2024年夏にドイツで行われる、EURO2024。
ドイツの東西南北10都市のスタジアムで約1ヶ月に渡って行われる、サッカーファンであれば見逃せない欧州サッカーの祭典です。
この記事では欧州在住の筆者が、その10ヶ所のスタジアムのアクセスや基本情報をまとめました。【2024年6月追記】
ベルリン/Berlin
このEURO2024(※)の決勝の開催地に選ばれているのが、首都ベルリンのオリンピアシュタディオン。(※欧州選手権・ユーロとも呼ばれる。以下EUROで統一)
その名の通り1936年のベルリンオリンピックに合わせて開場した歴史あるスタジアムで、それ以降も1974年ワールドカップ西ドイツ大会、2006年ワールドカップドイツ大会、さらに日本が優勝した2011年女子ワールドカップドイツ大会などなど、数々の大イベントの舞台に。
その一方で2006年ワールドカップ前に大規模な改修がされたことから建築や設備はモダンな印象で、サッカー以外にもあらゆるスポーツや音楽イベントに利用される、ドイツ最大の多目的スタジアムとなっています。
ベルリン中心から乗換なしの電車1本とアクセスも分かりやすく、旅行者でも安心。
文化・歴史・グルメ・アートなど見どころたっぷりの国際的でエネルギッシュなベルリンは、EURO2024でも新たな熱狂を生み出してくれることでしょう。
スタジアム名:ベルリン・オリンピアシュタディオン(Olympiastadion Berlin)
使用クラブ:ヘルタ・ベルリン
収容人数:約75000人 ※1
主なアクセス:【電車】S3・9号線Olympiastadion駅から徒歩約7分
クラブまたはスタジアム公式サイト:https://olympiastadion.berlin/en/home/
※1…スタジアムの収容人数はイベント(国内試合・国際試合・他のスポーツ・音楽ライブなど)により変わるため、EUROの試合での実際の収容人数は異なる可能性があります(以下同様)。
ハンブルク/Hamburg
そのオリンピアシュタディオンに比べるとずいぶん若いですが、それでも1953年から約70年の歴史を持つのがハンブルクのフォルクスパルクシュタディオン。
2022年現在こそドイツ2部リーグに甘んじているものの、ドイツ指折りの古豪として知られるハンブルガーSVの本拠地で、日本人にとっても元日本代表のFW高原選手が活躍したクラブとして記憶に残っているかもしれませんね。
こちらも約57000人収容の巨大スタジアムなだけあり、ベルリンと同様に1974年&2006年の2度のワールドカップに加えて、東西ドイツ統一前最後の1988年のEUROの会場にもなった、名スタジアムと言っていいでしょう。
世界遺産にも登録された赤レンガ倉庫街、新鮮なシーフード料理、そしてネオンが煌めく夜の繁華街etc.いかにも港町らしいハンブルクで、サッカー観戦・観光・グルメ・ナイトライフを存分に満喫してみてはいかがでしょうか。
スタジアム名:フォルクスパルクシュタディオン(Volksparkstadion) ※2
使用クラブ:ハンブルガーSV
収容人数:約57000人
主なアクセス:電車Stellingen(ステリンゲン)駅から徒歩約25分またはシャトルバス380号線Arenen(アレーネン)駅からすぐ
クラブまたはスタジアム公式サイト:https://www.hsv.de/uebersicht (ドイツ語)
※2…EUROやワールドカップでは公式スポンサー・サプライヤー以外の企業名はスタジアム名から除外されるため、EURO期間中は別の名称になる可能性があります(以下同様)。
ケルン/Köln
今でこそドイツを始め海外でプレーする日本人選手は珍しくなくなりましたが、1970年代に初めてドイツでプレーしたのが奥寺康彦氏。
その奥寺氏が最初に所属したのがFCケルンで、そのホームスタジアム・ラインエネルギーシュタディオンはなんと1923年開場のおじいちゃん超ベテランスタジアム。
とはいえもちろんそんな100歳のおじいちゃんが何のメンテナンスもなく生存し続けている訳ではなく、1974年&2006年の2度のワールドカップ前に大きな改修をしているため、古臭さを感じることはまずないでしょう。
こちらもFCケルンの試合以外にも年間を通してスポーツやライブイベントが行われ、スタジアムツアーも可能。
