円安&インフレでも行きやすい?!欧州旅行で今おすすめの8カ国

ヨーロッパ
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2022年、ロシアのウクライナ侵攻を機に歴史的なインフレと円安が続いています。
それでもようやくコロナの規制がほぼなくなった今、欧州旅行に行きたい人は多いのではないでしょうか。
この記事では欧州在住の筆者が、2022年秋時点で比較的行きやすい欧州の国をまとめました。

記録的な円安×インフレでもまだマシなのはどこ?!

いきなり身も蓋もないことを書いてしまうと、2022年秋の時点で円安の影響もインフレの影響も全く受けていない国はヨーロッパにひとつもないでしょう。

ヨーロッパの多くの国が使用している通貨であるユーロ(€)は、2022年10月末時点で€1=約¥147

1年前の同時期は約¥132だったため、1年で10%以上円安が進んだことになります。

さらにヨーロッパ各国のインフレは日本より遥かに深刻で、日本よりインフレ率が低い国もゼロ

もうひとつおまけに航空券の価格も上昇しているため、もしとにかくどこでもいいから海外旅行に行きたいなら、日本から近くてインフレ率も欧州ほど強烈ではないアジア各国の方がタイミングとしては賢明でしょう。

しかしそれでもやっぱりヨーロッパに行きたいの!!と、鼻息を抑えられない人も中にはいるのではないでしょうか。

そこで以下の3つのポイントから、2022年秋の時点で比較的日本への向かい風が弱い?国を、欧州在住の筆者が独断で選択してみました:

・円安がマシ・・・前述の通りユーロは1年前との比較で約10%も円安が進みましたが、ヨーロッパにはユーロを使っていない国も多数あり、中には円安の傾向がユーロほど見られていない国もあります。
(※2022年10月末時点、以下同様)

・インフレ率がマシ・・・同じく繰り返しのようになりますが、インフレ率は日本より欧州の方が相対的にずっと高いです。が、その中ではまだ低い水準に留まっている国も。

・物価がそもそも安い・・・欧州と一言で言っても、東西南北で物価は何倍も異なります。元々の物価が安い国であれば、円安やインフレがガンガン進んでいてもあまり影響を感じないかも?

ここで注意して頂きたいのは、為替やインフレ率は常に変動しているため、数カ月後あるいは数週間後にはデータがガラッと変わってしまっている可能性もあります。

それでもこれらの国が訪れるのに値する魅力的な国であることには変わりないので、ぜひ次の欧州旅行の際の参考にしてもらえればと思います。

また、この激しい向かい風の中でも欧州を目指す一途なあなたを想定し(勝手に)、こちらも筆者の完全な独断ながら“ヨーロッパっぽさ”も評価しました(勝手に)。

これは街並みや文化などからその国で『ヨーロッパらしさ』をどの程度感じるかを5段階で評価したもので(勝手に)、星が多いほどザ・ヨーロッパ!という雰囲気が強くなります。

それでは続いて、メジャーな観光大国から謎めいたマイナーな国まで、個性豊かな8カ国を順に解説していきます!

円安がマシな国【2022年10月末情報】

ハンガリー

最初に登場するのは、ヨーロッパ地図のちょうど真ん中辺りに位置するハンガリー。

その首都ブダペストは欧州でも屈指の美しい景観から“ドナウの真珠”とのニックネームを持ち、日本と同様に春夏秋冬それぞれの異なる顔を見せてくれます。

しかしながらこの絶好の地理のために、ハンガリーはオスマン帝国やローマ帝国など東から南から様々な大国に侵入されてきた歴史を持ち、その名残は今尚随所で感じることができます。

欧州随一の温泉大国と知られるハンガリーではオスマン帝国時代の建築をそのまま残した伝統的な温泉施設もあり、地元市民と観光客の憩いの場に。

ハンガリー料理で欠かせないパプリカも16世紀にオスマン帝国からもたらされたとされ、真っ赤なパプリカ色に染まる香辛料が効いた料理はフランス料理やイタリア料理などの日本でもおなじみの典型的な“西洋料理”とは少し異なる、エキゾチック系ヨーロッパ料理といった感じ。

