ここ数年、すっかりサッカー強豪国の仲間入りを果たしているベルギー。
スター選手揃いのベルギー代表の多くの試合は、首都ブリュッセル郊外のスタジアムで行われます。
この記事では、欧州在住の筆者がそのスタジアムへのアクセスや周辺情報をまとめました。
1930年開場のスタジアムには悲劇の歴史も…
2022年3月、サッカーベルギー代表が2018年9月から3年以上キープしていたFIFAランキング1位の座から2位に転落したことが、密かに話題になりました。
しかしむしろ人口1100万人少々の小国が、世界の並み居る強豪国を抑えてここまで長く1位を保っていたことの方が驚異的ではないでしょうか。
実際にFIFAランキングの推移を見てみると、2009年には66位となっており、周辺のフランスやドイツ、オランダが何十年と比較的安定した強豪国であったことに比べると、ベルギーは2010年代以降に急躍進したと言っていいでしょう。
まさに黄金期の真っ只中というベルギー代表ですが、その代表戦に主に使用されるブリュッセル北西部のボードゥアン国王競技場(King Baudouin Stadium)は、1930年開場というかなりのベテラン。
収容人数約5万人を誇るベルギー最大のスタジアムでもありますが、かつてはヘイゼル・スタジアムの名称で7万人近い観衆を記録したことも。
しかしスタジアムの老朽化が進む一方の1985年、UEFAチャンピオンズカップ決勝のリヴァプール×ユヴェントス戦において、『ヘイゼルの悲劇』として知られる39人のサポーターが命を奪われた群衆事故が発生したことを受け、1995年に大規模改修。
スタジアム名もボードゥアン国王競技場に変更し、サッカー以外にも陸上競技やフィールド競技の施設を兼ね備えた多目的スタジアムとして、再オープンしました。
その後はオランダとの共催で行なわれたEURO2000の会場の一つになるなど、数多くの名試合の舞台に。
そんな様々な歴史を刻んできたボードゥアン国王競技場へは、どのようにアクセスできるのでしょうか?
街中心から30分の素晴らしいアクセス!
スタジアムはブリュッセル中心から北西に約6kmに位置するため、徒歩で行くには少々距離があります。
しかしそこはさすがの首都ブリュッセル、公共交通機関がしっかり網羅しているため、アクセスはとても便利です。
それでは例としてブリュッセル観光の中心、グラン・プラス(Grand Place)からスタジアムへのアクセスをチェックしてみましょう。
トラムでのアクセス
最も便利なのはスタジアム(=Stade)行きの93番線で、終点のStade(スタッド)駅からスタジアムは徒歩約5分。
グラン・プラスから10分ほど歩いてブリュッセル王宮やブリュッセル公園があるPalais(パレ)駅からなら乗換なし1本で行け、全体の所要時間はおよそ50分ほどです。
より所要時間と歩く時間を短縮したければ、グラン・プラスにより近いトラム3番線のBeurs(ベアーズ)駅→Masui(マジューイ)駅で93番線に乗り換えなら40分少々。
いずれも時間的にはこの後解説するメトロより少し長くなりますが、ブリュッセルの街並みを楽しみながらゆったりと向かいたい人には良いオプションです。
トラムやバスは特に路線が多いので、出発地によってはさらに早いルートが見つかるでしょう。
参考サイト(ブリュッセル公共交通機関):
①https://www.stib-mivb.be/?l=en
②https://www.delijn.be/fr/(フランス語)
メトロでのアクセス
グラン・プラスからスタジアムへ行く場合、メトロでは乗り換えが1回必要ですが、メトロは路線が4本のみとシンプルで所要時間も短いので、特に旅行者にはおすすめ。
グラン・プラスから北方向に歩いて約5分のDe Brouckère(デ・ブルッケアー)駅から1番線または5番線でBeekkant(ベーカント)駅→6番線に乗り換え、終点のRoi Baudouin(ロイ・ボードゥアン)駅下車徒歩約5分。
全体の所要時間はおよそ30分ほどで、グラン・プラス〜デ・ブルッケアー周辺は観光、グルメにショッピングと何でも楽しめるエリアなので、スタジアムに向かう前に絶品ベルギー料理で腹ごしらえして行くのも良いでしょう。
バスでのアクセス
最後にバスでのアクセスですが、バスはさらに路線が多く複雑なので、グラン・プラスからスタジアムに行く場合はあえて利用するメリットはあまりないと言っていいでしょう。
ただし、例えば滞在ホテルが中心地から少し離れていたりすれば、バスの出番があるかもしれません。
路線はたくさん存在しますが、いずれも下車駅はStade(またはオランダ語のStadion)でバスを降りると目の前がスタジアムなので、うまく使えば便利なのは間違いありません。
スタジアム→街への終電時間は?
