ギリシャ最大の島であるクレタ島は、大きさだけではなく歴史、自然、文化、グルメなど見どころも盛りだくさんの島。
この記事では特に初めてクレタ島に旅行に行く際にぜひチェックしておきたい、魅惑の観光スポットを厳選して紹介します。
欧州最古の都市クノッソス宮殿
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かつてギリシャ神話の中の空想の存在と思われていたクノッソス宮殿(Knossos Palace)がイギリス人考古学者アーサー・エヴァンス氏によって発見されたのは、1900年のこと。
紀元前7000年には人が住んでおり、最盛期には人口10万人を超えていたとされるクノッソスに最初の宮殿が建てられたのは紀元前2000年頃。
その初代宮殿は紀元前1700年頃の大地震で破壊され、その後再建された新宮殿も紀元前1380年頃の火災(※諸説あり)で滅亡に追い込まれます。
このミノア文明の心臓とも言えるクノッソス宮殿を発見したエヴァンス氏はヒャッハー状態だったと想像され、コンクリート等を使ってゴテゴテに修復したため、現在はオリジナルの3000年以上前の遺跡と100年前の復元後の部分が混合した少しイビツな姿に。
おっさん余計なことをしやがってと舌打ちしたくもなりますが、それでも多少でも歴史に興味がある人にはマストスポットです。
クレタの歴史を深く知る各ミュージアム
せっかく歴史的建造物や史跡が数多くあるクレタ島、考古学博物館などを訪れればより詳しく掘り下げてその歴史を知ることができます。
代表的なミュージアムが、クノッソス宮殿とセットで訪れたいイラクリオン考古学博物館(Heraklion Archaeological Museum)。
というのもクノッソス宮殿にある壁画などはおっさん一同によるレプリカで(言い方)、本物が展示されているのがこちらだからです。
新石器時代からローマ時代までの5500年分のコレクションを誇るギリシャを代表する博物館、ゆっくりと時間をかけて見学しましょう。
1962年にヴェネツィアン修道院の中にオープンしたハニア考古学博物館(Archaeological Museum of Chania)も、規模は一回り小さいものの同様にジュエリー、モザイク画、彫刻など数々の展示品がびっしりと並びます。
その他レシムノン(Rethymno)やエレフテルナ(Eleutherna)などクレタ各地に興味深い考古学博物館があるので、滞在先や日程に合わせて行きやすい所に足を運ぶといいでしょう。
美しい島に隠された悲しい過去スピナロンガ島
クレタ屈指の美しい港町アイオス・ニコラオス(Agios Nikolaos)などから気軽に行ける日帰りボートツアーで人気のスピナロンガ島(Spinalonga)。
美しい海に囲まれた小さな無人島には立派な要塞が建ちいかにもフォトジェニックな景観ですが、この島は1903年から50年以上に渡りギリシャ中のハンセン病患者が隔離されていたという過去があります。
ヴェネツィア支配下の16世紀に古代アクロポリスの遺跡を利用して造られた要塞や洞窟に住み、医師による治療も受けられずにクレタ本島から送られる食料などの物資により生活していたという患者達。
現在ではその跡地である要塞を始め、ヴェネツィアやオスマン帝国時代の面影を残す遺跡やビーチが静かに残され、世界遺産への登録も検討されています。
ハニアの街を一望する旧ヴェネツィアンハーバー
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イラクリオンに次ぐクレタ第二の都市であるハニアは、ヴェネツィア時代やオスマン帝国時代の建築物が残る旧市街に近代的でおしゃれな飲食店やホテル、ナイトスポットが絶妙に融合する、観光客には一番人気の街。
中でも第二次世界大戦やギリシャ内戦の大きな被害を逃れたオールド・ヴェネツィアン・ハーバー(Old Venetian Harbour)は、その名の通りヴェネツィア時代に建てられた情緒あふれる港。
港沿いには欧州を代表するビーチリゾートタウンらしくギリシャ料理や多国籍料理のレストランやバーがずらりと並び、静寂さが残る朝、活気に満ち溢れる昼、ロマンチックな雰囲気が広がる夕方から夜と、どの時間帯にも異なる魅力があります。
この今昔入り混じったカラフルなハーバー沿いの景色を一望できる、ハニア灯台までの散策も忘れずに!
