新型コロナウィルスの影響が全世界に拡がっている2020年。
特に海外旅行や渡航に大きな制限がある中、オランダ在住の筆者が11月、日本に一時帰国してみました。
今年1月〜2月のコロナ直前の時と同じ航空会社を利用しての一時帰国、その様子をレポートします。【※2020年11月情報】
渡航時のオランダと日本の状況は?
筆者が諸事情により一時帰国を検討し始めた2020年10月下旬のオランダは、文字通り最悪の状況でした。
10月30日には1日の新規感染者数が1万1119人を記録。
オランダの人口は約1700万人なので、日本の人口に換算すると1日8万人以上という次元が違う数字となります。
いやそんな状況で一時帰国なんて検討すんなやと思われるかもしれませんが、まあそこは事情があったということでご勘弁を。
オランダはすでに第二波が加速していた10月中旬に「部分的ロックダウン」(partial lockdown)と呼ばれる措置を取っていましたがそれでも全く歯止めがかからなかったため、11月3日にさらに規制を強化。
ここで国内海外旅行についても避けるように言及しました。
ドキッ。
こちらは政府の発表を日本語訳でまとめた在オランダ日本大使館からのメールの一部ですが、一見『要請(お願いしますねー🤗)』なのか『禁止(破ったら罰金😡)』なのか2度読みしてしまう強い文面。
結果的にこれは禁止ではなく要請だったわけですが、さすがにこの発表を受けて一時帰国を再考しました。
それでも結局渡航するのに充分な理由があると自分で判断し、決行することにします。
規制強化前後から目に見えて数字が落ち着き始めたのも、良い兆候でした(それでも1日5000人前後でしたが・・・)
一方で日本も、オランダより少し遅いタイミングで第3波が。
11月以降徐々に拡大し、筆者が一時帰国を決めた頃には新規感染者数が1日1000人以上に(人口比だとオランダや欧州各国の数十分の一程ですが)
出発まであまり日のない航空券を取ったため、日本の状況もこまめにチェックしながら準備をしていきました。
利用した航空会社・ルート・チケットの予約方法
今回筆者が利用したのは、ターキッシュエアラインズのアムステルダム発イスタンブール経由羽田行きのフライト。
こんなしっちゃかめっちゃかな状況でもKLMの直行便が成田・関西に毎週発着しているのですが、それを差し置いて経由便を選んだのには理由が。
実は筆者は今年(2020年)の1月上旬から2月下旬にも同じ航空会社を使ってオランダから日本に一時帰国してたんですね。
往路は全くコロナが世界に影響を及ぼしていない頃、復路は日本では一日中ニュースで取り上げられていた一方、オランダではまだ感染者ゼロの頃(注:その後の調査で、実際にはすでに感染者はいたとの見解)
それから約9ヶ月で、世界は激変してしまいました。
その変化を、同じ航空会社で再び帰国することで自分の目で見たいという気持ちがあったのです。
一つ変更したのは、フライトの予約方法。
前回はMytripという旅行代理店から予約しましたが、今回はターキッシュエアラインズの公式サイトから直接予約しました。
その理由として、
①コロナによる突然の破産を警戒
②前回利用時のトラブル
①に関しては、可能性は低いとはいえゼロではないので一応考慮しました。
航空会社ももちろん破産の可能性もありますが、旅行代理店を通すことで旅行代理店の破産の可能性もプラスされます。
②は、往路と復路の成田→イスタンブールまでは全く問題なかったのですが、乗り継ぎのイスタンブール空港のカウンターで『アムステルダム行きのフライトの予約がされてない』、と。
