アドリア海の秘宝との異名を持つモンテネグロには、小さい国土ながら海・山・湖・街など美しい景色が目白押し。
日本人にはまだあまりよく知られた旅行先ではありませんが、欧州人の間では着実に人気が高まっている注目の国。
この記事ではそんな魅力満載のモンテネグロで特に外せない、おすすめ観光スポットを厳選して紹介します。
- 世界遺産の美しい旧市街コトル(Kotor)
- 2500年の歴史を誇るビーチリゾート・ブドヴァ(Budva)
- 自然の驚異ドゥルミトル国立公園(Durmitor National Park)
- 欧州で最も深い絶壁タラ渓谷(Tara Canyon)
- 自然観察やローカルグルメが魅力のシュコダル湖(Lake Skadar)
- 聖なる巡礼地オストログ修道院(Ostrog Monastery)
- スタイリッシュな港ポルト・モンテネグロ(Porto Montenegro)
- プチ無人島ツアー スヴェティ・ニコラ島(Sveti Nikola)
- 絵画のように美しいペラスト(Perast)
- 旧首都の面影残すツェティニェ(Cetinje)
- 360°の圧巻パノラマ!ニエゴス廟(Njegos Mausoleum)
- イスラムの香り漂うウルツィニ(Ulcinj)
世界遺産の美しい旧市街コトル(Kotor)
モンテネグロ旅行でまず外せない街が、世界遺産にも登録されているコトル。
世界一美しいとも評されるコトル湾に面したコトルのヴェネツィア様式の旧市街は、中世の建造物が良い保存状態でぎゅっと詰まり、迷路のような細い路地を散策するのにピッタリのコンパクトなサイズ。
雰囲気の良いカフェやショップ、ミュージアム巡りをしたら街を見渡す4.5kmの城壁にも足を運びましょう。
コバルトブルーのコトル湾と旧市街の赤レンガ色の屋根のコントラストが見事で、人が少なく静寂が残る朝、刻一刻と色を変えるロマンチックな夕暮れ、宝石のようにきらめく夜景のどれをとってもため息が出るような絶景です。
2500年の歴史を誇るビーチリゾート・ブドヴァ(Budva)
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2500年の歴史を誇る古都ブドヴァもモンテネグロを代表する観光都市。
ブドヴァの旧市街もヴェネツィア様式の建物が中心となっているものの、3つの象徴的な教会は7世紀・9世紀・19世紀に建てられたもので、異なる時代の異なる建造物が見られるのも古都ならでは。
そんな旧市街から徒歩圏内にはいくつも美しいビーチが点在し、ビーチ沿いにはモダンなバー、レストラン、クラブ、ショッピングストリートがずらりと並びます。
過去と現在、史跡と自然、静寂と活気が見事に調和したユニークな都市と言えるでしょう。
なお、モンテネグロのおすすめビーチはこちらの記事で紹介しています。
自然の驚異ドゥルミトル国立公園(Durmitor National Park)
アドリア海側に主要観光地が多いモンテネグロの中で、山側のエース格と言えるのが国立公園のドゥルミトル。
氷河期に形成された地形に多くの固有種が生息するドゥルミトルは1952年に国立公園、1980年に世界遺産に登録されたというだけあり、山、森、川、湖、渓谷では希少で貴重な環境が保護されています。
ハイキングに最も適しているのは夏ですが、新緑が眩しい春から紅葉・黄葉・落葉のグラデーションが見事な秋、一面雪化粧に包まれる冬とどの季節にもハッキリとした特徴があるのも魅力。
初心者向けのトレッキングからカヤック、ラフティング、冬ならスキーとアクティビティも豊富で、子供から大人まで楽しめるスポットです。
欧州で最も深い絶壁タラ渓谷(Tara Canyon)
そのドゥルミトル国立公園内にあるタラ渓谷は、グランドキャニオンに次いで世界で2番目、欧州では最も深い約1300mの壮大な景観。
