も混雑し、ホテルやツアー価格も高くなりがち。
また朝晩は心地よい涼しさでも、日中は長時間歩くには暑い日も。
秋(9月〜10月)
9月に入ると怒涛の観光客も波が引き、昼間でも涼しくなってくるので再び街歩きや自然散策に気持ちの良い季節となります。
紅葉・黄葉そして落葉が見事に街に彩りを加えて一層フォトジェニックになるので、写真好きにもおすすめ。
秋もアートや映画などイベントが目白押しで、栗やプラムなど秋の味覚も登場。
一方で賑やかな夏が去った後だけに、日に日に日が短くなって寒くなっていく様子が寂しげと感じる人もいるかも。
冬(11月〜3月)
10月下旬にサマータイムが終わると、長い冬の始まりです。
街中に溢れていた観光客はグッと減り、シェーンブルン宮殿、シュテファン大聖堂、奇才フンデルトヴァッサー建築など人気観光スポットも人混みに急かされることもなくマイペースに鑑賞しやすい時期。
一般的にツアーや航空券、ホテル料金が安くなり、お得に旅行しやすいのも冬の大きなメリットです。
ザッハートルテで有名なウィーンは世界屈指のカフェ天国でもあり、オフシーズンは人気カフェやスイーツ巡りもしやすいですよ。
言うまでもなく天候的には厳しく、11月中旬から年明けまでのクリスマスマーケットやイルミネーションを除くと、暗く地味な印象は拭えません。
ウィーン旅行で避けるべき時期はある?
ここまで記事を読んでいただいた人にはお分かりになるかもしれませんが、ウィーンにはどの季節にも見逃せない魅力があります。
そのため絶対避けるべきという時期はなく、自分の行きたいスポット・やりたいこと・予算・目的によって日程を組むことが大切です。
簡単に言うと夏は昼が長く明るいムードである一方で、どこも混雑しがち。
逆に冬は寒くてすぐ暗くなってしまいますが、少ない観光客のおかげでゆっくり観光やグルメを楽しみやすいメリットが。
その中間である短い春と秋はバランスが良い季節ですが、朝晩の寒さや人気スポットの混雑はある程度覚悟する必要があります。
それぞれの季節の特徴をよく考慮して、あなたにとって最適な時期にウィーン旅行を堪能してくださいね。