古い建物を改装していることが多いオランダでは、しばしばネズミの出現が住民を悩ませます。
オランダ在住の筆者もその洗礼を受けた一人ですが、どのように対処したのでしょうか?
この記事では筆者自身の実体験を元に、対処法と予防策を解説します。
ネズミが出るのはオランダだけ?
実際のところネズミさんが出没するのはオランダに限らず、フランスにもイギリスにもドイツにもそれこそ日本にもお構いなしです。
しかし屋外や飲食店だけではなく、一般家庭にも容赦なく出入りするのがオランダを始め欧州各国にありがちな現象。
その原因の一つが良く言えば伝統的な、悪く言えばボロい家を改装して何十年ヘタしたら何百年と利用する欧州の住宅事情。
筆者は具体的にネズミさん対策としてではありませんでしたが、「あまり築年数が古い家だと例え改装して見た感じが綺麗でも、メンテナンス面で問題が出てくる」といった口コミを見て、家を決める際に『1960年代以降築』という条件でフィルターにかけ、契約した経緯があります。
1960年代でも半世紀以上前なので日本の感覚だとかなり年季が入っていますが、オランダでは1920年代とか1890年代とかの家も普通にゴロゴロ物件サイトに載っています。
なのでオランダ的には1960年代築というのはまだまだ若手でそれまで特に大きな不備もなかったのですが、ネズミさんの出現が筆者を奈落の底に突き落としました。
もう一点、ネズミさんは寒さが苦手という習性も関係があるのではないでしょうか。
一般的に寒い国や地域であればあるほど暖房を使い、外との気温差が大きくなります。
そうするとネズミさんにとっては寒さから逃れるための絶好の住処となるため、例えば暑い国で外も家の中も温度が変わらないような場所より家の中に出現しやすい環境になり得ると推測されます。
出現したネズミの種類・時期・経緯など
我が家に現れたのは、ハツカネズミ。
主にオランダなどで目撃されるネズミさんの中では最も小さい種類で、2cmの隙間があれば侵入できるという絶望的なやつらです。
他のメジャーなネズミさんはクマネズミとドブネズミで、いずれもサイズがハツカネズミより大きいタイプ。
ルックスではハツカが一番かわいい気もしますが、ネズミはネズミなので無理です。
ハムスターとかモルモットだと思って・・・とかも無理です。ほんと無理ですごめんなさい。
ヤツが現れたのは2月でした。
実はそれ以前にも一度一瞬だけ出現したことがあり、それも冬でした。
その時はファッ!!と驚いたものの特に何の対処もせず食べ物も出しっぱなしだったのに、その一瞬だけでまるで何もなかったかのように消え去ったのですが、2回目は違いました。
2回目は普通に筆者がいるダイニングルームでむしゃむしゃと香ばしい音がするのでもしや・・・と思ったら、もしやでした。
わ、ワイのクッキーが・・・(´;ω;`)
・・・クッキーを返せ!!!!!
とクリリンをフリーザに奪われた時の悟空のごとく復讐に燃える筆者ですが、残念ながら地球人なので超サイヤ人にはなれず、まんまと逃げられてしまいます。
そしてその日からおよそ1ヶ月に及ぶ筆者vsネズミの激しいバトルが始まったのです。
主なネズミ対策は2パターンに分かれる
ネズミさんに大好きなクッキーを食べられ、もはや良好な関係は築けないと悟った筆者はインターネットでネズミ対策を調べまくります。
いくつも方法が出てきますが、大きく分けると2つのタイプがあることが分かりました。
それらをまとめると、次のようになります。
①ネズミを追い出すタイプ
1つ目は直接ネズミさんを仕留めるのではなく、家から退散してもらう方法。
この方法だと逝去されたネズミさんの亡骸を自ら処分しなくて済む利点があります。
具体的にはネズミさんの嫌いな音・香り・くん煙剤(バルサンのような物)を使います。
ネズミさんは暗い所に生息するせいで視力が良くない一方、聴覚と嗅覚は非常に鋭いそう。
中でも超音波や天敵のネコなどの動物の鳴き声、ニオイではミントやワサビのような刺激的なものが苦手とされています。
くん煙タイプも、このネズミさんの嫌いなニオイ成分を使ったもの。
もう一つ、カゴの中にエサを入れておびき出し、入ったネズミさんを外に逃がすタイプの罠もあります。
②ネズミの命を奪うタイプ
大事なクッキーを食べられて逃がすなんて甘い、制裁を加えねば!!!