16世紀にタイムスリップできるレシムノン旧市街
そのハニア以上にヴェネツィア時代の建造物が良い状態で残っているとされるのが、レシムノン(レティムノ)です。
ハニアと同様にレシムノンも旧市街と新市街に分かれ、広い公共ビーチに面した活気に満ちた新市街とフォルテッツァ城(Fortezza Castle)を中心に16世紀から17世紀にヴェネツィアによって造られた旧市街が隣り合う絶妙なバランス。
細い路地を迷いながらヴェネツィア時代のカトリック教会、オスマン帝国時代のモスク、そしてモダンなミュージアムやカフェ、屋外映画館などを散策すると過去と現代を行き来しているかのような感覚に。
イラクリオンとハニアの中間にありいずれの都市からも日帰りで行けますが、できれば宿泊してじっくりとその街並みを朝から晩まで満喫したいところ。
歴史・建築・自然を堪能できるアルカディ修道院
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レシムノンに行くのならば、そこから約20km南東にある正教会のアルカディ修道院(Arkadi Monastery)にも忘れずに足を運びましょう。
アルカディ修道院はブドウ畑、オリーブ、オークの森が豊かな自然に囲まれたエリアにあり、まずは辿り着くまでのその風景を楽しむことができます。
5世紀にビザンツ帝国の皇帝アルカディウスによって建てられたとの言い伝えがあるこの修道院ですが、現存するのは16世紀にヴェネツィアン・バロック様式を用いて大規模に修復したもの。
クレタ島の大部分がオスマン帝国支配下になった17世紀以降もしばらくはクレタで最も裕福かつ美しい修道院として繁栄を極めていましたが、やがて陰りが見られ始め、ついに1866年に悲劇が起きます。
オスマン帝国への反乱軍の司令部となっていたアルカディ修道院に、兵士の他多くの女性と子供が逃げこんでいたところをオスマン軍が包囲。
降伏より自決を選び火薬庫に火を放った結果、ギリシャ人トルコ人合わせて2000人以上が犠牲になったと言われています。
現在ではこの蜂起が起きた11月8日を記念日とし、1年を通して国内外から多くの観光客が訪れています。
希少な固有種の宝庫サマリア渓谷
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ビーチと史跡がメインと思われがちなクレタですが、山にも名所があり、その一つがサマリア渓谷(Samariá Gorge)です。
16kmに及ぶ渓谷にはつぶらな瞳の『クリクリ』というヤギなど多種多様な希少な動植物が生息していることから、1962年に国立公園に指定。
それまで住んでいた住民は近隣の地域に退去させられ、環境保護のため渓谷内でのキャンプや遊泳は禁止。
また雨が多い冬は川が増水し危険なことから観光客が訪れることができるのは5月から10月の日中のみで、16kmの距離から分かる通り通常5〜7時間ほどのトレッキングコースなので、快適な靴や服装は必須です。
360°広がる景観美、新鮮な湧き水、野鳥のさえずりなど半世紀以上に渡り慎重に保護されてきたサマリア渓谷の自然美を、ゆっくりと五感で感じましょう。
国際空港の近くに佇む荘厳な聖トリニティ修道院
クレタの玄関口でもあるクレタ国際空港から北に4kmの場所に、オリーブやイトスギの木々と共にひときわ目を引く3つのドームが目印の修道院があります。
それがギリシャ正教の聖トリニティ修道院(Agia Triada Monastery)で、アルカディ修道院と同様にクレタでも特に豊かで荘厳な修道院と言われ、修道院内の図書館やミュージアムには貴重な書籍やイコン、絵画などのコレクションが。
また僧侶が作るオーガニックのオリーブオイル、ワイン、ハチミツや石鹸などが販売されているので、お土産にもピッタリ。
ハニア中心から15kmほどの距離がありますが、クレタでトップクラスの人気ビーチ、セイタン・リマニアビーチ(Seitan limania beach)への途中に寄りやすい場所なので、セットで訪れるのが便利です。
かつてのヒッピーの棲み家マタラ
クレタにはメジャーな大都市以外にもフォトジェニックな小さな村がいくつも点在しており、その中でも個性的なオーラを放っているのがマタラ(Matala)です。
イラクリオンから車で約1時間ほどのクレタ南海岸にある小さな漁村が多くのヒッピーのホームとなったのは、1960年代。
マタラビーチを見渡す洞窟に住んでいたヒッピー達はこの村にたくさんのストリートアートを残しつつ、わずか数年後には立ち退きを命じられることとなります。
現在洞窟は考古学博物館も兼ねた人気観光スポットとなっており、当然寝泊まりは不可。
しかし彼らが残したヒッピー文化やアートは消え去ることはなく、2011年以降毎年ヒッピーフェスも開催しています。
なおここまで読んでお気づきかもしれませんが、この記事ではビーチは含んでいないので(魅力的なビーチが多すぎるので!)、クレタのビーチ情報はこちらの記事をご参考にしてくださいね(^^)
古き良き伝統が残る陸の孤島ルトロ
マタラとはまた異なる魅力を持つのが、同じく南海岸にある小さな小さな漁村ルトロ(Loutro)。
ルトロの魅力とは、何もないところ。
え?
いや本当にほとんど何もないんです。
なのでルトロですることと言えば、ビーチで遊ぶ、日光浴をする、食べる、飲む、寝るぐらい。
最高じゃないですか?
ルトロが他のクレタの街から完全に取り残されたかのように観光地化していないのは、その不便過ぎる立地。
ホラ・スファキオン(Chora Sfakion)からボート、または2時間ほどのハイキングでしか行けず湾と山に囲まれているため、まさに陸の孤島状態。
賑やかな観光スポット巡りや大都市での滞在に疲れたら、ぜひルトロで一息ついてみてはいかがでしょうか。