大きすぎて口あんぐりでおなじみのケルン大聖堂からトラム1本約30分とアクセスも良く、EURO観戦と観光を効率良く楽しめるでしょう。
スタジアム名:ラインエネルギーシュタディオン(RheinEnergieStadion)
使用クラブ:FCケルン
収容人数:約50000人
主なアクセス:【トラム】1号線Köln Rheinenergiestadionから徒歩約5分
クラブまたはスタジアム公式サイト:https://fc.de/en/fc-info/home/
ドルトムント/Dortmund
ヨーロッパではサッカークラブの実績・知名度とその都市の大きさはだいたい比例することが多いですが、ドルトムントに関してはその方程式に当てはまらないかもしれません。
元日本代表MF香川選手が所属していたこともあり日本人にもよく知られたボルシア・ドルトムントは、サッカー好きであればまず知らない人はいないであろう名門クラブ。
しかしドルトムントの街自体は人口約60万人、元々工業都市として栄えてきたこともあり、観光地としては他のドイツの各地ほど目立っていません。
それもあってドルトムントの試合のチケットは地元の熱烈なクラブメンバーでほぼ毎回完売となり、その本拠地ジグナル・イドゥナ・パルクで一般の旅行者が定価で試合観戦するのはなかなかハードルが高め。
2022年12月現在まだまだチケット販売は開始されてないものの、EURO2024では準決勝を含む6試合が予定されており、普段は高嶺の花のような?ジグナル・イドゥナ・パルクでサッカー観戦をするのに絶好の機会になるかもしれませんね!
スタジアム名:ジグナル・イドゥナ・パルク(Signal Iduna Park)
使用クラブ:ボルシア・ドルトムント
収容人数:約81000人
主なアクセス:【バス】RB52・53・59号線などSignal Iduna Park停留所から徒歩約5分
クラブまたはスタジアム公式サイト:https://www.signal-iduna-park.de/en/home.htm
デュッセルドルフ/Düsseldorf
そのドルトムントから南西に約70kmのデュッセルドルフも、EURO2024の開催都市の1つ。
デュッセルドルフはロンドン、パリに次いでヨーロッパで3番目に日本人が多く住む都市で、全体の人口が約62万人ということを考えるとその巨大2都市以上に『日本人率』は高め。
それは街を歩けばすぐに感じるはずで、日本語表記の標識、飲食店にも日本語メニュー、またよくあるなんちゃってジャパニーズレストランではなく日本人経営のちゃんとした日本食レストランや日本の食材や雑貨が買えるお店も多数。
EURO2024が開催されるメルクール・シュピール・アレーナを本拠地とするフォルトゥナ・デュッセルドルフの公式サイトにも、しっかり日本語ページが。
さすがに地元民がみんな日本語をペラペラ話せるという訳ではありませんが、特に海外旅行に慣れていない人には他の都市よりハードルが低いと言えるかもしれません。
メトロ駅からすぐスタジアムが見え、街中心からも国際空港からも約30分なので、こちらもアクセスは容易です。
スタジアム名:メルクール・シュピール・アレーナ(Merkur Spiel-Arena)
使用クラブ:フォルトゥナ・デュッセルドルフ
収容人数:約52000人
主なアクセス:【メトロ】U78号線D-MERKUR SPIEL-ARENA/Messe Nord(D・メルクール・シュピール・アレーナ/メッセ・ノルト)駅から徒歩約8分
クラブまたはスタジアム公式サイト:https://japan.f95.de/ (日本語)
ゲルゼンキルヘン/Gelsenkirchen
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ドルトムント、ケルン、デュッセルドルフと同じくノルトライン=ヴェストファーレン州にあるゲルゼンキルヘンも、人口約26万人ながら名門サッカークラブを生んだ都市。
シャルケ04がそれで、日本人にとっては元日本代表のDF内田選手が所属していたクラブとして印象深いはず。
それ以外にも元ドイツ代表のMFエジル選手やドイツ代表GKノイアー選手、さらにシャルケ04出身ではないもののゲルゼンキルヘン出身としてドイツ代表MFギュンドアン選手など、街の規模に似合わないほど多数のスター選手を輩出してきた隠れサッカーの街と言えるかも?