隣国ボスニア・ヘルツェゴビナまで続くタラ川に沿って広がる82kmに及ぶ起伏の激しい渓谷には数多くの洞窟、滝、ビーチがありアウトドア派の冒険心をくすぐります。
この険しいタラ渓谷を満喫するのはラフティングツアーがベストと言われ、360°広がる大自然の中で忘れられないようなスリリングな体験が可能。
タラ川に架かる1940年完成の趣のある橋も、同じく絶景スポットとして有名です。
自然観察やローカルグルメが魅力のシュコダル湖(Lake Skadar)
ちょっと色々アレな(なに)隣国アルバニアとまたがるシュコダル湖も、モンテネグロの自然を満喫できる代表的なスポットの一つ。
バルカン半島最大のこの湖も国立公園に指定され、華やかなビーチ側とは違う落ち着いた空気が流れるため長期滞在にも向いているエリア。
湖周辺にはペリカン、サギ、カモメなどの鳥類やコイ、ウナギ、ウナギやウナギなどの希少で美味しそうな(おい)魚類が生息し、ボートツアーでのんびりと周るのが定番です。
周囲にはワイナリーも点在するのどかな場所で、ワイン、チーズ、ハチミツ、ウナギなど伝統的なローカルフードを楽しめるのもポイント。
聖なる巡礼地オストログ修道院(Ostrog Monastery)
オストログ修道院は17世紀に建てられたセルビア正教会の修道院で、オストログの聖バジルが祀られたモンテネグロで最も重要な聖地。
慈悲深く謙虚にその生涯を神に捧げた司教だったと言われる聖バジルが眠る修道院は静かなゼータ渓谷にあり、そこから山道を約3km下った通称“Lower Monastery”から裸足で歩いていくのが伝統的な巡礼とされています。
垂直の崖にはめ込まれたような独特な現修道院は一度火災で大部分が消失したものを1920年代に再建されたもので、内部には鮮やかなフレスコ画が飾られ、外に広がるのは深い緑がどこまでも続く見事な眺望。
訪れると病の癒やしなどの奇跡が起こるとされる修道院は、現在では正教徒のみならず世界中の人々が足を運ぶ一大聖地となっています。
スタイリッシュな港ポルト・モンテネグロ(Porto Montenegro)
対照的にモダンでスタイリッシュ、ラグジュアリーな雰囲気をうっとりするほど放っているのがコトル湾に面した街ティヴァト(Tivat)にあるマリーナ、ポルト・モンテネグロ。
かつては小さな漁村で主に製塩と海軍基地で成り立ってきたこの港が、急速に垢抜けた観光地と変貌を遂げたのは21世紀になってから。
マリーナにはヨットクラブ、5つ星ホテルRegent Porto Montenegro、各種レストランやバー、ショッピングエリア、ミュージアムなどと同時に英国や北欧、ロシアの富裕層向きの物件も並ぶ、モンテネグロでも特に注目されている洗練されたエリアです。
マリーナではスポーツ、グルメ、音楽、映画など様々なテーマのイベントが日々開催されているので、ロシアの大富豪でなくてもふらりと立ち寄れば旅に素敵な思い出をプラスしてくれるはず。
プチ無人島ツアー スヴェティ・ニコラ島(Sveti Nikola)
ブドヴァの旧市街から1km沖に浮かぶ小島、スヴェティ・ニコラ島は別名ブドヴァのハワイとして親しまれる、日帰りで行ける無人島。
透明度の高いターコイズブルーの海に囲まれた島にはヒトの替わりにシカやウサギが生息し、夏にはこの小さな楽園を求めて多くの地元民と観光客がボートで渡ってきます。
無人島ではあるものの島にはいくつかのレストランがあり、特に新鮮なシーフードは島ならではのグルメ。
日が長い夏でもビーチで遊んではレストランで胃を満たし、疲れたらパラソルの下で一休みと1日中過ごせます。
ビーチは石や岩が多いので、適切な履物を持参するといいでしょう。
絵画のように美しいペラスト(Perast)
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コトルやブドヴァに負けないほどフォトジェニックな街が、ペラスト。
