アフリカ大陸の西に浮かぶカナリア諸島は、スペイン本土とは全く異なる自然や気候、文化を持つヨーロッパ屈指の人気観光地。
カナリア諸島を形成するメインの8つの島はそれぞれ非常に個性的な特色があるため、特に初めて旅行する際にはそれを踏まえて宿泊エリアを選択することが重要です。
この記事では各島の特徴を元に、旅行の目的やスタイルによっておすすめの宿泊エリアを解説していきます。
【テネリフェ島】自然も観光もグルメも充実で一番人気
カナリア諸島の主な島は8つですが、その中でも観光客が多い4つがカナリア☆トップ4、残りの4つはカナリア★マイナー4と呼ばれています(注:筆者がひとりで呼んでるだけです)。
栄光のカナリア☆トップ4でも一番人気なのがテネリフェ島(Tenerife)。
カナリア諸島最大の島であるテネリフェは、スペインで最高峰のテイデ火山を中心とした国立公園や火山島らしい黒々とした砂浜が特徴のビーチなど、ダイナミックな大自然が魅力。
その一方で家族で楽しめるテーマパークや若者に人気のクラブなどのナイトスポットも揃っているため、アウトドア派だけではなくあらゆるタイプの旅行者に支持されています。
宿泊施設が最も多いのもテネリフェなので、一人旅のバックパッカーから新婚カップル、子連れファミリーまで予算や目的に合わせた幅広いジャンルの宿が充実。
ナイキのマークをゴツくしたような形のテネリフェは、特に南海岸沿いに人気宿泊エリアが多くなっています。
主な人気の宿泊エリア
・コスタ・アデへ(Costa Adeje)…ビーチ付近に朝まで遊べるナイトスポットが充実し、レストランやバーも豊富。賑やかなだけでなく、ファミリー向けの宿泊施設や観光スポットも充実。
すぐ南のプラヤ・デ・ラス・アメリカス(Playa de las Américas)やロス・クリスティアーノス(Los Cristianos)も同様に人気。
・プエルト・デ・ラ・クルス(Puerto de la Cruz)…南海岸より全体的に静かな雰囲気の北海岸にあるビーチリゾートで、旧市街の街並みも美しい。
・サンタ・クルス・デ・テネリフェ(Santa Cruz de Tenerife)…テネリフェ及びカナリア諸島全体の玄関口の1つであるテネリフェ・ノルテ空港から近く、世界規模のカーニバルでも有名。
世界遺産の古都サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナ(San Cristóbal de La Laguna)にも近い。
【グラン・カナリア島】“静と動”のバランスが見事
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カナリア諸島で2番目に多くの観光客が訪れるのが、グラン・カナリア島(Gran Canaria)です。
グラン・カナリアも静と動のメリハリが凄まじく効いた島で、アラビアンナイトを思わせる砂丘と六本木のような魅惑のイベント盛りだくさんのナイトスポット、さらには16世紀〜18世紀時代の建築物がゴロゴロ残った街が数キロ以内にすっぽりと収まっている万能ぶり。
カナリア☆トップ4の中でもテネリフェとグラン・カナリアはカナリア♡ファンタスティック2との呼び名の通り(再度注:筆者がひとりで呼んでるだけです)、宿泊施設や飲食店、ナイトスポットの充実度で他の島々を圧倒しています。
そのため初のカナリア諸島旅行で、なおかつこの後に紹介する島々で絶対に行きたいスポットがあるという訳でないのなら、とりあえずテネリフェかグラン・カナリアに宿泊するというのもアリでしょう。
主な人気の宿泊エリア
・ラスパルマス・デ・グラン・カナリア(Las Palmas de Gran Canaria)…美しいビーチ、美食自慢のレストラン、おしゃれなカフェやバー、ショッピングモール、多彩なナイトスポット、公園に教会など観光客が望むものを全て詰め込んだようなグラン・カナリアの中心地。
宿泊施設もラグジュアリーな5つ星ホテルから格安ドミトリーまで幅広い。
・マスパロマス(Maspalomas)…隣接するプラヤ・デル・イングレス(Playa del Inglés)と共に南部で最大の宿泊エリア。
カナリア諸島を代表する景勝地マスパロマス砂丘&それを取り囲むビーチの自然美と、街中心部の都会らしさの対比が絶妙。
【ランサローテ島】地球上の火星?!ワイルドな景観
ランサローテ島(Lanzarote)は島の南海岸を中心に美しいビーチが点在し、その周辺に数々のホテル、飲食店、観光スポットが並ぶ穏やかなビーチリゾート。
その一方で北西部のティマンファヤ国立公園(Parque Nacional de Timanfaya)では広大な敷地に赤茶けた溶岩石がゴロゴロ転がる、異国どころか異星情緒あふれるワイルドな光景が。
実際にランサローテは地質学的に火星や月に近いらしく、様々な映画の撮影舞台にもなっています。
他ではなかなか見られないユニークな景観を持つランサローテは、好奇心旺盛な子供連れファミリーやアウトドア派の男女に人気です。
主な人気の宿泊エリア
・プエルト・デル・カルメン(Puerto del Carmen)…ランサローテで最も有名なビーチリゾートで、美しいビーチ周辺には宿泊施設や飲食店、ナイトスポットが揃い、1日中飽きずに過ごせる。
ティマンファヤ国立公園や国際空港へのアクセスも良い。
・プラヤ・ブランカ(Playa Blanca)…南部に位置する子連れファミリーにも人気の穏やかなビーチリゾート。
アトランティコ海底美術館(Museo Atlantico)やパパガヨ海岸(Costa de Papagayo)などの人気観光スポットの他、フエルテベントゥーラ島へもフェリーで約30分で行ける。
【フエルテベントゥーラ島】ビーチ好きは必見
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華やかなカナリア☆トップ4の中で最も観光地化されていない手つかずの自然を残しているのが、フエルテベントゥーラ島(Fuerteventura)。
特にヨーロッパでは貴重な白いサラサラの砂浜がいくつも見られ、ビーチが目的の旅行なら第一候補の島と言えるでしょう。
島全体的に風が強いことからウィンドサーフィンの聖地とされ、毎年ワールドカップも開催されています。
賑やかなナイトスポットはほとんどないので、静かにビーチやマリンスポーツを楽しみたい人に理想的です。
主な人気の宿泊エリア
・コラレホ(Corralejo)…島北部の人気ビーチリゾートで、ランサローテ島とのフェリー発着地でもある。
若者向けの安宿からラグジュアリーな大人限定のリゾートホテルまで宿泊施設は豊富。
・コスタ・カルマ(Costa Calma)…島南部で最大の宿泊エリアで、マリンスポーツで人気のソタベント・ビーチにも近い。
オールインクルーシブを始め中級〜上級ランクのホテルが多い。
【ラ・パルマ島】
栄光のカナリア☆トップ4が終わり、続いてカナリア★マイナー4をさくさく進めていきます。
ラ・パルマ島(La Palma)はカナリア☆トップ4への昇格を虎視眈々と狙っていると噂される(再々度注:筆者がひとりで以下略)、自然・歴史・文化の見どころがバランス良く詰まった島。
観光客だらけの賑やかな場所は嫌、でもド田舎で不便すぎるのも嫌!なんて人にはちょうど良いサイズ感かも?
