世界中で新型コロナウィルスのワクチン接種が進む2021年。
オランダ在住でコロナに感染歴のある筆者も、2度のワクチン接種を行いました。
この記事ではオランダでのワクチン予約法から筆者が経験した副反応まで、その詳細をレポートします。
オランダでのワクチン基本情報
少々今更感はありますが、オランダ在住の30代の筆者がワクチンを接種した時の情報をシェアします。
ワクチンに関する情報は日々更新されており、オランダでも対象年齢や使用されるワクチンのタイプは他国のデータや治験結果も同時進行で確認・検証しながら進めています。
この記事は2021年8月時点での情報・状況を元に書いているので、今後も都度変更される可能性は充分あるでしょう。
そのため、あくまでも参考程度に読んでもらえれば幸いです。
まず、基本的な情報を見てみましょう。
オンラインor電話で予約可能
ワクチンに関する情報はオランダ政府公式サイトにまとめられ、移民大国らしく様々な言語に対応しています。
ワクチン接種は医療従事者などを除くと年代の高い順から割り当てられ、順番が来ると手紙が届きます。
予約は電話orオンラインででき、アレルギーの有無や過去の感染歴などの質問に答えた後、問題がなければその場で2回分の予約を取ります。(※Janssenは1回)
自宅の郵便番号を入力するor伝えると、近い場所をいくつか提案されるので、そこから選択する形です。
5歳以上が接種可能
はじめは18歳以上が対象でしたが、その後12〜17歳、さらに5〜11歳も接種が可能になっています。
オランダ本土でこの年代に接種されるのは、ほとんどがファイザー。
16歳以上であれば本人の意思のみで接種するか否かを決めることが可能で、16歳未満の場合は保護者の同意が必要となっています。
(参照:オランダ政府公式サイト)
感染から回復済みの人は原則1度の接種でOK
こちらは特に今後変更になる可能性が高い気がしますが、過去にコロナに感染して回復済みの人は、ワクチン接種は1回で良いとしています。
例外は免疫系の疾患を持つ人と80歳以上の人で、これらの人は感染歴があっても2回必要となっています。
(参照:RIVM)
ただし詳しくは後述しますが、過去に感染したことがあっても2回接種することもでき、感染歴のある筆者は2回打ちました。
職種や年齢に関わらず接種は任意
これも今後どうなるか不明な面もありますが、オランダでは全ての人がワクチン接種をするかどうかは任意であり、強制ではありません。
すでにイタリアやフランスでは医療従事者など特定の職種の人にワクチン接種が義務となり、反発も起きているようです。
またイベントやフェスなどの入場時にもワクチン接種証明or陰性証明or感染から回復証明のいずれかの提示でOKのため、少なくともオランダ国内ではワクチン接種が義務付けられる場面は、現状ではありません。
もっとも個人間でのワクチン接種派vs否定派の議論はいくらでもあるようですが・・・
抗体を得ていた筆者が接種を決めた理由
さてここからは、筆者の個人的な話や体験談がメインとなります。
筆者は2021年1月下旬にコロナに感染し、抗体を得ていることも2月の抗体検査で分かっていました。
実際にコロナの症状も軽症だったのですが、30代・持病なし・肥満でもないという素敵な3点セットに加えて抗体もできたなら、ワクチン打つ意味ある??と考えるのは決して不思議なことではないでしょう。
正直に言うと、筆者はワクチンの効果そのものより、『ワクチンを接種した方が旅行やイベントに行きやすくなる』という点に目がくらみ?、接種を決めました。
はい、筆者はこんなサイトを書いてるぐらいなので、年中無休でバカンスの事を考えている文句なしのバカンスバカなんです。
副反応ガー、数年後の影響ガー、とかより目の前のバカンスが大事な、欧州人や江戸っ子らしい気質?のため、ワクチン接種はデメリット<メリットと判断しました。
また前述の通り感染から回復済みの人は1回の接種でも良いのですが、2回打つことにしたのも、より確実に好きな場所に渡航するためです。
2021年7月にEUで導入されたいわゆるワクチンパスポート(正式名称EU Digital COVID Certificate)では、多くの国で「2度目の接種(Janssenは1度目)から14日経過」が有効条件となっており、例えオランダ政府が1回で良いとしても、他国に入国する際にはそれでは不充分の可能性が。