ペラストはコトルからコトル湾沿いにおよそ12km北にあり、主な見どころは2時間ほどで歩いて回れるとても小さな街です。
沖合に浮かぶ幻想的な岩礁の聖母(Our Lady of the Rocks)、55mの鐘楼が目印の聖ニコラス教会(Saint Nicholas Church)を始め、ミュージアムとこぢんまりとしたビーチがペラストの観光名所。
そんなかわいらしいサイズのペラストですが、屋根のない博物館とも言えるこの街は急ぎ足でさくさく歩くより、のんびりと時間をかけて道に迷ったりカフェでくつろいだりするのがベター。
かつて要塞都市として重要な役割を果たした石造りの旧市街を、中世にタイムスリップした気分で歩き尽くしましょう。
旧首都の面影残すツェティニェ(Cetinje)
モンテネグロの現首都はポトゴリツァ。
そのポトゴリツァをスルーしてあえて旧首都のツェティニェを紹介するのはポトゴリツァがショボいからではなく(なくはない(おい))、ツェティニェには独特の歴史や文化があるため。
イタリア語で『黒い山』を意味するモンテネグロという国名の由来となっているその山がロブチェン山(Lovćen)であり、その麓に15世紀に首都として誕生したのがツェティニェでした。
2500歳のブドヴァなどに比べるとずいぶんヤングなのには訳があり、当時バルカン半島に勢力を拡大していたオスマン帝国から逃れるために首都を転々と移行し、築いたのが鬱蒼とした山に囲まれたこの地だったのです。
当初は人口数百人の世界最小の首都だったものの19〜20世紀初頭には庁舎、各国大使館、宮殿、女学校などが続々と建設され人口も6000人近くに増加。
しかしその後首都がポトゴリツァに移り、観光面でもビーチ側の各地が発展していったため再びおとなしい存在に逆戻りし、今では静かに過去の史跡や文化的遺産を伝える謙虚な?街となっています。
360°の圧巻パノラマ!ニエゴス廟(Njegos Mausoleum)
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そのツェティニェからアクセスしやすいロブチェン国立公園内にあるニエゴス廟は、モンテネグロの中でも5本の指には入るであろう絶景パノラマが堪能できるスポット。
1830年から1851年までモンテネグロの統治者であったペタル・ペトロヴィッチ・ニエゴスを祀るために建てられた教会が、世界大戦の被害で破損。
現在の霊廟は1974年に建て直されたもので歴史的な重みはやや感じにくいかも知れませんが、とにかくそのロケーションが圧倒的。
461段の階段を登って辿り着く霊廟の周りは360°遮るものが何もなく、コトル湾はもちろんクロアチア、シュコダル湖、ちょっと色々アレな(なんなの)アルバニアまで見渡せる絶好の眺望が待っています。
イスラムの香り漂うウルツィニ(Ulcinj)
モンテネグロのアドリア海の北側はみんな大好きクロアチアに面しているため王道観光地としての風格さえ感じる街が並びますが、南に行くにつれてちょっと色々アレな隣国アルバニアの空気が濃くアレになっていき(だからなんなの)、その代表格がウルツィニです。
かつてのオスマン帝国の支配の影響もありウルツィニはコトルやブドヴァなど王道エリアとは異なりムスリムが約7割、同様にアルバニア人が7割以上を占める、モンテネグロ<アルバニアという異色の雰囲気。
とはいえウルツィニのムスリムはいわゆるトルコ系の緩めなムスリムで、飲酒も豚肉もOK、ついでにヌーディストビーチもあるオープンな雰囲気。
それでいて街にはモスクからミナレットがニョキニョキと伸び、中世から時が止まったかのような旧市街と多くの飲食店やホテルが並ぶ賑やかなビーチ沿いのエリアに、欧州らしからぬエキゾチックな要素を加えています。