2時間ぐらい3つのカウンターをたらい回しになった末に結局乗れたのですが、このご時世にそういう余計なドタバタ劇は避けたいですよね。
ということで11月某日、数日後に出発するターキッシュエアラインズのフライトを公式サイトから予約完了。
ちなみに曜日や時期、路線(羽田or成田)が違うので単純比較はできませんが、料金はコロナ前とほぼ同じでした。
搭乗までに行なった事前準備
通常の一時帰国であればフライトの予約をすれば後は適当にお土産を買って部屋の掃除をして荷造りをすればOKですが、現在は状況が状況だけにもう少しやることがありました。
①帰国後14日間待機用のホテルの予約
オランダは日本帰国後の14日間待機がガッツリ適用される国のため、空港付近のホテルの予約をしました。
待機は自宅でも可能ですが、筆者の場合家族に配慮してホテルを選択。
海外から帰国後の待機のための滞在が可能か直接ホテルに問い合わせ、諸条件を確認した上で予約。
②オランダ・トルコ・日本の最新情報収集
航空券を購入した後も出発地であるオランダ・経由地トルコ・そして目的地日本の情報を継続的にチェックしました。
特に、渡航情報や各空港やフライトにおける特別ルールなど。
最新かつ確実に信頼できる情報を得るために、個人ブログなどではなく政府や空港、航空会社の公式サイトのみを利用。
③健康申告書をダウンロード
オランダ政府公式サイトによるとオランダから発着する全ての旅行客は健康申告書(health certificate)が必要とのこと。
日本大使館のサイトでは航空会社等から配布されるともありましたが、両サイトから英語版がダウンロードできるので、念のため出発前に入手しておきました。
④イスタンブール空港で日本人が搭乗拒否?!
以上の準備を終えて、もはややる事はないと余裕をぶっこいていた頃、トルコの日本大使館のサイトに『日本人がイスタンブール空港で搭乗拒否される事案が多発』との怪情報が😱
ニュアンス的にトルコと日本以外の第三国に向かう際の出来事と思われましたが、それ以上の詳細が掴めなかったので同サイトが推奨するように航空会社にメールで問い合わせました。
渡航国の領事館またはトルコ外務省に問い合わせて、という返信が来たのは出発当日だったため、もう遅いと思い幸運を祈って問い合わせは行わず。
⑤オンラインチェックイン
空港での手間を省くため、搭乗時間の24時間前から可能だったチェックインをオンラインで完了。
搭乗券の印刷は不要で、スマホにダウンロードすればOKでした。
出発時:アムステルダム空港
筆者が一時帰国をした2020年11月中旬の時点で、『オランダからターキッシュエアラインズを利用してイスタンブール経由で日本に渡航』という条件では事前の陰性証明は不要でした。
そのため通常の渡航時に追加で用意したのは、マスクと健康申告書のみ。
これはもちろん航空会社・利用空港・出発地or到着地によって異なるので、個々で確認する必要があります。
空港には搭乗の約2時間半前に到着。
いつもはびっしりと掲示される出発フライト情報も、スカスカ・・・。
荷物を預けるためにカウンターに向かうも、こちらもほとんど行列はなく3分と待たず自分の番に。
お姉さんは筆者からパスポートを受け取り手際よく手続きを進めていると、不意に「陰性証明は?」と。
ない!と答えると隣のお姉さんBと何やらゴニョゴニョ。
ドキッ。
-JAPANにJAPANESEが行く時陰性証明は要るの?
-いやーよくわかんないわね、HAHAHA!
-あたしもわかんないけど大丈夫じゃない?HAHAHA!