ハンガリーと言えばパプリカ、パプリカと言えばハンガリー photo by Maki

ハンガリーは2004年にEUに加盟後も自国通貨フォリントを使用し続けており、EU基準ではかなり物価が安い上、フォリント⇔円は1年前とほぼ同レートのままです。

通貨:フォリント/HUF 1フォリント=¥0.36(2021年同時期:1フォリント=¥0.37)

インフレ率:20.1%(2022年9月・データ参照:TRADING ECONOMICS、以下同様)

ヨーロッパっぽさ:★★★★

ポーランド

ハンガリーと同様にユーロを使用していない東欧ポーランドも、西欧諸国に比べると宿泊施設・レストラン・交通機関など、旅行時にかかる費用は全体的にお手頃

ポーランドを訪れる際、第二次世界大戦がこの国に落とした影を誰もが考えることになるでしょう。

首都ワルシャワを始め、多くの都市は鮮やかなパステルカラーの建造物が建ち並ぶ、とてもフォトジェニックな景観

しかしその明るい色とりどりの壁は、街の大部分が大戦によりことごとく破壊され、戦後に再建された建物であることを無言で示しています。

1979年に世界遺産に登録された南部のアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所も、その悲劇を繰り返してはいけないことを深く訴えかけてくる場所。

また、ポーランドは欧州でも特にカトリック教徒の割合が高い国のため、美しい大小の教会がどこの街にも点在している他、クリスマスやイースターは特に重要なイベント。

冬の寒さを忘れさせてくれるおとぎの国のようにロマンチックなクリスマスマーケットや、この時期のみに振る舞われる伝統的な料理も見どころのひとつです。

通貨:ズウォティ/PLN 1ズウォティ=¥31.13(2021年同時期:1ズウォティ=¥28.66)

インフレ率:17.9%(2022年10月)

ヨーロッパっぽさ:★★★★★

トルコ

 
 
 
 
 
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今円安ガーと大騒ぎしている日本人に、まあ落ち着いてチャイでも飲みなよと穏やかに誘ってくれそうなのが、トルコ人。

ここ数年のトルコリラの大暴落っぷりは今の日本との比ではなく、5年前の2017年10月末に1トルコリラ=約¥30・約€0.22だったのが、2022年には約¥8・約€0.05と、いずれもほぼ1/4に。

さらに半分ヨーロッパ・半分アジアのトルコは欧州基準からすると物価も安いので、これは迷わず飛んでイスタンブールに行くしかないな!\(^o^)/

・・・で、インフレ率は??

えーーー、まさかの83.45%だそうで。。。

一体どこのジンバブエですかというレベルの数字ですが、それでも『ヨーロッパ旅行』という感覚で行けば、ホテルもレストランもカフェも観光スポットの入場料も、決して高くはありません。

何よりもアジアともヨーロッパとも違う、トルコならではの文化・歴史・建築・グルメ・自然・アートetc.は、どんな目的の旅人をも満足させてくれる実に多彩な魅力を持っています。

今後の為替やインフレ率の行方は分かりませんが、香ばしいケバブ、息を呑むようなイスラム建築、癒やしのハマム、圧巻のカッパドキア、伸びるアイスクリーム達は、いつでもあなたを温かく迎えてくれることでしょう。

通貨:トルコリラ/TRY 1トルコリラ=¥7.96(2021年同時期:1トルコリラ=¥11.86)

インフレ率:83.45%(2022年9月)

ヨーロッパっぽさ:★★

インフレ率がマシな国【2022年10月情報】

スイス

 
 
 
 
 
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エキゾチックなイスタンブールからさらに西に飛んで、永遠の中立国スイスにやってきました。

