ポルトガルの首都リスボンからさらに南西に約1000km。
モロッコの西の大西洋に浮かぶマデイラ諸島はその暖かい気候、色鮮やかに咲き乱れる花々、雄大な自然などから『大西洋の真珠』とも呼ばれる、ヨーロッパでも有数の人気リゾートアイランドです。
そんなマデイラ島に旅行に行く際にぜひ知っておきたい、気候とベストシーズンをまとめました。
“常春”で穏やかな気候だが冬は雨が多い
大西洋のなんちゃらというニックネームがあるマデイラ諸島ですが、気候は地中海性気候に分類されています。
温暖化の影響もあり近年では本場の地中海の国々は真夏になるとしばしば40℃近い猛暑に襲われることも珍しくないですが、マデイラ諸島は大西洋を流れるメキシコ湾流とカナリア海流のおかげで、夏でも気温・水温が極端に上がりにくいのが特徴です。
また奄美大島を少し大きくしたぐらいのサイズの島ながら、マデイラ島の中央に山脈が走っているため地域によって気候の差も見られます。
ざっくり言うと北部は雨が多く涼しい、南部は雨が少なく暖かいのが特徴なので、宿泊エリアを選ぶ際には頭に入れておくと良いでしょう。
またマデイラの最高峰のピコ・ルイヴォ山(Pico Ruivo)は1861mで冬には雪も降るため、ハイキングの際には季節を問わず防寒具は必須です。
マデイラ諸島の南にあるスペイン・カナリア諸島をアイドル性気候と呼ぶのに対し(注:筆者がひとりで呼んでるだけです)、マデイラ諸島がそう呼ばれないのは雨が多いからです。
カナリア諸島が年間200㎜前後の年間降水量であるのに対し、マデイラ島南部のフンシャル(Funchal)は年間約550㎜、北西部のポルト・モニス(Porto Moniz)は年間約1500㎜。
東京の年間降水量が1700㎜前後なのでそれと比較すると多くはないですが、フンシャルでも雨が多い10月〜4月では2、3日に1度は雨が降る確率なので、この時期に旅行に行く際は毎日朝から日暮れまで澄み渡る青い晴天というのは期待しない方が良いでしょう。
マデイラ諸島最大の都市・フンシャルの気候
マデイラ諸島最大の都市が、かのクリスティアーノ・ロナウド選手の故郷としても知られるフンシャルです。
宿泊施設や飲食店の数も圧倒的に多く、滞在するのに一番人気の街でもあるフンシャルの気候をチェックしてみましょう。
データはサイトによりいくらかの差異があるため、参考程度にしてくださいね。
データ参考:Holiday Weather
ご覧の通り、平均最高気温が最も低い1月は18℃、最も高い8月でも25℃と、7℃しか変わりません。
1日の中でも気温差が小さいので、朝から晩まで出かける時でもずっと同じ服装でいられる日が多いのも特徴です。
基本的にどの季節に旅行する場合でも日本の春や秋を想定した服装で、山間部にも足を伸ばす場合はプラス長袖1枚、という準備で良いでしょう。
この安定した暖かさが、夏は太陽が降り注ぐ明るいバカンス、冬は自国の寒さから逃れる避寒地として、ヨーロッパ各地から1年中絶え間なく観光客を惹き寄せる要因の一つな訳ですね。
基本的に夏より冬に雨が多いのはマデイラ諸島のどこでも同じですが、前述の通り北部は南部より2〜3倍も降水量が多いので、雨具は必ず持っていきましょう。
目的別・マデイラ島のベストシーズン
海・山・街・グルメなど見どころ多彩なマデイラ島だけに、マデイラ島を訪れる目的は人それぞれ。
続いて目的によって異なる、マデイラ島のベストシーズンをチェックしてみましょう。
ハイキングや自然散策を楽しみたい
雨が多くなく暑さも厳しくない5月・6月・9月がおすすめです。
山へのハイキングなら夏でも心地よい気候ですが、観光のピークシーズンで混雑は避けられないため、その前後の春と秋が良いでしょう。
特に5月〜6月はマデイラの雨季明けなので、緑がとても美しい時期です。
ビーチで泳ぎたい
8月と9月が海水浴に最も適しています。
マデイラ島は火山島であることから天然の砂浜がなく、また海流の影響で水温も低めなので、ビーチで泳げる時期と場所は意外と限られています。
やはり8月はハイシーズンど真ん中なので、混雑度を考慮すると9月がベストでしょう。
街歩きやグルメを満喫したい
気温的には常春と言われるだけあり1年を通して快適ですが、降水量と混雑度を加味すると4月〜6月、ピークシーズン明けの9月が良いでしょう。
ただしこの年間を通して大きな差のない特異な気候のおかげもあり、ヨーロッパ大陸の各地より春夏秋冬の差は小さく、月による大きなプラスマイナスがないと言えます。
特にミュージアムやカフェ巡りなど屋内のスポットを周る際は天候も関係ないので、あまり時期は気にしなくていいでしょう。
季節ごとの旬の花やフルーツに関しての情報は、こちらでチェックできます(英語)。
混雑を避けてのんびり観光したい
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マデイラには極端なオフシーズンがなく、一般的に南欧各地のオフシーズンである冬期も避寒目的で北欧や英国から多数の観光客が訪れます。
それでもなるべく混雑を避けたければ、11月〜12月上旬、3月はおおむねゆっくりと観光がしやすい時期。
逆に最も忙しいのがクリスマスシーズンと夏のバカンスシーズンなので春と秋も混雑度としては並程度ですが、3月から4月の移動祝日であるイースター、そしてその後4月から5月に約4週間開催されるフラワーフェスティバルの時期は非常に混みます。
なるべく安く旅行したい
こちらも同じく、避寒客が多いクリスマス〜欧州各地が最も寒い2月辺りまでを除く11月から3月は、全体的にホテルも航空券も安めです。
しかし繰り返しになりますが、欧州の他のビーチリゾートのような季節ごとの大きな料金の違いはあまり期待しないほうがいいでしょう。
クリスマスに加えてイースターとフラワーフェスティバル、そして7月8月が最も高騰する時期なので、最低この時期は外すか、あるいはなるべく早めに予約するのが少しでも安く旅行する手段です。
まとめ
常春と呼ばれる温暖な気候が特徴のマデイラ諸島には、欧州大陸のビーチリゾートのようなハッキリとしたオフシーズンはありません。
ヨーロッパ各地が暗くて寒い日々を過ごす真冬ですら、平均気温16℃&毎日平均5〜6時間の日照時間が望めます。
その代わり特に北部と山間部の冬は雨の確率が高くなるので、なるべく青空のマデイラを楽しみたければ5月から9月がベストです。
混雑やホテル等の価格高騰を避けたければ、ピークシーズンを外した5月・6月・9月を選びましょう。
季節により異なる魅力溢れるマデイラにハズレの時期はないので、旅の予算や目的によって最適の日程を組んでみてくださいね。