そんな怒りの炎が燃えたぎる人は、確実に仕留める方法を選びましょう。
漫画とかで出てくるようなバチン!と挟むタイプ・粘着シート・毒エサなどがこれに当たります。
こちらのタイプは、その場で効果が一目瞭然なのがメリット。
毒エサはご一家全滅も狙えるため効率良しです。
また人類最後の希望・ネコ氏は予防・追い出す・仕留めるの全てを助けてくれるもはや神。
神ネコを飼うには条件やお金、そして責任感が必要なので誰でもすぐにという訳にはいきませんが、ネズミ対策として良い方法の一つであることは間違いないでしょう。
筆者が実践したネズミ対策
筆者もすぐにでもネコ神にすがりたい思いでしたが、ペットNGの物件のため不可。
亡骸処分も自信がなかったので、主に①ネズミを追い出すタイプを試しました。
それを順に説明していきます。
侵入路を塞ぐ
最初のステップは、ネズミさんがこんにちはしてくる穴や隙間を埋めること。
これをしないと、仮に今出現しているネズミさんを撃退してもまたご親戚やお友達が入ってきてしまうので、非常に重要です。
この際使用するのは歯が頑丈なネズミさんでも噛み切れない、スチールウールが良いとされています。
ただ、筆者の場合とにかくすぐに対処したかったのでとりあえず家にあった厚紙やテープといった軟弱な素材で埋めたところ、少なくともそこからの侵入は防げてました。
たまたま運良く歯槽膿漏のネズミさんだったのかもしれませんが、あれこれ悩まずまずはある物で対処する!というのも一案かもしれません。
ちなみにスチールウールはオランダの場合Albert Heijnを始めとしたスーパーやblokkerなどの日用品店など、ちょっとした日用品が売っている所ならどこでも手に入ります。
が、「少なくともそこからの侵入は」と書いたのは、そうです結局違う所からガンガン侵入されてたんですね。
固定された家具の裏など手が届かない場所もあったため、家の中の全ての1〜2㎝の隙間を完璧に埋めるのは無理でした。無念。
食べ物をしまい整理整頓する
はい、これもネズミさんとご対面したら即やるべきことです。
クッキーもチーズもパンもドロップも、食べ物は全て完全に密閉できる容器・棚・冷蔵庫や冷凍庫に保管。
いやさすがにドロップは激マズだし平気じゃね?という気もしますが、とにかくしまってください!早く!!
食べ物だけではありません。
段ボールや古紙は巣の材料になるそうなので、これも撤去。
緊急断捨離宣言が発令したと思って、かじられたくない物・足跡を残されたくない物・💩まみれになりたくない物は出しっぱなしや置きっぱなしにせず、きちんと収納しましょう。
ちなみに引き出しタイプの収納は、隙間から普通に入られます。
筆者は最初引き出しタイプの収納に食べ物を入れ、やれやれと胸をなでおろしてたらガッツリ食べられてました。ビシッと蓋が閉まるタイプがベストです。
収納ボックスはblokker・HEMA・IKEA、ネットショップならbol.comなどで容易に購入することができます。
ミントの植木鉢やワサビ&唐辛子を部屋に置く+アロマを使う
続いて嗅覚にダメージを与えるための作戦に出ます。
まずはオランダではスーパーでも買えるミントの植木鉢!→踏み荒らされる(´・ω・`)
それではと、小さな容器にワサビと一番辛い品種のちぎった唐辛子!!→ひっくり返される(-_-)
むきーーー、ではユーカリやペパーミントのアロマで!!!→平然と素通りする_| ̄|○
はい、筆者の場合効果は見られませんでした。無念。
ただ『ネズミさんに少しずつストレスを与える・居心地の良くない環境を作る』という意図で、アロマは継続的に利用しました。
また、そもそもネズミさんと同居という人間にとってストレスや不安MAXの状態なので、必ずしもネズミ退治として効果がなくても自分自身のリフレッシュやリラックスのために使うだけでも有用だと思います。
エッセンシャルオイルは、よくセールもしているHolland&Barrettがおすすめ。
超音波や獣の鳴き声を24時間流す
嗅覚がダメなら聴覚。
ネズミさんがお好きでないという超音波は専用の器具を買ってもいいですが、You Tubeにうじゃうじゃアップされています。
日本語なら『ネズミが嫌いな音』、英語なら『mouse repellent』などで検索すると、どっさり出てくる出てくる。