絶景の宝庫であるカナリア諸島の島々の中でも「イスラ・ボニータ(美しい島)」と呼ばれるにふさわしい、豊かな自然と天体観測を楽しみましょう。
主な人気の宿泊エリア
・サンタ・クルス・デ・ラ・パルマ(Santa Cruz de la Palma)…東海岸にあるカナリア諸島各地と本土カディスへのフェリー発着地でもある港町。
大航海時代の面影を残す旧市街とターコイズブルーの海が美しい。
【ラ・ゴメラ島】
ゴメラ島(La Gomera)はテネリフェからフェリーで約50分なので日帰りで訪れる観光客が多く、その分宿泊すれば観光客の波が去る夜から朝は大自然の中でゆったりとリラックスできます。
希少な動植物が観察できるガラホナイ国立公園(Parque Nacional de Garajonay)を始め、ハイキングやトレッキングにも最適の島。
宿泊施設や飲食店、観光スポットの豊富さはテネリフェの方がずっと上ですが、喧騒から離れてマイペースに休暇を過ごすならゴメラでゴメラるのも良いのではないでしょうか。
主な人気の宿泊エリア
・サン・サバスティアン・デ・ラ・ゴメラ(San Sebastián de La Gomera)…こちらもカナリア諸島各地とのフェリーが発着するゴメラの玄関口で、かつてコロンブスがアメリカ大陸を発見する前に立ち寄ったことでも知られている。
アパートメントや別荘タイプの宿が多く、ローカル気分で滞在できる。
【エル・イエロ島】
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エル・イエロ島 (El Hierro)は島の約60%がユネスコの生物圏保護区に指定された、多様性に富んだ貴重な自然が残された島です。
そのおかげもありカナリア諸島の中でもトップクラスの透明度の海を誇り、特にダイビングやシュノーケリングをするのには最適。
かつて世界の果てとも信じられた島は手つかずで野性的かつ原始的な風景に溢れ、日常の世界から飛び出したいと願う旅人の感性をくすぐるのには最高の場所と言えるでしょう。
主な人気の宿泊エリア
・フロンテラ(Frontera)…エル・イエロ島の真ん中あたりに位置するため島内の観光に便利。
高台にあるので大西洋を見渡す絶景のパノラマを楽しめる宿が多い。
【ラ・グラシオーサ島】
最後に登場するのは、2018年に晴れて公式にカナリア諸島の8つ目の島となったラ・グラシオーサ島(La Graciosa)。
面積も人口も他の島々に比べて桁が1つ少ないほどかわいい島で、どこまでも広がる乾燥した大地や未舗装の道路はスペインというよりアフリカの雰囲気丸出し。
お隣のランサローテ島からフェリーで約30分のため日帰り客が大多数で宿泊施設も限られているものの、とことんリモートな環境がお好みならこのカナリア諸島最小の島は最高のオプションです。
ちなみに全く同じスペルのGraciosa島がポルトガルのアソーレス諸島にもあり、そちらは“ラ”がなく『グラシオーザ島』という赤の他島なので、お間違えのないように。
主な人気の宿泊エリア
・カレータ・デ・セボ(Caleta de Sebo)…島全体の人口の約700人ほぼ全員が住む、メインエリア。
フェリーの発着地で何軒かの飲食店やスーパーもあり、リゾート地の喧騒から完全に離れつつ、不便でもない滞在が可能。
まとめ
カナリア諸島の8つの島の宿泊エリアを簡潔に解説しました。
日本ではまだまだなじみ深いとは言えませんがヨーロッパではド定番のバカンス地なので、特に観光客の多いカナリア☆トップ4の主な街であれば、あらゆるランクの宿泊施設が問題なく見つかるでしょう。
日程にある程度余裕があるなら、テネリフェ+ゴメラやランサローテ+フエルテベントゥーラなど、特にアクセスしやすい複数の島に滞在するのもおすすめです。
そうすることで、カナリア諸島が持つ多彩な魅力をより深く発見することができるでしょう。