アルプスの少女ハイジでおなじみのスイスは、四季折々の雄大な自然美が最大の特徴で、ハイキングや湖水浴、紅葉狩りにスキーなどなどアルプスのアクティビティに365日休みはありません。

あらかじめ書いておくと、このリストにスイスを入れるのは『ダウト!』と言われるかもしれません。

スイスは世界でも最も物価の高い国のひとつの上、スイスフラン⇔円もユーロ以上に円安が爆速で進んでいます

それでも2022年9月のデータによると、このスイスがヨーロッパでは最もインフレ率が低いそう。

スイスの物価の高さはいきなり起きた訳ではなく、そもそも物価の安さを期待して行く国でもないはずですから、欧州ならではの上質な旅をしたいなら良い候補と言えるでしょう。

例えば治安の良さ、整然とした街並み、電車もかなり時間に正確で、水道水の質も世界トップクラスとか。

特にこの2年コロナで海外旅行を我慢していた人は、とっておきのご褒美旅行にいかがでしょうか:)

通貨:スイスフラン/CHF 1スイスフラン=¥148.48(2021年同時期:¥124.56)

インフレ率:3.3%(2022年9月)

ヨーロッパっぽさ:★★★★★

フランス

そのスイスのお隣フランスも、インフレ率がスイス、そしてリヒテンシュタインに次いで低い国。

いやリヒテンシュタインはスルーかよと言われそうですが、まあ行きたいならどうぞ行ってください(ひどい投げやりっぷり)

フランスは欧州旅行の王道と言える行き先で、初めての人もリピーターの人も、弾丸旅行でも長期旅行でも楽しみ方は自由自在。

まずは定番の花の都パリでカフェ巡りやアート鑑賞、そこから少し足を伸ばしてヴェルサイユ宮殿にディズニーランド、モンサンミッシェルへ行くのも良いでしょう。

車が運転できるなら、気ままに田園風景を楽しみながら地方ごとのワインやチーズに舌鼓を打つドライブの旅も、華やかで賑やかな大都会パリとは対照的な一面を見せてくれておすすめ。

観光大国だけに宿泊施設も飲食店も実に豊富なため、ラグジュアリーな旅からバックパッカー旅行まで、予算や目的に合わせて泊・食・飲・遊のオプションを自由に選択できるのもメリットと言えるでしょう。

通貨:ユーロ/EUR 1ユーロ=¥147.04(2021年同時期:1ユーロ=¥132.5)

インフレ率:6.2%(2022年10月)

ヨーロッパっぽさ:★★★★★

元々の物価が安い国

ブルガリア

いやあインフレ率が低いっつってもマクドナルドに¥2000とかありえんでしょ😩・・・とぼやいてるあなたのために、再び東欧に戻りましょう。

ブルガリアはEU加盟国で最も物価が安い国と言われ、激しいインフレに襲われている今でも、西欧よりずっと安く旅できる国。

約500年に渡りオスマン帝国の支配下にあったこと、今もムスリムの割合が10%を超えること、そしてEUで唯一キリル文字を使用している国であることなどから、フランス・スペイン・イタリアなど欧州の特に人気の各国に比べると、“中東や“ロシア”の香りを感じやすい雰囲気です。

首都ソフィアの異国情緒溢れる?街並み photo by Maki

と書くとキリル文字の世界で迷子になってめまいがしそう・・・と不安になるかもしれませんが、意外にもブルガリアはそのフランスやらスペインやらイタリアやらより英語のレベルが高いのだとか。
(データ参照:EF)

特に2007年にEU加盟以降は人の流れが活発になり、首都ソフィア、黒海リゾートのヴァルナやブルガスなどの観光客が多いエリアなら、キリル文字にきりきり舞いにさせられる心配はあまりないでしょう。