そうすると結局陰性証明が必要になるので、筆者的にはワクチン接種の意味があまりありません。
感染後に得た抗体に加えて2度のワクチンで免疫てんこ盛り、チャーシュー麺+チャーシュー丼+焼き餃子みたいなコテコテな状態ですが、それでバカンスに行けるなら副反応や胃もたれも受け入れるわ!と、覚悟を決めます。
ちなみに感染歴があるけど2回打って良いかどうかは事前に公式サイトの問い合わせ先にメールで確認し、問題なしとの返答を受けていました。
それでは続いて実際に行なったワクチン予約から接種時や接種後の様子を、順に解説していきます。
体験レポート①オンライン予約
30代の筆者は、2021年6月に1度目の接種が可能に。
ただ筆者の場合、すぐには予約しませんでした。
その理由は、
・感染から半年ほど待ちたかった
・8月までは国外に渡航する気がなかった
・6月下旬にプチ旅行に行く前に体調を崩したくなかった
現時点でワクチンの効果がどれくらい持続するかは、まだ不明です。
ただ永遠でないのは間違いなく、例えばワクチンパスポートでも今後「2度目の接種から○ヶ月以内」とかの条件が加わる可能性を考え、渡航する予定もないのに急いで接種する必要もないな、と考えました。【後日追記:EUは2度目の接種から9ヶ月を有効期限と定めました】
筆者は観光シーズンのピークが去った9月以降に旅するのが好きなので、7月に1度目→8月に2度目でいいや、と。
また6月下旬にハンガリーにEURO観戦に行くことも決定していたため、その直前に接種してもし体調を崩したら嫌だな、というのもありました。
そのため7月中旬に1度目の接種をすることにし、オンライン予約を試みます。
このオンライン予約をするにはDigiDという、オランダ政府管轄の個人ID管理システムが必要。
オランダ在住者はほぼ利用しているはずですが、なくても電話予約ができるので問題はないでしょう。
予約前の質問はワクチン接種が可能かどうかをチェックする重要な内容なので、焦らずにしっかり確認して進めます。
全ての質問に答え、接種が可能と判断されると、予約可能な3ヶ所の接種会場とそれぞれの接種日時(1回目&2回目)が提示されます。
もしここで接種可能な日時がなければ電話で問い合わるか、あるいは予約せずに終了し、後日再度質問からやり直しても良いでしょう。
都合の良い場所を選択し予約が完了すると、日時、場所、持ち物などが分かりやすく説明された確認メールが届きます。
こちらもオランダ語&英語です。ありがたや。
体験レポート②1度目接種
筆者が予約を取ったのは自宅から約10kmの接種会場でした。
もっと近い接種会場もあるのですが、タイミングが悪かったのか、それらの会場では予約可能な日時が少し後になっていたので、直近で接種できる会場を選択。
トラムなどでも行けますが、自転車で行くことに。
行きはともかく帰りに副反応でフラフラになってたら・・・とも多少は考えましたが、まあ大丈夫でしょと。
初めて行く場所だったので時間に余裕を持って出発した結果少し早めに着きましたが、混雑防止策で会場内には5分前にしか入れないので、外で時間を潰してから会場内に。
入り口で手指の殺菌、そしてスタッフにIDや記入済みの質問表などを準備しておくように伝えられます。
会場内に入ると受付があり、そこで別のスタッフがIDや質問表の最終的なチェック。
問題がなければそのまま接種となります。
筆者の担当医師はかなりベテランそうな年代の女性で、壁にはリラックスさせる目的かペンギンの写真が。
まんまとほっこりしている間にベテラン医師は秒速で注射、痛みはほぼありませんでした。
そのまま隣の待機所で15分待ち、何も問題がなければ帰宅できます。
筆者も本当に打ったのか疑いたくなるほど何の変化もなかったので、そのまま10kmのサイクリングをして帰宅。
数時間後、噂の腕の筋肉痛のような症状が現れます。
むしろこれで本当に打ったんだなと確信でき、安心しました(おばあちゃんドクター、疑ってすみません)。
そしてこれが唯一出た反応で、あとは何もなく、翌日には普通に仕事もしました。