シャルケ04もまた熱烈なサポーターで有名で、成績がイマイチ振るわない時でもその本拠地フェルティンス・アレーナには6万人の大観衆が詰めかけ、圧倒的な迫力を生み出します。
このゲルゼンキルヘンと前述のドルトムント・ケルン・デュッセルドルフの4都市間は電車で30分〜1時間少々と行き来しやすいため、複数の試合を観戦するのにも非常に便利です。
スタジアム名:フェルティンス・アレーナ (Veltins-Arena)
使用クラブ:シャルケ04
収容人数:約62000人
主なアクセス:【トラム】302号線Gelsenkirchen Veltins-Arena駅から徒歩約5分
クラブまたはスタジアム公式サイト:https://veltins-arena.de/en/
ライプツィヒ/Leipzig
続いてドイツの西側から東側に移動し、ライプツィヒが登場。
ライプツィヒはワーグナーやバッハとゆかりのある欧州を代表する音楽の街と知られ、コンサートホール、教会、歌劇場やフェスティバルなど、あらゆる場所で音楽に触れることができます。
またドイツで2番目に古い1409年創立(!)のライプツィヒ大学はゲーテ、森鴎外、ドイツ前首相のメルケル氏などなど、数々の著名人が学びを受けた名門大学。
その一方でEURO2024の舞台であるレッドブル・アレーナは2004年完成、さらにその使用クラブであるRBライプツィヒは2009年創業という非常に若いクラブ。
そのため歴史や伝統を重んじるドイツ人にはアンチが多いそうですが、2019−20シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグで準決勝まで進出、2021−22シーズンにはDFBポカール(ドイツ杯)を制覇と、クラブ設立からわずか10数年の間に目覚ましい活躍を見せているのは事実でしょう。
ずっしりとした歴史を感じる街と近代的なスタジアムのギャップを楽しめるのも、ライプツィヒの魅力ではないでしょうか。
スタジアム名:レッドブル・アレーナ(Red Bull Arena)
使用クラブ:RBライプツィヒ
収容人数:約47000人
主なアクセス:【トラム・バス】(※路線多数)Sportforum Süd(シュポルトフォルム・ズュート)駅から徒歩約10分
クラブまたはスタジアム公式サイト:https://rbleipzig.com/en/
フランクフルト/Frankfurt
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フランクフルトは欧州最大級のハブ空港、そして国内外からの電車が発着する鉄道駅を有することから、ドイツ随一の交通の要。
日本からの直行便も就航しているため、ドイツやヨーロッパに渡航する際に利用したことがある人もいるかもしれませんね。
サッカーと言う面では、このEURO2024の会場であるドイチュ・バンク・パルクは、元日本代表キャプテンのDF長谷部選手や現日本代表MF鎌田選手が所属するアイントラハト・フランクフルトのホームスタジアム。(※鎌田選手は2023−24シーズンに移籍)
特に2021−22シーズンではFCバルセロナなどを破ってUEFAヨーロッパリーグを制覇したことで、ヨーロッパ中に一大センセーションを巻き起こしました。
また日本代表が初優勝を果たした2011年女子ワールドカップ決勝が行われたのもこのスタジアムで、1925年の開場以来、様々な名勝負や大イベントの舞台となっています。
ピッチの真ん中上空にスクリーンがあるのも特徴で、どの席からでも観戦しやすいのも大きなメリットです。
スタジアム名:ドイチュ・バンク・パルク(Deutsche Bank Park)
使用クラブ:アイントラハト・フランクフルト
収容人数:約52000人
主なアクセス:【電車】S7・8・9号線Frankfurt am Main Stadion駅から徒歩約15分
クラブまたはスタジアム公式サイト:https://en.eintracht.de/
シュトゥットガルト/Stuttgart
VfBシュトゥットガルトも、日本代表で活躍するMF遠藤選手やDF伊藤選手が現在、過去には元日本代表FW岡崎選手やDF酒井高徳選手らも所属していた、日本人選手との縁が多いクラブ。(※遠藤選手は2023−24シーズンに移籍)
そのホームスタジアムであるメルセデス・ベンツ・アレーナは、1933年開場のドイツ指折りのベテランスタジアム。