ブルガリアはヨーグルトがあまりにも有名のため、それ以外に何があるの?と思うかもしれませんが、前述の通りオスマン帝国の多大な影響を受けたため、世界三大料理の1つであるそのトルコ料理との共通点も多い豊かな食文化を誇ります。

新鮮な肉類や乳製品、ハーブを中心にしたブルガリア料理は、お手軽なストリートフードから伝統的なレストランまで、あらゆる場所で旅人の目と舌を満足させてくれるでしょう。

通貨:レフ/BGN 1レフ=¥75.17(2021年同時期:1レフ=¥67.64)

インフレ率:18.7%(2022年9月)

ヨーロッパっぽさ:★★★

ルーマニア

そのブルガリアと同じ2007年にEUの仲間入りを果たした隣国ルーマニアもユーロを導入しておらず、ブルガリアと仲良く物価の安さを競い合っています。

同じく黒海に面した東欧の国ではあるものの、何もかもがブルガリアとそっくりかと言うと、実際はかなり違うことに気づくはず。

まずみんなを震撼させていたキリル文字の姿は消え、それだけではなく東欧各国がほぼスラヴ語派(&もっと訳のわからないハンガリー語)で占められている中、ルーマニア語はフランス語やスペイン語の姉妹とも言えるロマンス語派

いやフランス語もスペイン語も分からんよという人でも、スペルを見るとスラヴ語派(&もっと訳のわからないハンガリー語)よりはまだ仲良くなれそうな気がするかも?

そしてルーマニアも一時オスマン帝国の支配下にあったものの、隣国ハンガリー領になった時代が長かったため、『トルコ度』はブルガリアより低め。

現代の宗教の割合も、ルーマニア正教会が8割を超えるのを始め9割以上がキリスト教の一方でイスラム教は0.3%と少なくなっており、それは街並みからも見て取れるでしょう。

そのため全体的には正教会を中心としたヨーロッパらしい風景が広がりますが、その中で強烈なアクセントになっているのが、共産主義時代の建造物

W杯やクリスマスマーケットより存在感のある国民の館(2022年11月) photo by Maki

1989年とかなり近代まで続いたチャウシェスク独裁政権下に建てられた無機質で独特な建造物の塊は、ルーマニアのもう一つの顔を見せています。

通貨:レウ/RON 1レウ=¥29.95(2021年同時期:1レウ=¥26.77)

インフレ率:15.9%(2022年9月)

ヨーロッパっぽさ:★★★★

アルバニア

最後に紹介するのは、ヨーロッパ屈指の謎キャラでおなじみの?アルバニアさん。

アルバニアも東ヨーロッパに位置する国の宿命であるかのようにオスマン帝国に支配され、そのためご飯が美味しくて・・・とそこまではまあ良いとして、何やらおかしなことになるのは戦後のこと。

1946年にホッジャによる独裁政権が始まると、当時の隣国ユーゴスラビアやソ連と次々と国交断絶し中国に接近した結果、1960年代には一切の宗教活動を禁じて『無神国家』を宣言。

その後中国とも対立、東側からも西側からも孤立する鎖国状態になり、この状態がホッジャが死去する1980年代まで続くことに。

冷戦終結後の1992年に民主化に舵を切るものの、今度は国民の大半が参加していたネズミ講が破綻し、無一文になった市民が怒りの大暴動を起こしたのは1997年。

と、割と最近までエキセントリックなことをやっていたために、外国人が旅行でアルバニアを普通に訪れるようになったのは、ほぼ21世紀になってからと言っていいでしょう。

西とも東とも違うシュールな街並み?の首都ティラナ photo by Maki

とは言え現在はEU加盟候補国となり、大手LCCのRyan AirやWizz Airも欧州各地と直行便をバンバン結んでいることから、マクドナルドもスターバックスもない純朴な?アルバニアが見れるのも今のうちだけかも?!

通貨:レク/ALL 1レク=¥1.24(2021年同時期:1レク=¥1.06)

インフレ率:8.1%

ヨーロッパっぽさ:★★

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