こんな会話(推定)が行われた後、幸い何か聞かれることもなく無事手続き完了。
まあ考えてみれば国籍・目的地・渡航目的などによって陰性証明の必要有無は異なるので、スタッフが全て把握している訳はないですよね。
荷物を預け身軽になったところで、手荷物検査&出国手続きへ。
またしても切ないほどガラッガラの手荷物検査前のエリア。
コロナ対策としてアクリル?のパーテーションが設置されていましたが、全く必要ないほど人が少ないのが虚しさを助長させます。。。
とにかく人がいないので手荷物検査も稼働しているのは1レーンのみ、それでもあっけなくスムーズに終了。
そして今回の一時帰国で一番気にしていた出国手続きへ。
なにせ政府から『海外渡航を避けるよう強く要請』という指令が出ていたので、色々ツッコまれた場合も想定して渾身の言い訳説明を頭の中に用意して挑みました。
なかなかイケメンの審査官にパスポートとオランダの滞在許可証を提示。
ドキドキ。
3秒後、無言で出国スタンプを押し、無言で手渡される。
・・・オランダ、相変わらずテキトーだな!!(;´Д`)
まあこれは審査官によって違いはあるでしょうから、みんながみんなここまで秒殺でスルーさせてくれるとは限らないでしょう。
とにもかくにも想像の遥か上を行く余裕しゃくしゃくの出国手続きを終えたので、あとはフライトを待つばかり。
時間に余裕があったのでラウンジで待機することに。
アムステルダムの空港ラウンジは元々フードメニューがショボいので(失礼)、コロナでグレードダウンしていても何の失望もしませんでした。
むしろプチロックダウンで国中の飲食店がクローズしている中、こうやってオープンしているだけでも大感謝。
サラダ、パン、前菜だけでなくスライスされたチーズやハムすら1枚1枚ラップされるという手の込んだコロナ対策。
デカいオランダ人がゴツい手でちまちまハムやチーズを1枚ずつラップでくるんでた姿を想像すると、心を揺さぶられますね(;_;)
フライト①【アムステルダム→イスタンブール】
ハムとチーズでエモくなっている間に搭乗時間に。
搭乗時には使い捨てマスクと消毒用ウェットティッシュ(後の長いフライトは+ハンドサニタイザー)がセットになったキットがもらえます。
ターキッシュエアラインズは通常期だとスリッパやアイマスクが入ったトラベルキットがもらえるのですが、コロナ期は衛生キットがその替わりになっているようです。
で、機内はガラガラだった空港を考えればかなり健闘して6〜7割ぐらいは埋まっていたでしょうか。
そのほとんどがトルコ人と思われ、旅行客と言うよりはおそらくは筆者と同様オランダ在住者の一時帰国や家族訪問っぽい雰囲気に見えました。
こちらのデータによるとオランダ在住のトルコ人は40万9877人(2019年)で欧州外では最多となっており、オランダ全体の人口が約1700万人ということを考えるとその多さが際立っていますね。
機内ではさかんにソーシャルディスタンスの確保とマスク着用をアナウンスしており、特に混乱もなく定刻通りに出発、欧州とアジアの交差点・イスタンブールへと飛び立ちます。
経由地:イスタンブール空港
約3時間半のフライトを経て、ピカピカのイスタンブール空港に到着。
すでに深夜と言える時間でしたが、こちらは打って変わって賑やかな雰囲気!
人々がマスクをしている点以外は、まるで通常期と変わらないかのようにレストランやショップも活気があります。
そのままラウンジに足を運ぶと、こちらもコロナ対策として全てのフードがプラスチックケースに。
2020年1月利用時と異なり、温かい料理は有料になっていました。
ここのラウンジはスタイリッシュで、設備も揃っていて、料理も美味しく(Aムステルダムへのあてつけか)、とても素晴らしい。
というかイスタンブール空港自体が今も未完成で建設を続けるオサレエアポートなので、来る度にワクワクさせてくれます。
オランダ在住の筆者が幾多の他の航空会社を差し置いてターキッシュエアラインズを使うようになった最大の理由が、この魅惑のイスタンブール空港に寄るためと言っても過言ではありません。
本当に早く好きな時に好きな場所に旅行ができる、平和な世界に戻って欲しいものですね。
フライト②【イスタンブール→羽田】
羽田行きフライトは深夜でしたが、素晴らしいラウンジでリラックスできたので元気もりもりに。
出発前に目にした日本人乗客の搭乗拒否問題も頭の隅っこに残っていたものの、これも全く大丈夫でした。
再び一回り大きな衛生キットをもらって機内へ。