オープンから第二次世界大戦終結の1945年までのスタジアム名が“Adolf-Hitler-Kampfbahn”(アドルフ・ヒトラー・アレーナ)であったことが、その長い歴史を物語っています。
1974年&2006年の2度のワールドカップと1988年のEURO以外にも、ボクシングや陸上など他競技でも頻繁に使われていましたが、2011年に陸上トラックを撤廃しサッカー専用スタジアムに。
さらにこのEUROに向けて2022年から2024年にかけても再度改修が行われ、1974年からの姿をそのまま残す一部のスタンドを完全リニューアルする他、エネルギー効率の良い照明や音響システムの設置、地元産の食材を使用するキッチンなど、より近代的&快適な“サスティナブルスタジアム”に生まれ変わるそうですよ。
スタジアム名:メルセデス・ベンツ・アレーナ(Mercedes-Benz Arena)
使用クラブ:VfBシュトゥットガルト
収容人数:約60000人
主なアクセス:【電車】S1号線Neckarpark(ネッカーパーク)駅から徒歩約15分
クラブまたはスタジアム公式サイト:https://www.vfb.de/en/
ミュンヘン/München
最後に登場するのは、泣く子も黙るドイツの絶対的王者バイエルン・ミュンヘンの本拠地アリアンツ・アレーナ。
アリアンツ・アレーナは11カ国で開催されたEURO2020(コロナの影響で2021年に延期)でも会場となっていたので、2大会連続のホストとなります。
個性的な外観は半透明の特殊フィルムでできており、通常はバイエルンのクラブカラーである赤にライトアップされますが、イベントによっては各国の国旗など別のデザインになることも。
最大収容人数75000人のメガスタジアムながらバイエルンの試合はほぼいつもクラブメンバーで完売になるため、スタジアムツアーならともかく実際にサッカー観戦となると、誰でも簡単にできる訳ではありません。
EURO2024ではグループステージ4試合&決勝トーナメント2試合が予定されており、組み合わせによってはチケット入手の難易度が下がるかも?
毎年の恒例行事であるオクトーバーフェストは9〜10月なのでEUROの時期とは重なっていませんが、アルプスに近く秋にはすでに寒さが厳しいミュンヘンは気候的には夏が街歩きに快適な時期。
名物の白ソーセージ&プレッツェルなどの郷土料理が楽しめる伝統的なレストランや開放的なビアホール、絶品スイーツがショーケースに並ぶカフェなど、食べ飲み歩きにも飽きることはないでしょう。
スタジアム名:アリアンツ・アレーナ(Allianz Arena)
使用クラブ:バイエルン・ミュンヘン
収容人数:約75000人
主なアクセス:【メトロ】U6号線Fröttmaning(フレットマニング)駅から徒歩約20分
クラブまたはスタジアム公式サイト:https://allianz-arena.com/jp (日本語!)
【2024年6月プチ追記】実際に観に行ってみた
さて最初にこの記事を書いたのはまだ2022年だったのですが、実際に2024年6月に筆者も観戦に行ってきました。
筆者が観戦したのは、シュトゥットガルトで行われたスロヴェニア代表vsデンマーク代表。
※この6日後、ハンブルクで行われたジョージア代表vsチェコ代表も観て来ました。
試合前日にふとUEFA公式サイトを覗いたらチケットがあったので、急遽オランダから夜行バスを使って0泊3日のやんちゃなスケジュールで足を運んできました。
詳細は別記事にまとめましたが、街全体の雰囲気・スタジアムへのアクセス・入場時のスムーズさ・スタジアムの雰囲気・試合そのものの面白さ・試合後の雰囲気など、全てが極上だと言えるくらい素晴らしい経験になりました。
UEFA公式サイトから購入する場合、チケット価格はカテゴリーやステージごとに明記されているため、例えば直前になったら高くor安くなるとか、人気の試合は高くなる、といったことは起きません。
チケットの多くは転売サイトやSNSでも出回っているようですが、UEFA公式サイトでも警告を出しているように、公式サイト以外からのチケットは入場拒否を含むあらゆるトラブルを招く恐れがあるので、手を出さないのが鉄則です。
筆者自身も試合前日にチケットを購入したように、特にヨーロッパ在住だったり旅行中だったりすればドイツまでの渡航時間も短いので、大会が始まってからでも観戦できるチャンスは充分あると言えるでしょう。
チケットはUEFA公式サイトやアプリから購入可能なので、頻繁にチェックすることをおすすめします!