また超音波以外にもネコ・鷹・ワシなどの動物の鳴き声系も。
ということで筆者の部屋からは常に超音波や謎の獣の鳴き声が聞こえる、怪しさ全開の雰囲気に(隣人すんません)
ところでネズミさんの習性として、『慣れ』があるそうです。
つまり嗅覚にしても聴覚にしてもその他の罠や嫌がらせを企てたとしても、一度退散してもまた戻ってきたり、最初は効いても後々効かなくなると。手強い。
結論から言うと、このYou Tubeで嫌いな音流しっぱなし作戦も、すぐにハッキリとした効果は感じられませんでした。
それでも『慣れ』という習性に逆らうように、同じ音をずっと流すのではなく異なる周波数の超音波と動物の鳴き声系を交互に流していました。
超音波系は音量MAXでも音が小さいのですが、そのまま動物の鳴き声系にいくとネズミではなく自分の腰が抜けるほどけたたましいので要注意です。
暖房を止める
ここまで手を尽くしても、出ていかなかったんですね。どんだけ好かれてるんだ、ワイ。
なので、最後の手段で暖房を切りました。
2月に出会ってから月日は流れ、もう春の香りがする3月になっていました。
とは言えオランダの3月はまだまだ寒い日も多く、セントラル・ヒーティングのぬくもりはこれ以上ない癒しの空間。
しかし。
その癒しが自分だけではなく、招かれざる客にも居心地の良さを与えているとしたら。
甘えを捨て、ヒートテックを着込み、耐え難きに耐えます。
そしてーーー
気づくと、彼らはいなくなっていました。
チェックアウトもせず、惜別の言葉も残さず、行き先も告げず・・・
それは長い闘いが終わり、筆者に本当の春が来たことを意味していました(ポエムやめろ
補足:バチン!タイプの罠も仕掛けてみる
処分ガーと言いつつ、blokkerに古典的なバネ式の罠が3つで€1という破格の値段で売っていたので、しれっと仕掛けてもいました。
大好物だというピーナッツバターを乗せて、毎朝起きる度に引っかかってたらどうしようとワクワクドキドキゾワゾワしたものです。
結果的にこれも役に立たず。
しかし同様にネズミさんで悩まされていた隣人は、よりオシャレな?ヘーゼルナッツで仕留めたそうで、ご丁寧に天に召されたネズミさんの写真まで見せてくれました。OMG。
処分できる勇気のある人は、ぜひ試してみましょう。
もう2度と会わないために・・・予防策は?
もう2度と会わないように・・・しかし現実的には、同じ家に住んでいる限り完全に縁を切るのはなかなか難しいかもしれません。
それでもパッと出てパッといなくなるのか、あるいはクッキーを、チーズを、家具を、そして心を荒らされるのかでメンタルのダメージは全く違います。
基本的な対策は上でも挙げた通り、
・侵入できるスペースを塞ぐ
・食べ物は密閉できる場所に保管
・整理整頓する
を徹底し、食べかすなどもきちんと掃除するなどして、エサとなり得る物を残さないよう清潔に保つことです。
実際のところ筆者の場合もその長いバトルが終わった後も、チラリと出てきたことはありました。
が、その時の壮絶な体験が活きたのか、上記のいずれかの対策ですぐ消え去りました。
それは、まるで永遠の春の訪れのようでした(だからポエムやめろ
まとめ
ここではオランダ在住の筆者が、アパートで実際に体験したネズミとの闘いを元にその対策をまとめました。
一つ言えるのは、効果がある対策はこれと断言するのは難しく、一長一短であることです。
特に『追い出す系』は、仕留める系と違って「気づいたらいなくなっている」というパターンなので、複数の対策を同時に行っていると結局どれが効いてどれが効いてなかったのか判別することは困難です。
そして筆者は何かに取り憑かれたかのように自力で退治しましたが、当然オランダにも専用の業者があります。
自分で手に負えない・もう無理・とにかく無理となったら、迷わずプロの手を借りましょう。
こちらは業者を検索できるサイトです。(オランダ語)
持ち家ではなく借り家なら、まずは大家さんに相談するのがベストです。
筆者自身も、ネズミとのバトル中は藁にもすがる思いでネットで情報収集をし、ありとあらゆる方法を試しました。
この記事が読んでくれたあなたにとって少しでも役立ち、ネズミのいない平和な日々を送れるよう心から願います。