想像はしていましたが、イスタンブール→羽田の方が遥かに空いていて、1割はなんとか埋まってたかな、という程度。
通常期だと空いてるとラッキー!という感じですが、ここまでガラガラなのは悲しいですね、、、
機内で日本到着後の検疫で必要となる書類(到着後の滞在先・連絡先・健康状態など)が配られるので、到着までに記入しておきます。
また機内食は2つのフライトで計3回提供されましたが、いずれもほとんど同じ内容でコーヒーやお茶のサービスはありません。
サンドイッチ・パウンドケーキみたいなの・ジュース・ミネラルウォーターが基本セットで、1回だけヨーグルトサラダがプラスで付いてきました。
サンドイッチやパウンドケーキの味は変わりますが、↓こういった通常期と比べると単調さは否めません。
しかしこればかりはやむを得ないですし、こんな状況でも飛行機が飛んで食事が出るだけでもすごいことです。
筆者はすでに空港で軽食を取っていたので大丈夫でしたが、よく食べる人にはややボリュームが少ないかも。
毎食ごはんてんこ盛り3杯食べますみたいな食べざかりの人は、何か軽くつまめる物を持っていくといいでしょう。
乗客が少ないので3列使って横になれ、トイレも混むことがなく清潔。
航空会社の経営状況を考えると複雑ですが、ともかくフライトは快適そのものでした。
到着:羽田空港
およそ11時間の空の旅を終え、定刻より早く羽田に到着。
ソーシャルディスタンス確保のために順々に機内から出るようアナウンスされますが、そもそも乗客が少ないので大きな待ち時間もなく、数分後には解放されました。
入国審査や手荷物ピックアップ、の前にコロナ検査へ。
通路や渡された紙の案内は日本語と英語で書かれ、全ての言語が苦手な()筆者でも分かりやすいさすがのおもてなし。
2020年11月現在、結果が早く出るという唾液を使った検査になっており、壁には唾液が出やすいように梅干しやレモンの写真まで用意された甘酸っぱいおもてなし。
容器をスタッフに渡し、別の部屋に移動すると、機内で記入した書類を元に滞在先やそこまでの移動手段などの簡単な質問や確認がされます。
それが終わると、上の階に上がり待合スペースへ。
こちらも充分すぎるスペースがあり、自分の番号がモニターに掲示されるまでゆっくりと待つことができます。
早いとの評判通り、30分も経たないうちに自分の番号が。
カウンターに行き、結果を受け取ります。
ドキドキ。
陰性キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
陰性であれば、このまま通常と同じように入国手続と荷物ピックアップを経て、滞在先へと向かいます。
筆者は空港から出ている無料の検疫シャトルバスを利用して、ホテルへ。
このホテルでの14日間の引きこもり体験は、また別の記事で書いていこうかなと思います(→12/11書いてみました)
コロナ禍での一時帰国を経験した感想
オランダはプチロックダウン、日本は第3波という状況での一時帰国は事前に色々懸念もありましたが、全てが思った以上にスムーズにいきました。
出国手続きは拍子抜けするほどあっけなく、事前に準備した健康申告書も出番なし。
羽田には夜到着だったためその日は空港泊も覚悟していましたが、検査も待ち時間が少なく、結果判明後その日のうちにすぐにホテルへ行くことができたのは本当に良かったです。
何よりもアムステルダム・イスタンブール・羽田の各空港のあらゆる場所、そして2回のフライトの中でスタッフや客室乗務員、その他諸々の名称の方々が、それぞれのエリアでベストを尽くし、難しい状況下での旅が快適に進むようサポートしてくれていました。
これは本当に素晴らしかったですし、感謝しかありません。
閑散とする空港や機内は何とも言えない寂しさを感じましたが、その中でも世界中の人で賑わっていたイスタンブール空港は、眠っていた旅への意欲を掻き立てられた気がします。
その一方、海外渡航をしないように強く要請という状況&11月にもかかわらずアムステルダム→イスタンブールのフライトの6〜7割の席が埋まっていたことは、例年さらに人の行き来が増加するクリスマス休暇に向けて少々不安を覚えました。
この記事が誰かの何かの役に立てば嬉しいですが、最も理想的なのはこういった経験が完全に過去のものになり、今まで通り当たり前のように海外旅行や渡航が可能になる日が戻ること。
その際には2020年のうっぷんを晴らすように、思いっきり旅を楽しみたいものです。