欧州ではしばしばかなり遅い時間にキックオフすることがあるので、スタジアムから帰りの足があるかどうかはチェックしておきたいですよね。
2022年4月現在の情報で、スタジアム最寄りのメトロ駅→街への終電時間は0:32。
トラムやバスと合わせてもこれが最も遅い時間になります。
実際に筆者は20:45キックオフの試合を観たことがあるのですが、そうすると試合終了が22:45頃、試合終了直後はスタジアムからの道も大混雑しますが、それでも特に寄り道をしなければ充分間に合うでしょう。
試合によっては90分で終わらず延長→PKという可能性もあるので、その場合は時間に少し気を払った方が良いかもしれませんね。
もっとも仮に終電を逃してしまってもタクシーや配車サービスがあるので、深夜に延々と6kmの道のりを歩く必要はありませんが。
旅行者に便利なチケットはある?
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もしブリュッセル観光と共にスタジアム観戦を予定している場合、便利なチケットはあるのでしょうか?
まず通常のシングルチケットの場合、紙のチケットは€2.6、コンタクトレス決済なら€2.1となります。(以下参照ページ:STIB)
紙のチケットはメトロ駅の券売機や街のキオスクで購入でき、コンタクトレス決済はMaestro、Mastercard、VPAYそしてVISAのクレジットカード及びデビットカード、さらにGoogle Pay、Apple Pay、Fitbit Pay、Garmin Payにも対応。
そのためもしコンタクトレス決済に対応しているクレジットカードorデビットカードやスマホを持っていてほとんど交通機関を利用しないなら、このシングルチケット×2=€4.2がベストでしょう。
もし1日に4回以上交通機関を利用するなら、1日フリーパスの『STIB 1 day』がお得になり、紙版は€8・コンタクトレス版は€7.5。
コンタクトレス版の場合、1日4回目以降の利用はチャージされなくなる仕組みのため、前もって1日券を購入する必要がなく、特に便利です。
もう1つ、もしブリュッセルに中長期滞在したり何度もリピートする予定なら、10回券€15.6もあります。
ただしこちらを利用するには『MOBIB』といういわゆるPASMOのようなカードにチャージする必要があり、このMOBIBは€5。
つまり計€20.6でコンタクトレス決済で毎回シングルチケットを利用するのとほぼ変わらないのですが、有効期限は購入から18ヶ月となっているため、この期間内に10回以上交通機関を使うなら良いオプションにはなります。
ちなみにこの1日フリーパスなどはブリュッセルの中心エリアをカバーしていますが、ブリュッセル空港は含まれていないので注意しましょう。
スタジアム周辺にホテルや飲食店は?
ブリュッセル中心から少し離れてはいますが、スタジアム周辺には1958年のブリュッセル万博時に作られた巨大モニュメント『アトミウム』や欧州の名所をミニチュアサイズで再現した『ミニ・ヨーロッパ』などの観光名所もあることから、徒歩圏内に宿泊施設やレストラン、バーもあります。
そのため特に夜遅くにスタジアム観戦したい場合や、試合やイベント前後の独特な活気ある雰囲気をセットで満喫したい場合は、スタジアム近辺に滞在するのも良いでしょう。
とは言え、宿泊施設にしてもグルメにしてもやはり街中心部の方が遥かにバリエーションも数も多いのは事実。
特に宿泊施設は、より自分好みの1軒を選びたいならブリュッセルの中心で探すのがベターです。
まとめ
主にサッカーベルギー代表戦が行なわれるブリュッセルのスタジアム・ボードゥアン国立競技場についてまとめました。
ブリュッセル中心から6kmほどの距離にあるボードゥアン国立競技場は公共交通機関でのアクセスも容易で、旅行者にもハードルが低いスタジアムです。
スター選手が集結するベルギー代表の試合に加えて、世界的アーティストのライブも行なわれるベルギー最大のスタジアム。
ブリュッセルの美しい街並みと共に、ぜひこの歴史あるスタジアムで白熱した試合やイベントを楽しんでくださいね。