翌日までは腕の痛みがありましたが、2日目以降はほぼ消滅。めでたしめでたし。
体験レポート③予約変更
当初、オランダではファイザーの場合1回目の接種→2回目の接種は5週間の間隔が空けられていました。
筆者が予約した際もきっかり5週間の間隔で2回目の接種が予定されていたのですが、この間に方針が変更、4週間の間隔で2回目が接種できるように。
ワクチンの数にも余裕があったため、希望者は予約を最大1週間早められることがメディアで伝えられました。
じゃあせっかくだし、と筆者も予約を前倒してみることに。
この変更はオンラインでは不可で、電話のみでした。
当たり前のようにテキパキと英語で対応してくれるお姉さん、筆者の予約状況や現在コロナのような症状がないかなど、一通りの質問をした後、希望通りの日時に予約を変更してくれました。
さらに接種会場も自宅から約5kmの場所と、半分の距離に!さすが!!\(^o^)/
電話を切って数十分後に再び予約確認メールが届くので、改めて場所や日時を確認できて安心です。ありがたやありがたや。
体験レポート④2度目接種
1回目より近い場所になり、当然のごとく自転車で向かいます。
2回目の会場の方がだだっ広く、多くの人が接種に訪れていましたが充分すぎるほどのスペースがありました。
大まかな流れは1回目と同様で、IDや質問表、そして1回目に打ったワクチンの種類(筆者の場合はファイザー)が確認され、案内に従って接種場所に向かいます。
こちらにはペンギンの写真はおらず、1回目の時よりは若めの女性が担当してくれました。
ペンギンがいなくてもパニックになることはなくあっという間に終了、やはり隣の巨大な待機所で15分待ちます。
この会場にはペンギンの代わりにレンブラントなどオランダの巨匠の絵が飾られており、一部を切り取って見ればミュージアムのような落ち着いた雰囲気。
1回目と同様、全く体調に変化はなかったので自転車で帰宅します。
事前に『1回目より2回目の方が副反応がきついらしいよ!!』というワクチン懐疑派の脅し?を鼻をほじりながら右から左に聞き流していたので、さてどんなもんかとワクワクドキドキ。
結果的に、1回目と同じく軽い腕の痛み以外は何も起きませんでした。
熱なし、頭痛なし、だるさなし。神に感謝。
ワクチン接種を終えた感想
世界中で無数の情報が飛び交う新型コロナウィルスのワクチン、すでに感染歴があり1回の接種でも良かった筆者は、自分自身の判断で2回接種しました。
まず一番に伝えたい感想として、予約変更時のオペレーターから接種会場の若いスタッフ、年配のドクターまでどこの場面・場所でもフレンドリーに英語で対応してくれ、改めてオランダの良さを実感しました。オランダさすが!!!\(^o^)/
実際に接種会場には筆者以外にも見た目で明らかに外国人と分かる人も多数来ていましたが、オランダ語ができない人に対してもスタッフ達が全く嫌な顔や迷惑そうな雰囲気を出さずに対等に接してくれたのは、本当に感謝しかありません。
そして個人的な接種後の副反応は非常にマイルドで、『案ずるより産むが易し』という言葉の通りといった感じでした(筆者は元々あまり案じてもいませんでいたが)。
もちろん副反応の有無や強弱は人それぞれ千差万別なので、だからと言って他の人にどうのこうのとゴリ押ししたりはしませんが、コロナに感染歴があっても1回目も2回目もほぼ副反応がなかったのは事実です。
2回目の接種を終え、自宅に戻った筆者が真っ先に行なったのは、9月にお隣ベルギーで行われるW杯予選ベルギーvsチェコのチケットを購入したことでした。
【後日追記:オランダ→ベルギーにバスで入国時にはワクチンパスポートの確認はありませんでしたが、スタジアム入場時にチェックされ、問題なく入場&観戦できました。】
あらゆるデータから、ワクチンが感染を100%防ぐものではないのは明らかです。
それでも10%でも5%でも減少させる効果があるなら意味があると思いますし、ロックダウンで経済の息を完全に止めるよりワクチン接種証明や陰性証明の提示を条件に観光やイベントを再開させる方がベターだと個人的には思います。
ということで筆者も、扉が開かれているうちは遠慮なくバカンスやサッカー観戦に行き、微力でも現地経済に貢献していくつもりです。